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エイプリルフール②
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これも本編にあったやつを移動。
前回とも違う性別反転現代ネタ。
イケメン陽キャ→→→実はかわいい陰キャ。
乃愛(ノア)→高2♀。3学期。かわいいくせに前髪伸ばして陰キャ。でも別にオタクでもないし素が暗いわけじゃない。
乙幡 瑞季(ミズキ)→高2♂。鬼陽キャ。インフルエンサーってもちあげられちゃって、案件で停学くらったのバカらしくて前の学校やめて転入してきた。自他共に認める顔整いまくり男。
*****
「乃愛ちゃんはずーっと僕が守ってあげる」
そう言われたのは小学校に上がる前。同じ幼稚園の子に言われたんだ。
「乃愛、これ代わりにやっといて」
高校生になった今くそみたいな同級生に厄介事押し付けられるのも慣れた。暴力振るわれるようないじめじゃないだけまし、ちょっと成績が他よりいいからって妬みやばすぎ。妬むくらいなら勉強すればいいのにマジめんどくさい女達。
押し付けられたのは集めたノートを体育教官室まで持っていくこと。なんで体育教師って職員室にいないの?めんどくさすぎ。でもまぁ文句言わないけど。さっさと卒業したい。
「ノート持ってきました」
「別のやつに頼んでたのに…ごめんな、お前勉強忙しいのに」
「いえ、大丈夫です」
だって別にしなくても勉強できるタイプだし、何かを知ることは楽しい。
「じゃあさ、来週転入生来るんだけど当日の職員室までの案内頼んでもいいか?朝練あってさー」
先生の言うことじゃない。まぁ逆らっても面倒だし聞いておくに限る。
「わかりました。少し早めに登校すればいいですか?」
「あぁ助かる。相手とんでもない容姿だからすぐわかると思うぞ。まぁまだうちの制服じゃないからそれでもわかるけど。まぁ頼んだ、じゃあ来週な」
そうか今日は金曜日か。塾行って自習室行こ。
*****
担任が体育教師なのを呪ったのは今日が初めてだ。勉強のことあれこれ言わず、部活優先の人だから干渉もしてこないいい先生だと思っていたのに。
月曜日大雨、いつもより早く登校。もう最悪。しかも正門で立って待ってろ、もー最悪。朝練組はもう校内で朝練してるけど、雨で朝練できないくせに早く来る運動部とかマジで何考えてるんだろう。
「2年の乃愛じゃん。なに?またいじめられてんの?」
「ちがいます。」
「普段ギリギリ登校の人間がこんな大雨の時に校門のとこ立ってるかよ、ほら中行こうぜ」
声をかけられるのは厄介だ。しかも口振りからすると3年生、あー、めんどくさい、目立つじゃん。
「ちょっとその子に用あるんだけど」
違う声のまた男。え?なに修羅場?ってかんじで早め登校組がじろじろ見てくる。あーまじなんなの?って傘を傾けて声の主をみたら知らない制服の人だった。あっ転入生じゃない?
「はぁ?誰だよお前」
「今日からの転入生。この子に案内してもらうって先生に言われてるから」
「ちっ、なんだよ」
いやいや、謝れよって思いながら謎の先輩はいなくなった。
「…ありがとう」
「いーえ。こっちこそありがとう。雨の中ごめんね」
傘を傾けたらとんでもないイケメンがいた。キラキラしてる。うわっ
「ねぇ、家ってずっとこの近所?」
「え?なんで?そうだけど」
「…幼稚園ってあの大通り沿いの赤いチェックの制服のところだった?」
え?なにこわ。なんで知ってるの?転入生なんでしょ?
「もしかして、、のあちゃん…だよね?」
前髪を斜めにわけて覗かれた。知り合い?え?こんなとんでもイケメンいた?いや、今にして思えば幼稚園の時はとんでもないイケメンとかわいい子が数人いたような…そう、議員の娘と警察官の娘と官僚の娘!仲がよかったけどみんな幼稚園の転入試験受けたり小学校受験したりで今はバラバラだ。
「俺、俺だよ」
詐欺じゃん詐欺。おれおれ詐欺ってマジでこんなかんじ。なに?騙されんのかな?ハニートラップ?
