乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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「写真とってー、ほら、ノアとジョエルと3人で!」

スムージーしか入っていなかった胃に乾杯のシャンパンをそのまま数杯、楽しくなってきた。へらへらしながら3人で撮ってもらった写真が翌日の大衆紙の一面になるとは思いもしなかった。ちなみに高級紙のほうは王族方と撮った写真だった。大衆紙は普段見ることの出来ない宰相補佐の笑みと、蔑んでいた筆頭魔術師の顔の良さで飛ぶように売れたとかなんとか。


そもそも披露宴はあたしの知ってる披露宴とは違った。新郎新婦が正面に座ってムービー流したり友達のスピーチとか聞くのかと思ったら普通の立食パーティーだった。挨拶はひっきりなしに来るけれど。よくわかんないから延々とお酒を飲んでいたら少し酔いが回った。

「バルコニー出てもいい?」

ジョエルは挨拶の対応をしているからノアに言えば真後ろのならいいよと言うので外に出た。さっき挙式をしてちょっとしたガーデンパーティーをした場所は今片付けが始まっている。ここは2階、グラス片手に片付けの様子を見ていれば後ろからいきなり抱き締められた。こわっ、誰だよって顔だけ後ろを向けば少し硬めの髪が頬に触れた

「ロラン?」

今はファヴォリのドレスだから裾は広がりまくり、なんたってクリノリン込みでスカートは6枚もあるからだ。丁度距離をとれるからこれはいい。ノアとジョエルが横に立つと距離が出来ちゃうのは寂しいけど。

「ミズキは…いや、幸せそうだな」
「うーん、まぁね。いきなりちがう世界には来たけど、いい男達と結婚できたし、愛されてるし幸せかも」
「俺もその一員に加えてほしかった…」

え?なんか秘密結社的な?とか思ったけど、たぶん結婚したかったってことだと思う。ルネさんの奥さんの魔女さんに言われた、ロランのラッキースケベはセックスしたらなくなるって。だから早くしたいのかもしれない。でもジョエルがダメってずっと言ってる。まぁあたしが結婚するってのもあったし、さすがに結婚後すぐ他の男とセックスってのはダメなんだろう。

「愛しているんだ」
「え?あたし別の人との結婚式の最中なのにそんなこと言うの?ウケる」
「冗談ではない」

おぉ、思ったより真面目に返されてしまった。でもすぐ人を好きになりすぎじゃない?いや、好きはあるか、愛してるとかまですぐいくのがやばい。愛ってそんな大安売りしてる?それとも愛してるってあたしが思ってるのとちがう?最上級の表現だと思ってるけど、この世界じゃ意外と軽い?いちご好きがいちご愛してるみたいなもの?
結婚までしたけど、ノアとジョエルのことを愛しているかと聞かれたらまだ迷ってしまう部分もある。あの二人からは好き以上、愛されているのはわかるけど、あたしが同じだけ二人を愛せているかはやっぱりまだわかんない。

「あとでダンスを申し込むから受けてほしい。夫達には話を通してあるから」
「…うん」
「許可なんてしてないし、駄目ですよ絶対に」

バルコニーに出てきたのはノア。ほぼジョエルへの挨拶だしタイミングがいいから出てきたのだろう。ロランといるときはジョエルよりノアのほうがいい、もめないから。でも今日はノア強め。腕を引かれてノアの横に立たされた。

「なんでだ?夫以外とは踊らせないという独占欲か?立派なものだなお前も」
「ちがいます」
「ならなぜ?俺だってミズキに恋人と認めてもらっているんだ、公の場で踊ったっていいじゃないか」
「ダンスはいいんです、問題は公だということで…」

ノアは言いづらそうにしているが、わかった。あたしもわかった。

「やっぱあたしもイヤかも…ロランは彼氏だけど、ホールで踊るのは勘弁」
「なっ!なんでっ」
「だっていつ服脱げるかわかんないもん。撮影も記者も何人もいるんでしょ?さすがに恥ずかしい」
「そうです…新妻がいきなり夫以外に脱がされたり、こんな人目のあるところで胸や下半身を露にするのはさすがに結婚式当日だから…」

ロランはようやく気付いたらしい。え?逆に忘れられるのすごくない?真に愛する者とのセックスで呪いがとけるのはいいけど、セックス前まではその愛する者とのラッキースケベが止まらないんだよ?あたしマジ犠牲者なんだけど、魔女様に「ロラン様がミズキ様のことを真に愛しているという証拠ですわ」なんて嬉しそうに言われたらどうしようもなかった。まぁセックスすれば解けるらしいし。生?ゴム?そもそもこの世界にゴムあるの?ノアもジョエルも避妊は魔術でしてるからってゴムしてるとこはみたことがない。そもそもコンドームあるのか問題よりも、あった場合ロランに合うサイズがあるかのほうが問題だわ。LL?XL?いや、それでおさまる?そもそもあたしが受け入れられるのか…

