俺のモテない学園生活を妹と変えていく!? ―妹との二人三脚で俺はリア充になる!―

小春かぜね

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第5章 個別ルート 伊藤亜紀編

第442話 三人での演劇鑑賞 その3

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「主役争いも……想像以上に凄まじいのですね!///」
「私は劇でヒロインを演じたことが無いので、何とも言えませんが、真優美さんにとっては思い出深い話しですね…」

「!」

(美少女の亜紀が、劇でヒロインを演じたことが無い!)

 亜紀は真優美さんに真面目な表情で話す。
 俺は心の中で思いつつ、亜紀に尋ねる表情で話し掛ける。

「亜紀って……顔立ちが凄く良いのに、今まで劇のヒロイン役を演じたことが無いの?」

「ないよ。武蔵君!」
「劇のヒロインなんて覚える文章セリフも多いし、動作も多い!」
「それに、注目の的にどうしても成ってしまう」

「推薦はされたことは有るけど、私がみんな断わったわ」
「私は、どうでも良い配役に徹した」

 亜紀は澄ました表情で俺に言う。
 俺は少し困った表情で、亜紀に返事をする。

「そっ、そうなんだ…///」

(亜紀は目立ちたがりの性格では無いからな)
(そう考えると……亜紀は昔からずっと美少女だったんだよな?///)

「学園を卒園してからは……吟子ちゃんとは会っていないけど、元気でしているかな?」

 真優美さんは微笑みながら呟く。
 真優美さんがこれから見る演劇部の白雪姫は、真優美さんの青春や葛藤も、心の中で再現されるのだろう……

「……」

 真優美さんの話しに区切りが付いたタイミングで、俺はトイレに向かう。
 真優美さんがかなり語ってくれたお陰で、公演時間はギリギリに迫っていた。
 俺がトイレから戻って来るまで、劇は始まるなよ。

 ……

『ビーーー♪』

『……ただいまより、葉月学園。合同演劇部による、白雪姫が開演されます!』

 俺がトイレから戻って来た直後に、ホールのスピーカからブザーが鳴ってその後、公演始まりを告げるアナウンスが流れる。
 本当に開演ギリギリで有った。

 ホールの照明が暗くなり、幕が上がると同時にホール内の観客達が、一斉に拍手を始める。
 俺たち三人も同じように拍手をする。

『パチ、パチ、―――♪』

『パチ、パチ、―――♪』

 幕が上がり、演劇部の演劇で有る白雪姫が始まる……
 虹心は出て来ない白雪姫の演劇を俺と亜紀。真優美さん三人で鑑賞する。

 ……

 劇も中盤に差し掛かり、背景の切り替えが行われる。
 学園のジャージを着て黒子役に成っている、演劇部の人達が手早く背景の切り替えをしている。

「…あれ?」
「右端に居るあの子……虹心ちゃんじゃない?」

 亜紀が、小声の落ち着いた口調で呟く。
 亜紀の言葉で、真優美さんも同調する。

「あら、本当ね…!」
「偶然だけど、虹心ちゃんも見られちゃった」

 亜紀や真優美さん言葉で、俺はステージ右端を凝視すると……裏方の虹心が、暗幕からチラチラと姿を見せる。

「……」

 虹心の表情は良く見えないが、素早く黒子から道具を受け取ったり、手渡したりしている。
 虹心の姿も学園ジャージ姿で有る。

(外でも機敏に動くな。虹心の奴)
(あれだけの動きが出来れば、幽霊部員でも演劇部の居心地は良いはずだ!)

 亜紀は嬉しそうな口調で、俺に小声で話し掛けてくる。

「武蔵君!」
「さっきの虹心ちゃん見た?♪」
「裏方だけど、一生懸命頑張っているね!」

「虹心は真面目だし、何でも全力で行う妹だからな!」
「あれだけの動きが出来れば、幽霊部員でも文句は言われないはずだ!!」

 俺は亜紀に小声で有るが、張りの有る口調で言う。
 亜紀は落ち着いた口調で、俺に話し始めた。
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