「乙幡。覚えてない?幼稚園一緒だったじゃん。乃愛ちゃん覚えてない?瑞季だよ」
幼稚園のとき一緒だったご近所さんだ!同じバスに乗って幼稚園に行ってた。最近二世帯住宅に建て直してたのは乙幡さんのお家だ。確か娘さんがシングルマザーだけど海外の人と結婚して息子をつれて帰ってくるってママが言ってた気がする。
「みずきくん…?あの俺はアイドルになるから世の中の女の子は全部俺のものって言ってたみずきくん?」
「っ…あー、、、多分それで当たり。のあちゃんそんなふうに覚えてたの?」
「うん。ママ、あー、お母さんもいつも『瑞季くんはあの事務所に絶対入る!』って言ってたよ」
「のあちゃんママまだ引っ越してから会ってないから会いたいな」
人目が厳しくなってきた。
「ねぇ職員室まで連れていくの頼まれてたから早く行こう」
「のあちゃんが連れてってくれるなら急いでもいいよ」
あー、軽い。昔好きだった人がチャラくなって現れるとか少女漫画なら恋愛に発展だろうけど、私はなかった。
彼を職員室まで連れていってHR始まるまで図書室に行った。保健室でもよかったけど体調悪い訳じゃないし。
HRは転入生の紹介でおわった。もうびっくりするくらいキャーキャー言われてた。
HRどころじゃなくそれはもう一日中どころか数日経ってもも続いていた。
「ねぇのあちゃん、一緒に帰ろう」
いつもなら何人も連れているこの男に昇降口で言われた。
「え、塾だから」
「一回家帰るでしょ?すっごい近所だし一緒に帰ろーよ」
「やなんだけど」
そこの別クラの下駄箱に女達隠れてるのわかってるし、なにこれ新手のいじめ?
「いっぱいいるあなたのお友達に変に絡まれるのもいやだからやめて」
言ってやった!もうこれで減るはず!「みずきのなんなの?」とか。いやあんたこそなに?って言い返したかったけど移動教室だったし無視した。「幼馴染みとかちょーし乗るな」はさすがに笑った。幼馴染みなのは仕方ないし調子にはのってない、むしろ調子は下降した。それはわかってくれたみたいで退散してくれたけど。
「なんで?」
「は?なんでもなにも迷惑なんで」
「なんでそんなに突き放すの?のあちゃん俺のこと、きらいになったの?」
嫌いもなにもただの幼稚園が一緒だった何年も会ってない幼馴染みなだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
それがなんだ?目の前で泣きそうになっているこのキラキラした男は
「とりあえず帰るから」
ローファー履いて無視して早めに帰る。厄介案件すぎるでしょ、こんな華やかな男とはなるべく関わりあいたくない。
「そのだっさい髪型も全然似合ってない。顔かわいいのになんで前髪で隠すの?せめて分けなよ」
昇降口出た所で急いで靴履いて出てきたこの男に前髪をあげられた。
「ちょっ、やめ」
「やっぱり。誰よりも可愛いのに。本当にのあちゃんはのあちゃんのままだったね。もっと性格も可愛げがあってもいいけど、これはこれでかわいいのかもね」
なんなんだこの男。この学校の昇降口は校舎で取り囲まれてるから教室から丸見え。もう最悪。めちゃくちゃ目立ってるじゃん。
「のあちゃん、今はいいけどこれからは逃げないでね」
パッと手を離して目の前の男は言ったけれど約束はできそうにない。とにかく走ってこの場から逃げた。塾?そんなもん集中できるわけない。もう、なんなのよ本当…
「ねぇ乃愛、もう会った?」
家で夕飯を食べていると母に言われた。本当になんのことかわからなかったので聞いたらあの男のことだった。
「瑞季くん!SNSママフォローしちゃった!もーー!!!めちゃくちゃイケメン!!!!」
すっごいルンルンしてる。
「よかったね」
「乙幡さんのところのママに会ってね、旦那さん外国人だったわよ!まーもー!相変わらず美しいママさんよ」
「よかったね」
「それでね、乃愛に会いたいってお呼ばれしたんだけど、土曜日あちらのおうちに行くわね」
うわーやだー
「塾行ったりはダメ、絶対よ」
逃げ場もなくなった。あんな超絶陽キャとかほんと勘弁してほしいんだけど、ママが喜んでるから仕方ないかもしれない。
*****
「のあちゃんママは泊まってくって」
