上 下
5 / 33
長い休息

第3話 何時も通りの仕事をこなす その2

しおりを挟む
 ……

 メルコとの買い出しが終わった後は、夕食作りまでは自由時間と成るが、俺はその時間を使って日頃の鍛錬をする。
 鋼の剣を持っての素振りや、ランニング等の体力作りなど、俺は何時でも冒険に出られる準備や、魔物が来襲しても素早く対応出来る体制作りを空き時間にする。

「ふぅ……今日は、こんな物だ!」

「……」

 俺はランニング終えて、教会裏手で休憩をしていると、修道服を身につけたアスが養護施設から出て来る。
 修道服姿のアスも可愛く見えるが、暗い表情では折角の修道服姿も、色あせて見える。

(あの感じだと……今日も懺悔の時間か)
(懺悔しても何も変わらないのに……)

 最初の数日こそは、アスを見掛ける度に俺は声掛けをしたが、上の空の返事しかアスはしないので、今ではアスを見掛けても静かに見守るしか無い。
 アスの目線には間違いなく俺が入っているはずなのに、いない目線で教会の方に歩いて行った。

(俺が大事と言ってフウゴルを殺した割りには、フウゴルを殺した事をアスは悔やんでいる)
(フウゴルはだと神父から聞いているが、そのをアスは惹かれていたのかも知れない?)

 俺は心の中で感じる。
 この養護施設は、男子より女子の方が遙かに多いし、男子がいても前世界で言う中学生や高校生男子がいない?

 この国の成人は18歳からで有るが、未成年から働いている男子も非常に多い。
 兵士の方も、少年兵の区分が有るそうだし、中学生以上からは大人同等と働けるのだろう。

(それなら、フウゴルも自立をすれば良かったのに……やはり、母親の料理が恋しかったから留まった?)

 俺が神父から聞いた話しでは、前厨房担当者が作った料理をフウゴルは好んでいた。
 前厨房担当者が戦争の悪化で辞めて、それが原因とシスターの体制が不服で、一気に素行が悪くなったと聞いている。

(まぁ、どちらにせよ、俺には終わった話だ)
(フウゴルはもう、この世にはいないし、タングステン鉱石も採取出来た!)

 俺は休憩時間後。
 再び、夕食作りの時間まで自己鍛錬に励んだ。

 ☆

 夕食作りの時間が来たので、俺は厨房で調理を開始する。
 夕食作りにはリンが補佐がしてくれるので、リンと一緒に調理をする。

「今日の夕食はベーコンエッグですか♪」
「スズヤ。奮発しましたね♪♪」

 リンの機嫌は直っていて、夕食のメニューを聞いたリンは、嬉しそうな表情で俺に話す。
 俺は穏やかな表情でリンに話し始める。

「今日は卵が特売で買えたし、メルコが買い物を手伝ってくれたからな」

「……メルコちゃんを使ったのですか?」
「……スズヤ…!」

 俺の言葉でリンは急に目を細め、疑問を感じた口調で俺に聞き始めるリン!
 しまった……余計な事を言うべきでは無かった///

 俺は弁解する表情で、リンに言い始める。

「リン! メルコが勝手に付いて来たんだよ!!///」
「何時もはリンと一緒に行くが、今日が俺一人で有ったからメルコが気を遣ってくれてたんだよ!///」

「……分かりました」
「……そう言う事にしておきます」

 リンは俺を疑った目線で言う!
 リンは直ぐにを焼くタイプか!?///

 リンは『やれやれ』の表情に成って、俺に話し始める。

「メルコちゃんが副纏め役に就いてからは、一気に自己主張を始めましたからね」
「何でも積極的なのは良いのですが、偶に空振りをしているのですよね…」

「メルコは、アスとは真逆の感じがするからな」
「だが、子どもたちはアスとメルコの両方を、気に入っている感じがするが」

 俺は澄ました表情でリンに話す。
 リンは『でもね…』の表情で俺に話し始める。

「メルコちゃんは少し子ども過ぎるのです!///」
「まぁ……この線引きが難しいのですが、メルコちゃんは何でも感情で動いている気がして成らないのです…」

「感情か……確かにメルコは、理性より感情で動いているな!」
「だが、それは悪くないと思うがな」

「はぁ~~。スズヤはお気楽ですね!」
「スズヤは子どもたちの相手を直接しませんから、そう言う事が言えるのです!///」

「…………」

(リンの奴。また不機嫌に成って来たな///)
(やっぱり、メルコに対してを焼いている)

 俺の言葉の後。リンは嫌みを含ませた口調で言った。
 俺は少しモヤッと来たが、俺は子どもたちの管理をしていない。

 今のリンは俺の厨房補佐と、子どもたちの健康管理や積極的な見守りを、シスターから言われているそうだ。
 メルコが副纏め役で居るが、事務的な仕事はまだ早いとシスター判断しているのだろう?

「まっ、まぁ……メルコももう少し、大人に成って欲しい者だな///」

 俺は困った笑顔でリンに言って、その場を濁すしか無かった……

 ☆

 夕食作り・配膳・食事・後片付けも問題なく終わって、俺は自分の個室に戻る。
 俺の個室はベットや本棚が有るが、本棚は白・黒魔法に関連する本と、王から貰った『王国兵の心構え』の本しか無い。

「この世界は当たり前だが漫画も無いし、ネット環境も無い」
「活字の本は、商業地域で売っている店を見付けたが、ラノベなんかは絶対に置いてないだろう?」

 俺は『あはは』の表情で一人しゃべりをする。
 この夜の短い時間が、息抜きの時間と成るが、俺は現在娯楽を持っていない。

 リンやアスと談笑を楽しんだり、リンやアスと楽しい事するのが(!?)、本来の娯楽にこの世界は成るのだろう!??
 せめて、新聞やラジオでも有ればな……それか、自分で小説を書くか!?

(リンやアスでとは思わないし……寝るしか能が無いな!)
(明日も朝が早いし、無駄に起きていても意味が無いからな…)

 俺は心の中で感じ、ベッドに潜り込む。
 社会人らしい生活で有るが(?)、これでは前世界と変わらない生活をしているなと、俺は思わず感じてしまった/// 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...