僕は結花が好きなのに、結花は勝手に僕へ女を紹介してくる。ー僕は意図的に結花の子どもに成ったのにー

第1部 第3章 結花の想い

第21話 結花の視点

　※この章は、結花視点に成ります！

　……

　陽向は今晩。自室でテスト勉強をするために、早々と戻っていった。
　私はリビングのソファーに座っている。
ソファーに座りながら、陽向のことを意識し始める……

　最近…。陽向の成績が落ちていることは私（結花）も心配しているが、私が怒ったり、檄げきを飛ばすことはするべき無いと感じる。

　だって……陽向はずっと優等生で来ていたから、現在はスランプ気味に成っていると、私は感じているからだ。
　私が高校進学・大学進学時に、親から厳しいことを言われなかったから、陽向に厳しいことは言えない……

　……

　陽向が生まれてからずっと……私と孝太郎さんを驚かし続けてきた！
　他の子より遙かに早く、言葉を理解した上、喋り始める！！

　陽向の頭脳成長は凄すさままじく、幼稚園なんか通わせる必要が無いぐらい、学習が出来ていた上、道具を上手に使い、物を切ったり作ったりすることが完全に出来ていた！！

　小学校低学年までは、テストは100点が当たり前。体育の成績も抜群で有った！！
　余りにも陽向が優秀すぎるから、私は不思議で仕方なかった……

『この子（陽向）は、愛菜まなちゃんみたいに人生二週目の子！』と……

　優秀な陽向は、私や孝太郎さんも鼻が高いけど、それが何時までも続くか、私は常に心配していた……

　……

　陽向が優秀すぎた代償か、突然の事故で、私は孝太郎さんを失ってしまう。
　孝太郎さんは技術職で有るので、車の整備不良で事故を誘因したとは考えられない。

　きっと、悪意が持つ人が、孝太郎さんの乗っている車に、悪戯をしたはずだと思うけど……消去法で考えると陽向しか居ない。

　孝太郎さんが事故を起こす前日。陽向は一人で留守番をしていたし、孝太郎さんの車の下で遊んでいた。
　けど、陽向が車の下で遊んでいただけで、それが事故の要因とは言い切れなかった。

　事故の程度が軽ければ、事故を誘発した真相究明が出来るのだけど、車は大破の上に炎上してしまい、燃えてしまった事故車両から、事故要因の確証を得られる物を、見付け出すことは出来なかった……

　警察の方も、周囲に大きな被害が及んでないことから、人身事故では無く物損事故で処理をしたがっていたため、車の整備不良と一方的に決め付けて、捜査を打ち切ってしまった。

　事故直前に孝太郎さんが運転する車が、数台の車と接触しているが、その車に乗車していた方々は軽傷で済んだ上、後遺症も残らなかったので、自動車保険からの支払いだけで済んでいる。

　不幸中の幸いとは言って駄目だけど、孝太郎さんは最後まで、人に迷惑を掛けない方で有った。
　他の方への被害を最小限にして、孝太郎さんは天国に召されていった……

　私は……陽向を疑った時期が有るけど、それは数日で止めてしまった。
　陽向が車の下で遊んでいたのは事実でも、小学四年生の子が車の構造を理解しているわけ無いし、それに知っていたとしても、あんな都合の良い事故を起こせるわけが無い。

　あの時の孝太郎さんと陽向は、私で争っているように感じたけど、それを理由に息子が父親を殺すなんて、話が飛躍過ぎる！
　仮に、それを陽向が実行出来ていたら、陽向は完全に異常者に成る！！

　陽向は優秀な子で有るが、そんな悪い子をする子では無い！
　聞き分けは良いし、常識もずば抜けている！！

　そんな子が……人を殺そうなんて思わないだろう。
　それも、実の父親を……陽向は孝太郎さんの子だ！

　そんな子が……私の孝太郎さんを殺すわけが無い……
　私はそれを信じて、陽向を疑うことは止めた。

　それに、陽向を疑っていても孝太郎さんは戻って来ないし、実の息子を疑ってしまったら母親失格で有る……