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第6章 個別ルート 譲羽陽葵編

第567話 一歩前進?

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「ふぅ~~」

 真優美さんは、困った表情に変わりながら溜め息を吐く。
 その後。観念した表情に成って俺に話し始める。

「……まぁ」
「私的には良いんだけど、陽葵も優柔不断な所が有るから、武蔵君の望む進展には凄く、時間が掛かるかも知れないよ?」

「その覚悟が有ればね、私は渋々認めて上げるけど……」

「……」

(渋々か……)
(俺はエリートでも無いし、高身長やイケメンでも無い///)

(俺を陽葵先輩には相応しい男性とは、真優美さんは見ていなかったが、それでも真優美さんを説得する事が出来た?)

 真優美さんの言葉の後。
 俺は陽葵先輩に顔を向けて、真剣な眼差しで話し始める。

「陽葵先輩……!」
「まだ、男としては半人前ですが、俺も今の関係を望んでいます!!」

「ですので……今後も、一緒にお茶をして行きましょう!///」

 俺と陽葵先輩を繋ぎ止めている接点は現在『撫子』店内しか無い。
 今後は『撫子』以外に範囲は広がるはずだが、現段階で告白らしい言葉と言えば、それしか思い付かなかった///

 俺は陽葵先輩の趣味を本当に知らないし、俺の趣味も陽葵先輩が興味を持つとは言えないだろう。
 俺の言葉を聞いた陽葵先輩は、頬を染めた優しい表情で俺に話し始める。

「うん……ありがとう。武蔵君//////」
「こんなお姉ちゃんで良ければ、改めてよろしくね。武蔵君……//////」

『……ぱち、ぱち』

 真優美さんは『仕方ないな!』の表情で拍手をしてくれる。
 これで、俺と陽葵先輩との関係が一歩前進出来た。

 しばらくはこの関係が続くのだろうけど、真優美さんからも一応認められて、後は学園の方も大きな揉め事が起きなければ、俺は学園内でも陽葵先輩と堂々と付き合える関係と成る……

 ☆

 その後は時間が時間なので、お開きと成って俺は『撫子』から出る。
 店の外に出ると、冬の時期で有るが完全夜の時間帯で有った。

 当然、見送りなどは無く(今までも無かった)、俺は『撫子』からその最寄り駅に向かう。
 俺と陽葵先輩の関係は一歩前進出来たが、当分の間は今まで通りの関係と成る。

「……」

(俺は……葉月学園一の美少女で有る、陽葵先輩と関係を更に深めた!)
(本来なら凄く嬉しい事なのに、何故か全然嬉しくない……)

 今回も変だが、俺は自分一人の力で、陽葵先輩と関係を深めたのでは無い。
 真優美さんから始まり、亜紀やキッドの間接支援も有って、俺は陽葵先輩と関係を深めた。

(亜紀の時もそうだが、俺は本当に男としてはダメだな…)
(俺は半人前だが、どうやったら一人前の男に成れるのだろうか……)

 一人前の男基準なんて、単純に言えば成人する事で有るが、現実はそうでは無い。
 社会に出る事で一人前扱いされれば、結婚してから一人前扱いされる場合も有る。

(陽葵先輩との今後の前に、亜紀と一度話し合わないとな)
(でも、そんな事しても亜紀が困惑するだけか……)

 今回の件に亜紀が絡んでいるのは間違いないが、亜紀だって表沙汰にしたくないのだからキッドに態々わざわざ頼んだだろう。
 それを、俺と陽葵先輩で亜紀に詰め寄るのも、余り良い行動とは言えないだろう。

 俺は今後の事を考えながら『撫子』から自宅に戻った。

 ……

 その日の夜更け。
 俺は虹心を自室に呼んで、陽葵先輩との関係進展を報告した。

 だが、亜紀の事やキッドが間接支援をしている事を、虹心に話すとややこしくなるので、バレるまで黙っておく!?

「良かったね。兄ちゃん!」
「急に譲羽先輩が前向きに成ったのが不思議だけど、一歩前進出来て本当に良かったね!♪」

 と、虹心は笑顔で祝福してくれた。
 けど、虹心の中では『譲羽先輩も、母性本能をくすぐられてしまったか///』、『兄ちゃんは妹の私から見ても、ダメダメ兄ちゃんだからね!///』と感じているのだろう?

 しばらくはこの関係が続くのだろうけど、それでも俺は陽葵先輩との関係が一歩前進出来た!
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