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第5話 お別れと学童保育

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 七瀬は呟き。直ぐにソファーから立ち上がり、ダッシュでその人と母親の元へ向かって行く。

『ダッ、―――』

「!」

 俺は突然のことで驚いてしまう!
 俺は座りながらだが、七瀬に向けて別れの挨拶をする。

「バイバイ~~!」
「元気でね~~!!」

 俺がそう声を掛けると……七瀬は立ち止まって、俺の方に顔を向けて『バイバイ…!』と、嬉し恥ずかしそうな表情で、別れの挨拶をしながら手まで振ってくれた!
 その後。直ぐに七瀬は走り出して、声を掛けた女性と母親の元に行く……

(七瀬ちゃん…///)

「―――」

「―――」

 俺は座りながら、その様子を眺めているが、七瀬は凄く嬉しそうな表情で母親に話し掛けている。

(最後の最後で、可愛らしい姿を見せてくれたな!///)
(あの子はきっと、優しい子なんだろうな!///)

 俺が……七瀬とその母親を眺めていると、二人が俺の方に視線を向けるが、嫌悪感を出している感じはしないので、多分問題ないだろう?
 問題が有ったら今頃、この施設の職員が俺を捕まえに来ているはずだ!?

(七瀬ちゃんは……お母さんが大好きなんだな…!)
(だが、こんな所に学童保育施設が有ったなんて……)

 学童保育所(施設)……
 共働き家庭の児童(小学生)を、一時預かりするサービスで有る。
 小学一年生から六年生まで利用出来るが、地域によっては小学三年生までの施設も有る。
 だが、殆どの施設では小学六年生まで利用出来る。

 七瀬のプライベートは残念ながら聞けなかったが、聞いても意味が有るわけでは無いので、良しとしよう!?
 入浴後の休憩が十分に出来た俺は、いよいよ帰路に就くわけだが、その前に学童保育施設の方を少しうかがってみる。
 実際の学童保育現場を、俺は見てみたいと感じたからだ。

 飲み終わった空き牛乳瓶を、所定の場所に戻してから、俺は学童保育施設の方へ近付いてみる。
 ロビーの端に学童保育施設が有って、その出入り口扉は開かれており、中からは子どもたちの賑やかな声が聞こえてくる。

『きゃ~~、わ~~♪』
『それ~~~』

『ねぇ、それ貸して~~!』
『良いよ~~♪』

 声をの感じからして、楽しそうな雰囲気を感じ取れる!

(うーん……だが、この感じだと高学年の七瀬ちゃんには、居場所が無かったのかも知れないな!)
(……室内に七瀬ちゃんの姿は見えないから、お母さんと帰ったな…)

 学童保育室内は、低学年が中心に楽しく遊んでいるが、高学年に成ると室内での居場所が無いのかも知れない。
 子どもたちが、部屋中を使って遊んでしまうからだ。

(雰囲気的に七瀬ちゃんは、お姉さんをするタイプでは無く、物静かな感じがしたからな…)

(それにしても……学童保育か!)
(今度はこんな職業に、就いてみると面白いかも知れないな…!)

 これが初めて、俺が実際に見た学童保育現場で有った。
 テレビや新聞で学童保育は以前から知っていたが、現場を見たのは初めてで有った。

 実際は覗き見だけど……///
 けど、俺の中で、見えない何かが動き始めた気がした。
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