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第6章 個別ルート 譲羽陽葵編

第548話 元カノからの呼び出し

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『武蔵君。久しぶり!』
『この手紙を読んでいると言うことは、手紙に気付いたね』

『16時30分に、何時もの場所で待っている』
『その場所は、言うまでも無いよね?』

『少し話したい事と、気に成った事が有るから』

『伊藤亜紀』

「……」

(亜紀が俺と話しをしたい?)
(俺と亜紀の関係は終わっているのに、亜紀が復縁を求めてきた!?)
(……の訳無いか)

(何時もの場所って……中等部の花壇で良いのだろうか?)
(まぁ、其処しか思い付かないし、特進コースの自習室では無いのは確かだろう)

 亜紀からの手紙を読みながら、俺は心の中で思う。
『何で、今更…』感は出て来るが、短い期間とはいえ、俺と亜紀は恋人関係の時が有った。

(それにしても、サバサバした文章だな…!)
(亜紀らしいと言えば亜紀だし、文章的に亜紀自身が書いた物で間違いは無いだろう)

(RailのIDや連絡先も、亜紀と別れた直後。亜紀からのお願いで、お互いが目の前で削除したからな……)
(でも、俺には現在。陽葵先輩と実質恋人関係で有るし、もし、亜紀が復縁を求めてきても、俺は断るしか無いぞ!)

 俺に、この後の予定は特に無いし、元カノからの呼び出しで有るから、それを無視をする訳にも行かない。
 それにそれを無視すると、それはそれで、ややこしい事に成りそうだし!///

 亜紀が指定した時間までは、まだ時間が有るので、俺は運動靴に履き替えて、其処から学園敷地内に在る図書館へ向かう。
 冬の時期は、屋外では寒くて時間を潰しにくいからな!

 ……

 図書館で時間を潰してから、俺は待ち合わせとなる、中等部の花壇に向かう。
 指定された時間の5分前に、俺は花壇に到着する。

 けど、時間には比較的厳しい亜紀の割りには、亜紀の姿は見えなかった。
 多分だが、特別授業がまだ終わっていないのだろう。

 その中等部の花壇では、亜紀と昼食を一緒に食べたり、亜紀と密会をする場所でも有った。
 只、中等部の花壇なので亜紀との昼食後。その花壇で運悪く小鞠ちゃんと鉢合わせをしてしまい、その花壇で、小鞠ちゃんと仲違いをする原因を作ってしまう!///

 小鞠ちゃんは園芸クラブの所属で有り、あの時の小鞠ちゃんは花壇の様子を、昼食の時間を使って見に来ていた。

(小鞠ちゃんとは一応。関係を回復出来たが、それ以降は三國家に全く遊びに来なくなってしまったな…)

 俺が小鞠ちゃんと喧嘩をして、一応仲直りした以降。今まで定期的に行われていた、小鞠ちゃんが三國家への泊まり掛け行事が無くなった。
 俺と喧嘩をした夕方。小鞠ちゃんは木付と言う、同級生及び同じクラブの男子に告白されて、一気に彼氏が出来てしまったのも有るが、俺への後ろめたさも有って、小鞠ちゃんは三國家に遊びへ来なく成ってしまった。

 今では逆に虹心が、小鞠ちゃんの家に泊まり掛けへ遊び行くように変わった。
 虹心は家事のプロフェッショナルだし、虹心と小鞠ちゃんの関係は変わっていないから、そのように成った。
 それに、虹心が作る料理を小鞠ちゃんが食べたいらしいから、却ってその方が都合が良いらしい。

(あの時…。小鞠ちゃんを煙に巻かなければ、俺と小鞠ちゃんの関係は第2の妹の関係が続いていたのだろう……)

 過ぎてしまったことを後悔しても仕方ないが、俺は案外、罪作りな男で有る。
 二村、小鞠ちゃん、亜紀、今日香ちゃん……俺は4人の女性を不幸にしている?

 俺はそんな事を思いながら、待ち合わせの場所と成る、中等部の花壇で亜紀が来るのを待つ。

 指定された時間を5分ほど過ぎた所……カバンを持った亜紀が花壇の方に近付いて来る。
 俺の存在に気付いた亜紀は、澄ました表情で声を掛けながら俺の側に来る。

「久しぶり。三國君!」

(……亜紀の奴)
(手紙では『武蔵君』と書いておきながら、呼び方は『三國君』で呼ぶか…)

「あぁ……」


 その不満が表情に出てしまい、俺は“ぶっきらぼう”な口調で亜紀に言ってしまう。
 けど、亜紀はそれを気にせず、澄ました表情で言葉を続ける。

「突然……、呼び出してごめんね!」
「少し気に成った事が有ったから……」

「それは……手紙でも読んだよ」
「それで亜紀。気に成った事とは?」

 俺も澄ました表情で亜紀に尋ねる。
 すると亜紀は、真面目な表情へ急に変わって俺に言い始めた!
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