僕は結花が好きなのに、結花は勝手に僕へ女を紹介してくる。ー僕は意図的に結花の子どもに成ったのにー

第1部 第4章 僕の幼なじみが急接近してきた！

第43話 恵那と食べる晩ご飯 その3

「あっ……いや///」
「そうでは無いけど、何で、お父さんと言わなかったのだろうね！///」
「あはは…///」

　僕は誤魔化すように恵那へ言う。

「……」

　その時の恵那は僕を見ながら、何か不信感を感じているようだが、恵那の人生は1周目のはずだ！
　僕が意図的に孝太郎を消したのに、恵那は気付くわけが無い！！

「はい！」
「割り下の用意が出来たわよ～～♪」

　恵那が次の言葉を掛ける前にタイミング良く、結花が割り下を作って戻って来る！
　ナイスだ結花！！

　結花は笑顔で、恵那に話し始める。

「恵那ちゃんの希望通り。甘めの味付けにしたよ♪」

　恵那の方も僕から、すき焼きへ意識が自然と向かい、結花に笑顔で話し始める。

「わぁ～～。ありがとうございます！♪」
「陽向君のおばさん！！♪」

「じゃあ、作り始めるね！♪」
「恵那ちゃんに陽向♪」

『カチッ！』

『ボッ！』

　恵那の言葉の後。結花も笑顔で恵那（と僕）に言って、カセットコンロの火を付けて、すき焼きを作り始める。

　今回は関東風の“すき焼き”なので、焼くと言うより煮るに近い。
　味は関西風のが良いが、作るのは関東風の方が楽だ。

「～～～♪」

「～～～♪」

「……」

　結花が嬉しそうな表情で“すき焼き”を作って行く中。恵那はそれを同じように見つめている。
　僕は、それを澄ました表情で眺めている。

（さっきの孝太郎は、少し不味かったな…）
（あの時の恵那も、孝太郎の死を不自然に感じていた）

　恵那とは幼なじみの関係で有るから当然、孝太郎が死んだ時。恵那を含めた有峰家が全力サポートしてくれた。
　あの頃の恵那とは、まだ普通の関係で有ったから、僕を慰めてくれると同時に、只の事故では無い表情を良くしていた。

『陽向君のお父さんは事故を起こしたり、ミスをする人では無いよ！！』
『……誰か、恨まれた人に殺されたんじゃないの！？』

　あの時の恵那は、コ○ン君を読んでいた影響か、恵那なりにあの事件を分析していた。
　だが、僕を好きで有る恵那は、僕を疑うことは一切なく『謎の組織に暗殺されたんだね！』と、恵那は真顔で言っていた覚えが有る。

　けど、恵那の言葉を、結花や恵那の両親は聴こうとはしなかった。
　あくまで、子どもの言う戯れ言だと、大人達は見ていた。

　孝太郎は仲間は作っても、敵は作らない人で有った。
　孝太郎の職場や親友関係も、孝太郎を嫌う人は誰一人居なかったそうだ。

　まぁ、僕は孝太郎を敵にしたけど……

（孝太郎が死んだ当時から、孝太郎を僕が敵視していたのを恵那が知れば、僕が孝太郎を暗殺したことに恵那は感づくかも知れない…）
（昔の恵那は大人しいだけで有ったが、今の恵那は凄く意気盛んな性格だ！）

（昔通りと考えて付き合っていると……恵那に嵌はめられる恐れも有るな…！）

　僕はそんな事を思いながら、結花が作る“すき焼き”を眺めていた。

　……

『ぐつ、ぐつ、―――♪』

　すき焼き鍋の中では、美味しそうな“すき焼き”が完成していた。
　今日は恵那が居る手前か、結花の写真撮影はしない感じだ。

「恵那ちゃん！」
「コーラとオレンジジュースが用意して有るけど、どっちが良い？♪」

　結花は笑顔で、恵那に話し掛ける。
　恵那は和やかな表情で、結花に話し始めた。