人の家で酔いつぶれたママに申し訳ない気持ちで一杯である。母が失礼した、大変申し訳ないと乙幡夫妻に頭を下げたら大笑いしながら「酔いつぶれるほどつまみと酒が美味しかったんだから光栄だ」とグラス片手に言われた。あの夫妻はまだ飲むらしい。
「お邪魔しました」
夫妻と祖父母にはご迷惑おかけしますと挨拶はした。
今は玄関まで送ってくれたみずきくんに挨拶だけして靴履いて出ようとしたら「送ってく」ってみずきくんも靴履きだした。いや、徒歩1分?くらいの超絶近所だから送りとかいらないって拒否ってもダメだった。
「もう玄関だからいいよ、ありがとう」
「ねぇ、やっぱりさ…おれのこと嫌い?」
とんでも整った顔で泣きそうな顔で言われて「そうです」と答えられるほど私は強心臓を持っていなかった。
「そんなこと、ない、けど…」
「俺は好き」
手首を引かれて引き寄せられたと思ったら後頭部がっつり掴まれてキスされた。なんだ?え?少女漫画?
「そいつ絶対何人も女いるしみんなに同じこと言ってそうじゃね?」
「ひどいっ!ミズキいじわる!」
「えー、ありのままを伝えただけなのにー」
あまりにも衝撃的な夢だったからミズキにも共有して、きゅんとした僕と、そんな男を信用してはいけないミズキとでちょっと揉めた。
「ちょっと強引な方が好きなの?」
「そんなことないとおもうけど…」
ちょっと考えるそぶりを見せたら肩を押されてベッドに押し倒されて馬乗りになられた
「これでも好きじゃないって?」
「…好き。ミズキ好き」
「良くできました」
キスしてもらえた。やっぱりちょっと強引なミズキも好きかもしれない。
end
前回とも違う性別反転現代ネタ。
イケメン陽キャ→→→実はかわいい陰キャ。
乃愛(ノア)→高2♀。3学期。かわいいくせに前髪伸ばして陰キャ。でも別にオタクでもないし素が暗いわけじゃない。
乙幡 瑞季(ミズキ)→高2♂。鬼陽キャ。インフルエンサーってもちあげられちゃって、案件で停学くらったのバカらしくて前の学校やめて転入してきた。自他共に認める顔整いまくり男。
*****
「乃愛ちゃんはずーっと僕が守ってあげる」
そう言われたのは小学校に上がる前。同じ幼稚園の子に言われたんだ。
「乃愛、これ代わりにやっといて」
高校生になった今くそみたいな同級生に厄介事押し付けられるのも慣れた。暴力振るわれるようないじめじゃないだけまし、ちょっと成績が他よりいいからって妬みやばすぎ。妬むくらいなら勉強すればいいのにマジめんどくさい女達。
押し付けられたのは集めたノートを体育教官室まで持っていくこと。なんで体育教師って職員室にいないの?めんどくさすぎ。でもまぁ文句言わないけど。さっさと卒業したい。
「ノート持ってきました」
「別のやつに頼んでたのに…ごめんな、お前勉強忙しいのに」
「いえ、大丈夫です」
だって別にしなくても勉強できるタイプだし、何かを知ることは楽しい。
「じゃあさ、来週転入生来るんだけど当日の職員室までの案内頼んでもいいか?朝練あってさー」
先生の言うことじゃない。まぁ逆らっても面倒だし聞いておくに限る。
「わかりました。少し早めに登校すればいいですか?」
「あぁ助かる。相手とんでもない容姿だからすぐわかると思うぞ。まぁまだうちの制服じゃないからそれでもわかるけど。まぁ頼んだ、じゃあ来週な」
そうか今日は金曜日か。塾行って自習室行こ。
*****
担任が体育教師なのを呪ったのは今日が初めてだ。勉強のことあれこれ言わず、部活優先の人だから干渉もしてこないいい先生だと思っていたのに。
月曜日大雨、いつもより早く登校。もう最悪。しかも正門で立って待ってろ、もー最悪。朝練組はもう校内で朝練してるけど、雨で朝練できないくせに早く来る運動部とかマジで何考えてるんだろう。
「2年の乃愛じゃん。なに?またいじめられてんの?」
「ちがいます。」
「普段ギリギリ登校の人間がこんな大雨の時に校門のとこ立ってるかよ、ほら中行こうぜ」
声をかけられるのは厄介だ。しかも口振りからすると3年生、あー、めんどくさい、目立つじゃん。
「ちょっとその子に用あるんだけど」
違う声のまた男。え?なに修羅場?ってかんじで早め登校組がじろじろ見てくる。あーまじなんなの?って傘を傾けて声の主をみたら知らない制服の人だった。あっ転入生じゃない?
