僕は結花が好きなのに、結花は勝手に僕へ女を紹介してくる。ー僕は意図的に結花の子どもに成ったのにー

小春かぜね

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第2部 第1章 俺の過去……

第73話 突如現れる大蛇!

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 ……

『ゆさ、ゆさ、―――』

「……起きろ」

『ゆさ、ゆさ、―――』

「……起きろ」

 誰かが、俺の体を揺さぶりながら声を掛けてくる。
 おまけに女性のような声で、俺に声を掛けてくる……
 俺は一人暮らしだから、俺を起こす人間は側に居ないし、彼女も当然いない。

「……?」

 きっと夢を見ているんだなと感じながら、俺はゆっくりと目を覚ますと……其処には女性では無く、アオダイショウのような大蛇がいた!

「うあぁぁ~~~!///」
「なっ、なんで……俺の部屋に大蛇が居るの!?///」

『ガバッ!』

 女性では無く、大蛇に揺さぶり起こされた俺は、悲鳴に近い驚き声を上げる!
 飛び起きてその場から逃げだそうとするが、大蛇は女性のような陽気な口調で、俺に言い始める!?
 夢にしては、恐ろし過ぎるだろう!!///

「まぁ……折角起こして上げたのに、酷い言い草!♪」
「あなたが赤の他人で有ったら、思わず食べている所だよ!♪」

「!?///」

(何で俺は、大蛇の言葉が理解出来る!?)
(俺は、蛇に生まれ変わった覚えは無いぞ!!///)

(あぁ…。そうだよ!)
(夢だから……これは、夢だから!)
(夢の世界だから、何でも有りなんだよ!!)

 これを夢だと確信した俺は、ホッペを両手で掴んで『ギュッ』とさせるが……夢から覚める気配は一向に無い?
 普通なら、これで夢から目覚めるからだ。

「??」

(……おかしいな)

 夢から全く覚めないので、両手で頬を“つねる”のを止めた俺は、不思議そうな表情をしながら考え始めるが……大蛇が、陽気な口調で俺に話し掛けてくる。

「ねぇ、なんで。私が此処に居るか分かる~?♪」
「私のこと。見覚え有るよね?~♪」

(私と言うから……この大蛇は雌蛇?)
(夢の世界にしても、ファンタジー過ぎるだろう…)

(それともなんだ?)
(俺も遂に、異世界ファンタジーの世界へようこそか!)
(俺はその手の小説を殆ど読まないが、異世界で俺を無双にでもさせてくれるのか…)

 夢の世界では有るが、この大蛇が重要なイベントで有ることを俺は理解する。
 けど、現実世界に異世界の世界なんぞ存在しない。
 だが、俺の脳が疲れているから、こんな世界を生み出してしまっているのだろう。

 大蛇に聞かれた問いを、俺は考え始める……
 この大蛇とは『初めまして!』での、関係で無い雰囲気だからだ。

「俺の知り合いに、大蛇なんていないが……あっ!」
「もしかして以前……助けた蛇…?」

「~~~」

 俺は困った表情で大蛇に話すが、途中で心当たりを思い出す。
 大蛇は俺の言葉が理解出来るらしく、嬉しそうな表情で俺を見ている!

 ……先月の出来事で有るが、俺はとある場所で“蛇”を助けている。

 ☆

 先月のとある日。俺は気分転換に近場のダムを車で見に行った。
 こんな俺では有るが、自家用車はちゃんと持っている。
 時には気分転換もしておかないと、心が完全に壊れてしまうからな!

 その時に、ダム近くに有った公園にもついでに寄ったのだが、とある場所で蛇が野良猫に絡まれていた。

「……(汗)」

「~~~」

 蛇は冷や汗をかいている様に見え、猫は『良いおもちゃ。見つけた♪』の表情で見ている?
 蛇と猫が戦った時は、猫が有利だと聞いて居たので、俺は変な正義感で野良猫を追い払う。

「こら。猫!」
「蛇を苛めるな!!」

「にゃん!?」

 俺が大きな声で、野良猫に向けて声を掛けると猫は、当然驚きの表情を見せる。
 俺が急に割って入って来たから猫は……そのまま茂みの中に逃げていく!

『……ダダッ』

『ガサ、ガサ、―――』

「……」

『にょろ、にょろ、―――』

『ガサ、ガサ、―――』

 蛇の方は俺を一瞥してから、ゆっくりと茂みに中に入って行くが、それで終わらなかった。
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