上 下
46 / 100

第46話 朱里さんとさくら

しおりを挟む
「あっ……ごめん。さくら!//////」
「少し、朱里さんの言葉に呆気を取られたから……」

 俺はさくらに謝る。
 さくらが同性とはいえ、今は恋人関係だ!?

「颯太さんが女性を意識するのは……仕方ない部分も有りますけど、今私達は恋人関係ですから!!」

 さくらは、はっきりとした表情で言う!!
 恋人同士では有るが……俺とさくらは同性だ。
 俺の目の前に理想の人(?)が居るのに、俺は蛇の生殺し状態で有った……

「あはは……ごめんね。颯太さん!」
「少し、さくらちゃんを怒らせてしまった!!」

 朱里さんは手を合わしながら、困った笑顔で謝ってきた。
 俺が声を掛ける前に、さくらが朱里さんに声を掛ける。

「……朱里さんも、少しは控えてください!」

 さくらが、朱里さんに少し強い口調で言う!?
 朱里さんに強気に出る場合も有るんだ!?

「だから、ごめんって、さくらちゃん!//////」
「颯太さんが本当に真に受けてしまったから、私自身でもびっくりなんだよ!///」

 朱里さんは困った笑顔状態で、さくらに謝っている。
 先ほどのことは、完全冗談扱いにする朱里さんだが、果たして本当だろうか!?

「もぅ!」
「颯太さんは初心うぶなんです!!」
「女性の免疫が全く無いから、朱里さんの言葉でも直ぐに、心を引かれてしまうのです!!」

 さくらは朱里さんを少し小馬鹿にした発言をするが……朱里さんの表情は困った笑顔のままだった。

「ごめん、ごめん、さくらちゃん!//////」
「これからは、軽い発言はつつしみます!!///」

 手を合わせ続けながら謝る朱里さん。
 朱里さんがそんなに悪い訳では無いのに……

(けど……俺がここで余計な事を言うと、さくらを更に怒らせるからな!)
(黙っていよう……)

「本当ですよ……//////」
「颯太さんは、私の者ですから!」

 さくらはねた静かな口調で言うが……朱里さんを許す表情に変わる。

(これは凄い物を見てしまったな……)
(多分……朱里さんは俺に気が有るだろう!)

(そして、それを取られまいと抵抗したさくら……)
(これが二人共女性だったら、俺には美味しい展開に発展とか言えるが、女性は朱里さんだけだ……)

(けど……さくらの嫉妬心や、執着心も半端では無いな……)
(真面目少女の雰囲気も有るが、意外どころか、かなり意地も有りそうだし、押す時は押してくる…。これは同性婚まで行ってしまうか!?)

「はい!」
「生ビール中、ノンアルコールビール、ジンジャーエール。お待ちどおさま!」

 俺が心の中で色々と考えている内に、お店のおばちゃんが、ビールやドリンク類を持って来た。

「後これは……お通しでは無くサービスで、イカ数の子」
「料理が出来るまで、それをおつまみにしていて!」

「あっ、ありがとう。おばちゃん♪」

 店のおばちゃんが、イカ数の子が入った小鉢も人数分配膳してくれる。
 朱里さんだからのサービスか、この店自身のサービスかは分からないけど?

「さて……ちょっと、アクシデントが起きましたが、乾杯をしましょうか!」

 朱里さんは俺達に向けて、和やかな表情で言う。
 先ほどのことは、本当のアクシデントで有った。

 朱里さんやさくらは、飲み物がジョッキやコップに入って配膳されているが、俺の場合は瓶で出て来たから、急いでコップにノンアルコールビールを注ぐ。
 俺はノンアルコールビールを注ぎながら、さくらの表情を窺ったが、穏やかな表情に戻っていた。

(元々、二人の関係は良好だから、これ以上後は引かないだろう!)

 俺がコップにノンアルコールを注ぎ終えたタイミングで、朱里さんが言葉を発する。

「では、みんなでコップを持って乾杯しましょう♪」

 和やかな表情で言う朱里さんの音頭で、俺とさくらはコップを手で持ち上げる!」

「では、二人の恋人成立記念に乾杯~~」

「乾杯~~」

「乾杯~~♪」

 朱里さんはそう言いながら、自分のコップを俺とさくらのコップに近づけて来る。
 俺とさくらも『乾杯』と言って、俺とさくらも朱里さんのコップにコップを近づける!

『カチン♪』

 こうして、俺とさくらの恋人成立記念を含めた、お食事会が始まりだした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

たとえ性別が変わっても

てと
BL
ある日。親友の性別が変わって──。 ※TS要素を含むBL作品です。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話

ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに… 結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?

女装趣味がバレてイケメン優等生のオモチャになりました

都茉莉
BL
仁科幸成15歳、趣味−−女装。 うっかり女装バレし、クラスメイト・宮下秀次に脅されて、オモチャと称され振り回される日々が始まった。

不夜島の少年~兵士と高級男娼の七日間~

四葉 翠花
BL
外界から隔離された巨大な高級娼館、不夜島。 ごく平凡な一介の兵士に与えられた褒賞はその島への通行手形だった。そこで毒花のような美しい少年と出会う。 高級男娼である少年に何故か拉致されてしまい、次第に惹かれていくが……。 ※以前ムーンライトノベルズにて掲載していた作品を手直ししたものです(ムーンライトノベルズ削除済み) ■ミゼアスの過去編『きみを待つ』が別にあります(下にリンクがあります)

言いなりになるしかない僕の話

あおい
BL
男に秘密を握られた僕が、女の子の格好をさせられ、自分の意思とは関係なく、男に奉仕させられるお話です。

処理中です...