「はぁ?誰だよお前」
「今日からの転入生。この子に案内してもらうって先生に言われてるから」
「ちっ、なんだよ」
いやいや、謝れよって思いながら謎の先輩はいなくなった。
「…ありがとう」
「いーえ。こっちこそありがとう。雨の中ごめんね」
傘を傾けたらとんでもないイケメンがいた。キラキラしてる。うわっ
「ねぇ、家ってずっとこの近所?」
「え?なんで?そうだけど」
「…幼稚園ってあの大通り沿いの赤いチェックの制服のところだった?」
え?なにこわ。なんで知ってるの?転入生なんでしょ?
「もしかして、、のあちゃん…だよね?」
前髪を斜めにわけて覗かれた。知り合い?え?こんなとんでもイケメンいた?いや、今にして思えば幼稚園の時はとんでもないイケメンとかわいい子が数人いたような…そう、議員の娘と警察官の娘と官僚の娘!仲がよかったけどみんな幼稚園の転入試験受けたり小学校受験したりで今はバラバラだ。
「俺、俺だよ」
詐欺じゃん詐欺。おれおれ詐欺ってマジでこんなかんじ。なに?騙されんのかな?ハニートラップ?
「乙幡。覚えてない?幼稚園一緒だったじゃん。乃愛ちゃん覚えてない?瑞季だよ」
幼稚園のとき一緒だったご近所さんだ!同じバスに乗って幼稚園に行ってた。最近二世帯住宅に建て直してたのは乙幡さんのお家だ。確か娘さんがシングルマザーだけど海外の人と結婚して息子をつれて帰ってくるってママが言ってた気がする。
「みずきくん…?あの俺はアイドルになるから世の中の女の子は全部俺のものって言ってたみずきくん?」
「っ…あー、、、多分それで当たり。のあちゃんそんなふうに覚えてたの?」
「うん。ママ、あー、お母さんもいつも『瑞季くんはあの事務所に絶対入る!』って言ってたよ」
「のあちゃんママまだ引っ越してから会ってないから会いたいな」
人目が厳しくなってきた。
「ねぇ職員室まで連れていくの頼まれてたから早く行こう」
「のあちゃんが連れてってくれるなら急いでもいいよ」
あー、軽い。昔好きだった人がチャラくなって現れるとか少女漫画なら恋愛に発展だろうけど、私はなかった。
彼を職員室まで連れていってHR始まるまで図書室に行った。保健室でもよかったけど体調悪い訳じゃないし。
HRは転入生の紹介でおわった。もうびっくりするくらいキャーキャー言われてた。
HRどころじゃなくそれはもう一日中どころか数日経ってもも続いていた。
「ねぇのあちゃん、一緒に帰ろう」
いつもなら何人も連れているこの男に昇降口で言われた。
「え、塾だから」
「一回家帰るでしょ?すっごい近所だし一緒に帰ろーよ」
「やなんだけど」
そこの別クラの下駄箱に女達隠れてるのわかってるし、なにこれ新手のいじめ?
