男の娘を好きに成っても良いですか?

小春かぜね

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第75話 喫茶店でのランチタイム♪ その1

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「でもね、颯太さん。これにはちゃんとした理由が有るの!!」

 朱里さんは少し真面目な表情で、人差し指を突き上げながら言う。

「はぁ……」

 俺は少し呆れながら、朱里さんの話を聞く。

「造船は限定的だけど、この県は学生服製造も盛んなのよ♪」
「もちろん、さくらちゃんが着ているセーラー服一式も地元県産よ!♪」

「この時期は観光客がたくさん訪れる時期だし、地域おこしの一役も、さくらちゃんに買って貰っているのよ♪」
「一応、期間限定と言う事で、地元の飲食店組合からは許可を貰っているから、全く問題は無いよ! 颯太さん!!」

 朱里さんは和やかな表情で言う。
 そう言った団体に根回しをしているのなら、多分大丈夫だし、更に期間限定なら大事に成っても、さくらのセーラー服エプロン姿を止めさせれば良い。

(それなら、仕方ないか!)
(さくらは、あくまで男性だし!!)

 俺は心の中でそう思うが、何故か安心した気がした!?
 あの姿は……俺だけの者にしたい!?

「……それなら、大丈夫ですね。朱里さん!」

「うん!」
「今月末までの限定だから、最悪の事態には成らないと思う!」
「さて、お料理を持って来たから、配膳するね!!」

 朱里さんは笑顔で言って、料理の配膳を始める。
 朱里さんが俺にメニューを聞かなかったのは、出させる料理が事前に決まっていたからだ。

「……カツカレーですか!」

 トレーに乗って、持っていた時から既に分かっていたが、朱里さんが配膳する時にワザと俺は口にする。

「そう! カツカレーだけど、手作りトンカツと『ひなた』自家製カレーだよ♪」
「今日は颯太さんがこちらに来るから、私も頑張ったよ!♪」

 本当に抱きしめたく成る笑顔で言う朱里さん!!
 今更ながら、テーブルにコップとおしぼりが三つずつ有るのが理解出来る。
 このテーブルで、朱里さんも一緒に食事を摂るからだ!!

「今から、サラダとドレッシングを持ってくるから、まだ食べちゃ駄目だよ♪」
「お二人さん!!」

 カツカレーライスを三皿テーブルに配膳し終えた後、朱里さんは笑顔で言いながら足早に厨房に戻って行く。

 この喫茶店のカツカレーライスはカレー皿では無く、少し大きめな丸皿に盛り付けられている。
 ライスが盛られた中央にトンカツが置かれており、その上からたっぷりのカレールーがかけられている!

 カレールーは見た感じ、スパイスがたっぷりなどの色合いはしていなくて、家庭的な色合いのするカレールーで有る。
 トンカツも食べやすい様に包丁が入っており、美味しそうなトンカツで有る。

「美味しそうなカツカレーだね。さくら!」

 朱里さんは直ぐには戻って来られないので、俺はさくらに笑顔で声を掛ける。

「はい!」
「美味しそうと言いますか、美味しいですよ。颯太さん!♪」

 さくらは和やかな表情で言う。
 さくらもう、食べたことが有るのか。このカツカレーを?

(本当に美味しそうなカツカレーだけど……さくらまだ、この姿をする必要が有るのか?)

 俺へのドッキリ(!?)は大成功だろうし、さっき朱里さんから『ここまで良いよ♪』、『後は、颯太さんと仲良く過ごしてね!♪』と言っていたのだから、ずっとこの姿をしている必要も無いと俺は思うが……

「なぁ、さくら…。もう、アルバイトは終わりなんだろ?」
「着替えに行ったりはしないのか??」

 食事直前に、こんなことを言っては駄目かも知れないが、カレーのルーでセーラー服を汚す危険性も有る。
 俺的にはそのままの格好でも良いが、喫茶店制服なら汚さない方が良いと思い、そう、さくらに声を掛けた。

「大丈夫ですよ! 颯太さん!!」
「エプロンもしていますので!!♪」

 さくらは笑顔で言う!?
 折角、心配して上げたのに!!

(まぁ、さくらが良いなら。それで良いや!!)
(普段もランチと言うより、“まかない”を食べてからアルバイトを終えているのかも知れないな…!)

 俺はそう思うことにした。
 それにしても、本当に美味しそうなカツカレーだ♪
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