僕は結花が好きなのに、結花は勝手に僕へ女を紹介してくる。ー僕は意図的に結花の子どもに成ったのにー

第1部 第4章 僕の幼なじみが急接近してきた！

第28話 結花は不在

　僕（俺）の前世母親は、僕（俺）に気に食わない事が有ると、直ぐに怒って無視をする母親で有った。
　僕（俺）の前世が糞人生に成った要因に、母親からの無視を恐れた影響も少なからず有るだろう。

　これが、前世の記憶が無い一般的な男子だったら、僕は100％、有峰恵那と関係を深めるだろう……

（なんで、こんな事を思い出してしまうのだろう？）
（過去の事なんか、態々わざわざ思い出して……）

　俺はそんな事を、心の中で不思議に感じながら、家へ戻った……

「お母さん！」
「ただいま～～」

　僕は家に到着して、結花に声を掛けながら、玄関ドアを開ひらこうとするが……

『ガチャ！』

「？」

『ガチャ、ガチャ、―――』

「……あれ！？」
「玄関に、鍵が掛かっている…！？」

「結花は…、出掛けているのか？」
「それとも……昼寝をしている！？///」

　僕は一人喋りをしながら、玄関ドアノブを再度下げて開けようとするが、玄関ドアは開かない。
　そもそも鍵が掛かっていれば、玄関ドアは開くわけが無い。

　結花はほぼ100％と言って良いぐらい、この時間帯は家に居る。
　この時間帯に、結花が出掛ける事は本当に珍しい。
　結花が昼寝中の可能性も、捨てきれないが…///

（だが、僕はしっかり者だから、きちんと家の鍵は持っている！）

　僕は学生カバンから自宅の鍵を取り出し、その鍵で玄関の施錠を解除してから、玄関ドアのノブを下げる。

『カチャ…』

　当たり前だが玄関ドアは開き、僕は自宅内に入る。

「お母さん！」
「ただいま～～！」

　僕は上がり框がまちで、少し大きな声で、結花に向けて声を掛けるが、結花からの返事は無い。
　もし、結花が昼寝中だったら、僕の声や物音に気付き、室内から物音が聞こえてくるからだ。

「結花……本当に、出掛けているんだ」
「買い忘れた物でも有ったのかな？」

　僕は呟く口調で言いながら、靴を脱いで上がり、廊下を歩いて……リビングの方へ向かう。

『カチャ！』

　リビングのドアを僕は開けるが、室内に結花の姿は見えない。

「？」

「……ソファー側のテーブルに、何か置いて有るな！」
「文字が見えるから、置き手紙だな！！」

　僕は、少し驚いた表情で一人喋りをする。
　結花が僕へ、置き手紙をして行ったのだろう。
　ソファーが置いて有るテーブル側に、一枚の紙が置かれて有る。

『陽向。お帰り』
『有峰さんからお茶に誘われたから、有峰さんとお茶をしてくるね』

『今日のおやつは、鯛焼きを買ってきたよ』
『鯛焼きはダイニングテーブルに置いて有るから、必要なら温めて食べてね』

『遅くても、夕方までには帰って来ます』
『結花』

　結花が僕へ宛てた内容は、こんな内容で有った。

　……