「いっぱいいるあなたのお友達に変に絡まれるのもいやだからやめて」
言ってやった!もうこれで減るはず!「みずきのなんなの?」とか。いやあんたこそなに?って言い返したかったけど移動教室だったし無視した。「幼馴染みとかちょーし乗るな」はさすがに笑った。幼馴染みなのは仕方ないし調子にはのってない、むしろ調子は下降した。それはわかってくれたみたいで退散してくれたけど。
「なんで?」
「は?なんでもなにも迷惑なんで」
「なんでそんなに突き放すの?のあちゃん俺のこと、きらいになったの?」
嫌いもなにもただの幼稚園が一緒だった何年も会ってない幼馴染みなだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
それがなんだ?目の前で泣きそうになっているこのキラキラした男は
「とりあえず帰るから」
ローファー履いて無視して早めに帰る。厄介案件すぎるでしょ、こんな華やかな男とはなるべく関わりあいたくない。
「そのだっさい髪型も全然似合ってない。顔かわいいのになんで前髪で隠すの?せめて分けなよ」
昇降口出た所で急いで靴履いて出てきたこの男に前髪をあげられた。
「ちょっ、やめ」
「やっぱり。誰よりも可愛いのに。本当にのあちゃんはのあちゃんのままだったね。もっと性格も可愛げがあってもいいけど、これはこれでかわいいのかもね」
なんなんだこの男。この学校の昇降口は校舎で取り囲まれてるから教室から丸見え。もう最悪。めちゃくちゃ目立ってるじゃん。
「のあちゃん、今はいいけどこれからは逃げないでね」
パッと手を離して目の前の男は言ったけれど約束はできそうにない。とにかく走ってこの場から逃げた。塾?そんなもん集中できるわけない。もう、なんなのよ本当…
「ねぇ乃愛、もう会った?」
家で夕飯を食べていると母に言われた。本当になんのことかわからなかったので聞いたらあの男のことだった。
「瑞季くん!SNSママフォローしちゃった!もーー!!!めちゃくちゃイケメン!!!!」
すっごいルンルンしてる。
「よかったね」
「乙幡さんのところのママに会ってね、旦那さん外国人だったわよ!まーもー!相変わらず美しいママさんよ」
「よかったね」
「それでね、乃愛に会いたいってお呼ばれしたんだけど、土曜日あちらのおうちに行くわね」
うわーやだー
「塾行ったりはダメ、絶対よ」
逃げ場もなくなった。あんな超絶陽キャとかほんと勘弁してほしいんだけど、ママが喜んでるから仕方ないかもしれない。
*****
「のあちゃんママは泊まってくって」
人の家で酔いつぶれたママに申し訳ない気持ちで一杯である。母が失礼した、大変申し訳ないと乙幡夫妻に頭を下げたら大笑いしながら「酔いつぶれるほどつまみと酒が美味しかったんだから光栄だ」とグラス片手に言われた。あの夫妻はまだ飲むらしい。
「お邪魔しました」
夫妻と祖父母にはご迷惑おかけしますと挨拶はした。
今は玄関まで送ってくれたみずきくんに挨拶だけして靴履いて出ようとしたら「送ってく」ってみずきくんも靴履きだした。いや、徒歩1分?くらいの超絶近所だから送りとかいらないって拒否ってもダメだった。
「もう玄関だからいいよ、ありがとう」
「ねぇ、やっぱりさ…おれのこと嫌い?」
とんでも整った顔で泣きそうな顔で言われて「そうです」と答えられるほど私は強心臓を持っていなかった。
「そんなこと、ない、けど…」
「俺は好き」
手首を引かれて引き寄せられたと思ったら後頭部がっつり掴まれてキスされた。なんだ?え?少女漫画?
「そいつ絶対何人も女いるしみんなに同じこと言ってそうじゃね?」
「ひどいっ!ミズキいじわる!」
「えー、ありのままを伝えただけなのにー」
あまりにも衝撃的な夢だったからミズキにも共有して、きゅんとした僕と、そんな男を信用してはいけないミズキとでちょっと揉めた。
「ちょっと強引な方が好きなの?」
「そんなことないとおもうけど…」
ちょっと考えるそぶりを見せたら肩を押されてベッドに押し倒されて馬乗りになられた
「これでも好きじゃないって?」
「…好き。ミズキ好き」
「良くできました」
キスしてもらえた。やっぱりちょっと強引なミズキも好きかもしれない。
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