☆第二集☆ チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―王者の剣と二人の美少女との冒険ー

小春かぜね

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長い休息

第1話 心が完全に折れたアス

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 ……

 俺はスズヤ!
 魔王を倒す、勇者に為る予定の男だ?

 これまでの出来事は是非。前作を読んで欲しいのだが、掻い摘まんで言えば、俺は魔法剣を作る出す事が出来る、一応魔法戦士だ。
 初歩的な物に限るが、白・黒魔法の両方を扱う事が出来る!

 しかし、鋼の剣では魔法剣化するには相応しくないので、王者の剣が必要と成った。
 王者の剣で魔法剣を作れば、鋼の剣よりも攻撃力も上がるし、剣が魔法に耐えられるそうだ。

 王者の剣を鍛造するには、タングステンが必須で有り、俺は仲間たちを連れてタングステン鉱石の採取に行った。
 鉱石直前でフウゴルと言う青年が、俺たちを待ち構えていて俺では無く、アスが魔法攻撃でフウゴルを倒した。

 フウゴルはアスの養護施設仲間で有り、アスは俺を守る為にフウゴルを殺した。
 しかし、その代償は大きく、アスはその自責の念に駆られて、心が完全に折れてしまった。

 そして、この戦いは初めて、人間を殺した戦いでも有った……

 ……

 大蛇のコハル指導下で現在。王者の剣は鍛造中で有るが、この状況では王者の剣が鍛造出来ても、俺はアスを連れて、魔王を倒す冒険に出る事は出来ない///
 王者の剣が完成するには、約一ヶ月掛かるとコハルから言われているが、その間にアスの心を回復させられたら良いのだが……

 ☆

 俺たちがタングステン鉱石を採取してから、約一週間の時が過ぎる。
 俺は今日も朝から、養護施設の子どもたちの為に、教会側に備わっている厨房で朝食作りをしている。

「~~~♪」

『サクッ』

『サクッ』

 俺は鼻歌を交えながら、この国の主食で有るライ麦パンを包丁で切っている。
 今朝のメニューはライ麦パン、クリームチーズ、牛乳。季節の果物でイチゴを用意した。

 今まで有ったなら、完全予算オーバーの朝食で有る。
 ちなみに、俺が冒険へ出る前に作っていた朝食は、ライ麦パン、牛乳若しくはチーズ等の乳製品のみで有った。

 この国の王であるマッカー・ナポレン王から、前回の鉱床冒険報酬で、この国の通貨で有るかなりの『キラン』を俺は貰った。
 本来なら自分のふところに仕舞っても良いが、この養護施設厨房担当で、俺は教会に雇われているし、この国は銀行が存在しない。

 そのお金をタンス預金する位なら、有効な使い方をした方が良いと俺は感じ、食事の一部をポケットマネーから出している。←シスターからの了解は得ている。
 毎日の食事が豪華に成った事で、俺は子どもたちから信頼を一気に勝ち得た!

 厨房の補佐に、俺をで助けてくれて、養護施設で一緒に寄宿しいるリンが居るが、朝食作りに関しては、リンには手伝って貰ってはいない。
 朝食作りの朝は早いし、それにリンのメインは養護施設責任者で有る。

 そして現在。養護施設の子どもたちを纏めていたアスが、現場には出られない状態が続いているので、リンがその役も兼ねている。
 後少しで、朝食の準備が終わりそうな時に、厨房のドアがノック無しで突然開く!

『ガチャ!』

「おはよ~~。スズヤ君!」

 厨房のドアを開けて入った来たのは、子どもたちの副纏め役に任命されているメルコで有った。
 メルコは笑顔で俺に挨拶をして、俺に言葉を続ける。

「スズヤ君! 今日もお手伝いに来たよ!♪」
「どれから持って行けば良い?♪」

 メルコは、茶髪の天然パーマが少し掛かった女子だ。
 髪の長さはセミロングヘアーぐらいで有り、ピンク色のカーデガンを着ている。

 この子は自分の事を『僕』と言う、僕っ子であり、そして何故か俺をでは無く、で呼ぶ?
 俺は穏やかな表情で、メルコに話し始める。

「あぁ、ありがとう。メルコ!」
「なら、パンは切れているから、パンを持っていて貰おうかな?」

「パンね、分かった。スズヤ君!」

 メルコは笑顔で返事をすると、パンが乗ったトレーを両手で掴んで持っていく。
 メルコがに来たという事は、リンも起きて養護施設の食堂にいるのだろう。

 俺はメルコの手伝いを借りながら、朝食の準備を進めた……

 ……

 朝食に大きな問題は発生しなかったが……今朝も、アスは食堂に姿を見せなかった。
 牛乳を飲み終えたリンが、困った表情で俺に話し掛ける。←スズヤとリンは、子どもたちと一緒に食事を摂っている

「スズヤ……今朝も、アスちゃんは来ませんでしたね」

「……悪いが、リン」
「後で、アスの部屋に食事を頼むよ……」

 俺も困った表情でリンに話す。
 フウゴルの戦い以降。アスは完全塞ぎ込んでしまい、一日中部屋に居るか、部屋から出ても修道服を身に付けて、礼拝堂の神前に懺悔ざんげしているだけで有る。

 当然。神父やシスターもアスのケアをしているが、アスが吹っ切れる気配は全く見せない。
 リンは顔を上に向けながら、俺に向けて話し始める。

「メルコちゃんが代役をしてくれていますから、養護施設の方は問題有りませんが、これがずっと続いてしまうと……私たちだけで、魔王を退治に行く可能性も出て来ますよね?」

「……いや。それは無理だよ。リン…///」
「アスの魔法は必須だ!」

「俺では全く歯が立たなかったフウゴルを、アスは一発のストッレアエルツで倒したからな…!」

 俺は、眉をひそめながらリンに話す。
 幾ら俺が、奇跡の灰(陰陽)魔法使いで有っても、アスと真正面で戦ったら確実にアスが勝つ。

 それだけ、アスが唱える事が出来る黒魔法は、チートレベルに近い魔法で有った……俺なんか要らない位に!//////
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