☆第二集☆ チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―王者の剣と二人の美少女との冒険ー

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
11 / 33
長い休息

第9話 最悪な状況……

しおりを挟む
『シュン』

 俺とリン。コハルの三人はコハルの魔法で、教会養護施設に瞬間移動をする。

「!!///」

「!!///」

「!」

 メルコの側には、アスと養護施設の女子が付き添っているが、メルコの周囲には血溜まりが出来ており、俺とリンは大仰天する。
 コハルも驚いた表情を見せたが、俺とリンほどでは無かった。

 メルコは気を失っているのか、アスの膝元で横たわっている。
 アスが俺たちに話し掛ける前に、リンは驚いた表情のままメルコの方に駈け寄る!

『ダッ!』

「ドホラミン!///」

 リンはメルコの側に駈け寄り、メルコに向けて『ドホラミン』を掛け始める。
『スイスイ』では対応出来ないとリンは感じたのだろう。

『キラーン☆』

 メルコの傷は……リンの『ドホラミン』で回復し始める……その途中にアスが、リンに向けて悲しそうな表情で話し始める。

「リン先生……メルコはナツを守る為に身をていして、重傷を負ってしまいました///」
「これは、私の責任です……///」

「そう……でも、あの魔物はアスちゃんが倒したんだよね?」

 黒焦げと成った魔物の死骸をリンは見ながら、アスに困った微笑み表情で話す。
 アスは恥ずかしい表情でリンに話し始める。

「はい……私のブランドで、大型コウモリは焼き殺しました///」

「……細かい事は後から聞くけど、今はメルコちゃんの方だね///」

 リンは複雑な表情でアスに話す。
 メルコの方は傷も回復して、本来なら間もなく目を覚ますのだが……

「…………」

 メルコは傷が回復したのに、目を覚ます気配を見せない。
 リンはメルコに声を掛けて、メルコを起こし始める。

「おーい!」
「メルコちゃん~~」

「…………」

『ゆさ、ゆさ、―――』

 リンはメルコに掛け声を掛けながら、メルコの体も揺さぶるが……一向に起きる気配を見せない。
 アスは顔を青ざめながら、メルコに向けて話し始める。

「……メルコ。もしかして……死んでしまったの///」
「そんな事無いよね。メルコ!///(泣)」

「…………」

『ガク、ガク、―――』

「嘘でしょ……メルコ!//////(泣)」

『にょろ、にょろ、―――』

 アスが絶望の表情で、メルコの体を揺らしながら言う中……コハルは、メルコの方に移動を始めていた。
 コハルはメルコの側に近付き、アスに澄ました表情で話し始める。

「アスちゃん……メルコは死んでいないよ!」
「死んでいたら、ドホラミンは効かないから!!」

「だから、メルコはまだ生きている!!」

「えっ……そうなんですか!?」
「コハルさん……?」

 アスは驚きながらコハルに話す。
 コハルは説明する表情で、アスに話し始める。

「多分だけど……メルコは、深い昏睡状態に入っていると思う!」
「大量出血していた感じだから、脳の方まで血液が巡り切れていなかったのでしょう…」

「本来で有ったなら自然に目を覚ますまで、療養させるのが筋で有るけど……今回は私が居るから、特別にメルコを覚まそう!」

 コハルは言い終えると、頭を下げて舌を出し、何かを考える素振りを見せ始める?

『キラーン』

 すると……コハル尻尾先端が、突然光を帯び始める!?
 王国城の守り神だけ有って、不思議な現象をまた見せてくれる!!

「これで多分……メルコは目を覚ます!」

 コハルは真面目な表情で呟いた後。
 光った尻尾を振り上げて……メルコの頭部に叩き付ける!

『バチン!』

『……ビクン!』

 尻尾の光はメルコ頭部に吸収されつつ、メルコの体は跳ねて反応を見せる。
 しばらくすると……メルコはを目を覚ます。

「……あれ?」
「僕は、何でこんな所で……寝ているの??」

 メルコは寝ぼけ眼で一人しゃべりをする。
 それを見たアスは嬉し泣きをしながら、両腕でメルコの体を包んで話し始める。

「良かった~~。メルコ//////」
「無事に、目を覚ましてくれて!//////」

「??」
「どういう事。アス先生…?」

 メルコは一時的に記憶喪失へ成っているのか、自分が瀕死状態で有ったのが理解出来ていない様だ。
 すると、コハルが俺の方にやって来て、耳打ちにするように話し始める。

「一番酷い所の記憶は少し操作をしているから、メルコは理解出来ないんだよ!」
「太ももに大怪我を負った部分とかを……」

「あぁ、そう言う事ですか。コハルさん!」
「メルコの生死に関わる部分は、敢えて消去したと…」

「~~~//////」

「~~~///」

 俺は納得した表情でコハルに話す。
 アスはメルコに向けて、何かを色々話している。

 細かい事は後からアスに聞くとして、メルコが無事に回復してくれて本当に良かった!

 ☆

 だが、この後の後始末が大変で有った。
 買い物から帰って来た、神父・シスターに顛末を話し、その場にはコハルも居たから事態は大事に成って、また、非常用伝書鳩も神父・シスターで無く、アスが独断で使用したので神父は顔を顰めていた。

「……今回は私が不在でしたし、生死に関わる事ですから、アスのした行為は不問にしますが……参りましたね(汗)」

 神父は、愚痴を言うようにアスへ話していた。
 非常用伝書鳩を使うと、速やかに伝言文が届けられるが、その使い方が後から本当に正しかったか問われる時が有るそうだ。

「メルコは……養護施設の子ですか、平民扱いですからね」
「私が今回はなんとかしますが、次回からは……どうしましょね?」

 神父は『参った』表情で、愚痴を零していた。
 メルコは平民で有るからの命を救うのに、この様なやり方は正しく無いそうだ。

 だが、これでメルコが死んでしまったら、アスは間違いなく自暴自棄に成っていただろう。
 どんな世界でも命は中々、平等に扱われない事を俺は再度自覚してしまった///
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ギフト争奪戦に乗り遅れたら、ラストワン賞で最強スキルを手に入れた

みももも
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたイツキは異空間でギフトの争奪戦に巻き込まれてしまう。 争奪戦に積極的に参加できなかったイツキは最後に残された余り物の最弱ギフトを選ぶことになってしまうが、イツキがギフトを手にしたその瞬間、イツキ一人が残された異空間に謎のファンファーレが鳴り響く。 イツキが手にしたのは誰にも選ばれることのなかった最弱ギフト。 そしてそれと、もう一つ……。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...