「ね、ミズキ、聞いてないでしょ?」
「え?あ、あぁ、うん、聞いてなかったごめんね」
「ロラン様の下半身ばっかり見てないで。凶器だよ凶器」
「やばいね、ガバガバになったらどうしよう」
「ならないと思うけど、そうなっても僕はミズキのことずーっと愛してるよ」

頬にキスされた。今日は唇はなるべく控えろと口酸っぱく言われていたから律儀に守っている。まぁ守る理由も、口紅がとれてきたらその度にミシェルがでてきて塗り直すからだけれど。大衆紙にとっては最高の餌らしい。あたしが王子様から側近を奪ったって見出しになるから気を付けろってジョエルに言われていた。まぁそれとなくマチアス様もルネさんも言ってきたから、ミシェルの人気の高さが窺える。現にジョエルはもちろんのこと、ミシェルも盗撮や王子様やロラン達護衛を切り取った写真が出回るくらい庶民の方々に人気があるらしいから、あたしマジ世の女性を敵に回す可能性が高いらしい。ジョエルのこと狙ってた女からのやっかみはいまだになくならないけど、ミシェルとも付き合ってることが大衆紙にスッ羽抜かれたらやっかみが今の倍くらいになるらしいと聞いて引いた。

「が…ガバガバになるなど、そのようなことはないっ」
「わからないですよ?立派なモノお持ちですから」
「ノアールっ!ミズキの前でそのような」
「ロランのはおおきいよ…前に触ったときあれでも半勃ちでしょ?ガチで勃つとどれくらいになるのかとか」
「だめ!ミズキ、考えないで!」
「大丈夫、あたしノアとジョエルのこと大きさで選んだわけじゃないから」

いやマジ本音。ちんこの大きさだけで男を選ぶような人間ではない。たまたまロランが大きかっただけで、大きさでなんて選んでない。ヒナの情報によればミシェルなんて短小の早漏だよ?別にちんこのスペックで男決めているわけじゃないから

「とにかく、ここにあまり長時間いると撮られます。ロラン様もご自身が超優良独身男性だということをお忘れなきよう。ミズキに迷惑がかかりますから」

腕を引かれて室内へ戻るが、ノアが男前すぎて惚れ直しそうでヤバイ。ロランにも強めに出れるようになったところとか本当に男前になった。今までノアのこと見下してたやつらマジみてるか?って聞きたい。あたしの夫本当にいい男なんだけど!

ジョエルに挨拶に来ているのはルネさんご夫妻達だった。あっラッキー。
ルネさんの奥さん、魔女さんの旦那さんの一人は次期侯爵様。身分でいったらジョエルと同じだって前に聞いた。丁度またお色直しの時間だから挨拶らしい。タイミングも全部ジョエルやミシェルが打ち合わせしてくれてたとか本当によく仕事をする夫と彼氏だ。

「ちょっと」

ルネさんに小さい声で話しかけられて何事かと思った

「騎士の彼氏とイチャつくのはいいけど本当に気を付けなさいよ。うちのドレスが新婚早々浮気に使われたとか笑い話ではすまないんだからね」

素直に謝っておいたけれど、あたしのせいじゃない。ロランに言ってほしい。

「本当ならこのドレスで殿下と踊って欲しかったわ。まぁこのドレスで王族や政権中枢の人間とばかり挨拶しているところを撮ってもらえたから万々歳だけど。きっと経済誌にも載るわね。マチアスの所だけじゃない、うちのドレスだって政治に利用できるんだってアピールできるんだもの。ざまぁみやがれってかんじよ」

相変わらずマチアス様のところとはがっつりライバル関係みたい。あたしはどっちも馴染み無さすぎて好きだけど

「ほら、着替えに行くわよ。旦那様方はどうするの?」
「ノアとジョエルはこのままっぽいよ。あたしだけまた着替え」
「わかったわ。エスコートは?」
「ルネさんにしてもらえって」
「私!?あらやだそうだったわね」

あらやだとか言いながらめちゃくちゃスマートにエスコートしてもらって、扉の所であたしがカーテシーしてる横で綺麗にお辞儀してた。あ、これルネさんのほうが目立つやつじゃん。

「私より美しくなんてあなたには無理よ」

と高笑いされた。扉から出るまではめちゃくちゃ男前だったのに、出ちゃえばいつものおねえ口調に戻ってしまった。もちろん扉の外側にはミシェルが待機していた。今日の転移の当番はミシェルだ。大衆紙のカメラが撮ってないことだけを祈るしかない。



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