乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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仮面舞踏会って言ったって顔の下半分出てればすぐわかるんじゃね?なんて思っていたあたしがバカだった。

「ドレスはプレフェレのものを買っておきましたよ」

珍しい、と思った。大体オートクチュールが多かったから、百貨店とはいえ市販のものは久々だ。

「こーゆーことね」

オートクチュールのドレスではたしかに目立つ。仮面には主催者の魔術が施されていて誰が誰だかは本当にわからない、わかるのはノアくらいだとジョエルも言っているからジョエルにもわからないのだろう。主催者すごいなって思ったら仮面のほうがすごいとかよくわかんないこと言われた。

「私とノアは貴女のことがわかります。ミズキは初めての経験だと思いますがいつものような挨拶で堅苦しい思いはしなくていい場だと思って楽しんできてください。名前は絶対に名乗らないように」

二人が一緒にいないほうが不安だと伝えれば「ずっとみてるから大丈夫」と微笑まれた。「波長の合ういい男がいればキスまでは許す」とも言われて。あぁ、出会いの場なのか。男女比おかしいけど。

エスコートなしにパーティー会場に入るのは初めて。いつもならノアかジョエルがエスコートしてくれるから不安は不安。誰かもわからない仮面の下の目からじろじろ見られてるのはわかる。これは客引き。そうだ客引き。あたしかわいいからみちゃうよね、そうだよね。

「ドリンクはいかがですか?」
「もらいま「ちょっと待って」

給仕からシャンパンでももらおうとした私の前に割って入って来た男。え?なに?なんかした?って戸惑ったけど

「はい、なにもはいってないから飲んでいいよ。楽しんでね」

ノアか!なんでこの仮面顔の下半分出てるのに誰かわかんないんだ?声でわかったからいいけど、普通になんでなのかマジ不明。

「ねぇノア」
「名前は駄目だよ。誰が聞いてるかわかんないから」
「うん…なんでこの仮面顔の下半分出てるのに誰かわかんないの?ノアすらわかんなかったんだけど」
「魔術がかけられている仮面だからだよ。だって顔半分も出てたら誰かすぐわかっちゃうでしょ?わかるような舞踏会もあるけど、今日のは完全にわかんないやつだから。じゃあ僕もういくね」

いや、いくねじゃないよって言おうとしたらもういなかった。何今日放置プレイされてんのあたし?知り合いなんてあんまりいないこの世界でマジ放置されてんだけど。とりあえずシャンパン美味しいけど一瞬でなくなったからおかわりがほしい。

『フードのところのは安全だから飲食しても問題ないよ』

さっきまで横にいたんだから言ってくれたらいいのにわざわざ念話してくるノア。これ今日はフードコーナーで飲み食いして終わりだな。出会いなんてあるわけないって。しかもとんでもキモメンとかだったら耐えらんないし!無理無理。出会いとかいらんし、お酒のんでつまみ食べてジョエルから呼び出されるの待とうそうしよう。

「おかわりくださーい」

シャンパン持ってる給仕のお兄さんにおかわりをもらって目の前で飲み干してもう1杯もらった。これおいしい。この世界って本当にお酒おいしいからそれだけは助かった。あとトイレが洋式トイレなこと。ちがう世界ってなんだよって思ったけどスマホとWi-Fiないくらいで意外とやってける。あと服が無駄にゴージャスなドレスなことは不満。若いんだから肌だしてこーぜって提案したいくらい。

「マダム」

やべぇ年配女性いんのかな?マナー悪いとか怒られる?

「マダムじゃ嫌かな?マドモアゼル?いや、レディ?」
「…あたし?」
「えぇ、お酒がお好きなんですか?」
「あっはい。えーっとあなたは?」
「ここで名前を聞くのは無粋ですよ」

そうだった。名乗っちゃダメってことは相手に聞くのもダメだ。なーんか聞いたことのあるようなないような声だけどダメだ思い出せない。ジョエルがからかってきたのかと思ったけどジョエルの声じゃないし別人、絶対別人。

「レディの飲まれているのはここ最近人気がでてきたブランドなんですよ」
「そうなの?じゃなくてそうなんですか?」

しゃべり方も注意しろって言われてた。淑女さんたちはそんなしゃべり方しないから頑張れと。いやいや、マナーはうけたけどしゃべり方はさ、まだまだなんだよ。立場的にも直す必要はないって言われたし別にいいじゃんって思うんだけど、侮られないためにも直しましょうって。めんどくさーい

「堅苦しいしゃべり方でなくて結構ですよ」
「じゃああなたも普通に喋って?サー…ミスター…」

習っていた敬称が名前か家名を知らなきゃどうしようもないことに気付いて困り果ててしまう。相手はわかってくれたのか「ミスターで」と言ってくれた。
そこからは好きな食べ物を聞かれたり色々話した。多分貿易とか商売やってる人だろうな。ちがう国のものもわかるから手広くやってるかんじの

「ドレスはプレフェレのものですか?最近人気なのは異世界の花嫁様が殿下から贈られたもので今日も御召しになられている方が何名かいらっしゃいますが」
「夫が選んでくれたからよくわからないんですよね」

その人気のドレスってやつもあたしが王子様からもらったやつの色ちがいだ。がめついよルネ様って思ったくらい色違いで展開してて引いたもん。さすがにも王子様からもらったドレスここに着てくるわけにはいかないし、なんとなく被るのはイヤだからジョエルに買ってもらえてよかったのかも。

「旦那様が…そう、ですよね、指輪されてますから」
「未婚だと思いました?でもほんと結婚したばっかりだからあんまり実感なくて」
「最近ご結婚?」

やっば、バレる?今日は貴族しかいないって言ってたし、貴族の結婚は高級紙に必ず載るからマズイ、あれ?バレたらどうマズイんだっけ?忘れちゃった

「異世界の花嫁様みたいですね」

あっ気付いてないラッキー

「そう!そうでしょ?」

あたしその異世界のやつとか言えなかった。

なんかびっくりするくらい話しやすい人だった。なぜか周りに人は来なかったけど、その分たくさん話せた気がする。

「御名前を、お伺いは…無粋でしたね申し訳ありません」

そうだ、名乗っちゃ駄目ってジョエルに言われてた。この人にならいいかな?って思ってたけど、やっぱり夫の言うことは絶対。向こうが申し訳なさそうにしちゃってるのマジごめんってかんじなんだけど文句ならジョエルに直接お願いしますってかんじ。絶対言えないけど。

「レディとまた御会いできるのを楽しみにしております」

手をとられたかと思えば手の甲にキスされた。おー、跪かないパターン。



「ねぇみてた!?」

仮面も返して転移でホテルに戻って3人で飲み直すことにした。

「あっミズキが話してた「お話は楽しかったですか」

ノアがジョエルに蹴られた。見た、あたしは見た。足蹴ったジョエルが。あたしはソファにおやま座りしてたから被害ないけど。ノアが蹴られた。

「ちょっ、ジョエル、今ノアのこと蹴ったでしょ?」
「いいえ」
「蹴ったって、ねぇノア」
「…ちがう、ジョエルはなにもしていない」

絶対蹴ったな

「それよりお話は楽しかったですか?お一人の方とのお話」
「そうそう、なんか妙に話があったというか面白かったっていうか。二人とも誰かわかるんでしょ?」
「いいえ」

わかんないの?男に興味ないから?ほんとジョエルってばーって肩叩きながら大笑いするしかない。

「次旅行いくなら海外がいいなー。船旅。飛行機ないでしょ?」
「国の外に出るのは…まぁ難しいですね」
「僕も転移こわくて使えないし」

ノアがびゅんびゅん転移できるのが国内だけだとは初耳。

「ねぇ夜は?どっち?」
「ミズキは?どっちがいいの?」
「二人ともいるの?」
「する?」
「寝る!今日は3人で寝ようね」

セックスはしません







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