乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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色々あって結婚式は当日。色々は本当に色々。

控え室なんてものはいらないから、部屋にこれでもかと関係者が集まる。2つのメゾンに新進気鋭のデザイナー、お花屋さん達。ジョエルとミシェルが生花からドレスに合うものを選んでいる。あたしは?朝っぱらからノアとお風呂だ。

「ノアの髪は?いつもみたいに自分でセット?」
「ううん、今日は僕とジョエルはミシェル様の叔父様が」
「あぁ、セバスチャン?」
「だから名前ちがうって」

ミシェルパパとミシェル兄は王様夫妻、王太子夫妻の支度らしい。ほぼ妻のだろうけれど。セバスチャン(仮)はノアとジョエルの着替えとヘアセットを手伝ったら王子様のところに行くらしい。今日はミシェルは私についていてくれるらしい。専属のヘアメイクがいるのは悪い気がしない。

「まだですか?」

お風呂の扉まであけてくるのはどうかと思うけれど。

早朝からジョエルに叩き起こされ、ノアとお風呂に入れられて、今はどこから出したのかマッサージ台でマッサージ受けてる。え?これ無料?やばくね?でもそれより施術者がやっぱりミシェルなことだよ。執事ってなんでもできるの?やばくない?もう語彙力消えた。ヤバイしかでない。
マッサージが終わればなぜか今日はトリートメントをつけない髪を乾かして全裸のまま衣装部屋まで転移させられた。トリートメントをつけないのは、サラサラすぎるとヘアセットが大変だからって言われた。転移なのはもはや部屋の中だろうと歩く時間すら惜しいらしい。まだ朝だよ?
スムージー飲まされてコルセットを締められて下着のままヘアメイク。事前に出来ていて前撮りまで済んでいてもまだやることはあるみたいだ。後ろでバタバタしている。

「目元の仕上げはご自分でやられます?」

そういえばこの世界にはつけまつげ文化はなかった。まつエクならあるかと聞いたときに「ない」と言われたけれど、説明してミシェルにやってもらった。いいよね、みんな元から睫毛長くてびっしりで羨ましいとこの世界のイケメンを見ていて思う。
髪をやってもらいながらアイメイク自分でやって、ドレスを着させられて靴をはいて鏡をみてびっくり。あぁお嫁さんだ。めっちゃ花嫁。

「おぉ…すご…」

鏡に写っているのが自分なのはわかっていても惚れ惚れしてしまう。ニュイのお兄さん方もマチアス様も満足そうだ。
頭の花は生花だから直前につけるらしい。

「ティアラとベールの前に最終確認です。旦那様方のところへ行きますよ」

バージンロードはジョエルのパパと歩く予定だったんだけど、古代文字のおじいちゃん達が取り合っちゃったから結局一番偉いおじいちゃんになった。前侯爵なんだって、家の名前はもうわからないから覚えるのやめた。ジョエルのおうちではない。まぁ新郎そっくりの新郎パパと歩くのもね

「ミズキ…本当に綺麗です」

そのジョエルに言われたけれど、私よりよっぽど綺麗な人に言われても…ノアも見とれてるけどノアのほうがよっぽどかっこいい。なんだろう?絵?これが絵画ってやつかって思っちゃうくらい整った顔立ちの二人があたしの目の前にいた。

「ノアもジョエルも…かっこよすぎ、好き」

なんだろう?好き以外なにも出てこない。まぁこのあと結婚式だし好きでいいだろうけど。抱きついてこようとしたノアをみんなが止める。ドレスとタキシードにしわがついたら洒落にならないからと。
じゃあ手だけはと手はつないでいたけれど、すぐ引き渡しの練習だった。ハイヒールで歩くのはなんら問題はない。おじいちゃんのエスコートの手を添える位置、角度、細かくマチアス様に指導された。新聞だけでなく、ニュイの広報も撮影スタッフにいるから広告として映えるようにしろってことらしい。
持たされたブーケはめちゃくちゃ重たかった。こんなん投げるものじゃない、式が終わったら業者さんがブリザーブドフラワーにしてくれるから手元に残るのは嬉しいけど、これって投げるのが普通なのおかしくない?その間にも頭に花挿されたりノアとジョエルのタキシードにもお花挿してた。

今日の仕切りはジョエルかとおもったけど、ジョエルは新郎だからミシェルらしい。ウエディングプランナーみたいなかんじ?誓いや指輪交換終わればそのまま外で軽く立食パーティー、そのあと着替えて披露宴みたいなパーティー。お色直しもあるからとか色々言われてもまぁよくわかんないから適当に聞いてる。場所とかわかんないし。式も宗教とかわかんないしいつケーキ入刀してファーストバイトやるんだっけ?ジョエルの顔クリームまみれにしたいから絶対やりたいって希望したの。

「聞いてます?」
「聞いてない」

ミシェルに確認されてはっきり言ったら周りの人たちのほうが笑ってた。おじいちゃんはソファーに座って誰かにお茶出してもらって寛いでいた。

「陛下が着席されたそうなので向かいますよ。ジョエル様とノアールは先にいきますから、私と前侯爵と行きます」

そうなのか。おじいちゃんがお父さん役なんだもんね

「あたし母子家庭だったから誰かとバージンロード歩くなんて思わなかった。おじいちゃんありがとう」
「いいんだよ。うちの研究所に若い女の子がいるだけで華やかになるんだ。みんなが孫や娘のように思っているよ」
「ほんと?ありがと」

マジ結婚式前の会話ってかんじ!!!!

ベールはミシェルが下ろしてくれた。え?うそ?ママ役もミシェルなの?って大笑いしたらキスされた。おじいちゃんはおお、とか言うし、トレーンベアラーなる男の子2人はキャーキャー言ってる。口紅を直されて

「次は私との挙式ですから。では行ってらっしゃいませ」

どこで演奏してるかわかんないけれど入場曲が流れて扉が開く。庭はもうキラキラしてた。でも目は伏せがちにして歩けと言われたからまっすぐ前は向かない。あたしを待ってるノアとジョエルがとんでもなくかっこいいからこの目に焼き付けたいのに広告にするからと言われればできない。日本にいたときで知ってる、店の看板はまともにしたけど、店の宣伝用や風俗情報紙のときにまともな写真撮らせなかったらくっそ怒られた記憶があるから、宣伝用は真面目にしなきゃいけないということは重々承知している。

「彼氏も招待したのかい?」
「あぁ、ロラン?護衛よりいいかな?って」
「とんでもない女の子だよ…」

処女じゃないけどゆっくりバージンロード歩きながらちっちゃい声でおじいちゃんが言ってくるからこっちも答える。殿下の護衛で恋人の挙式を見るより招待したほうがいいとジョエルが言ったからだ。まぁロランと付き合ってるなんてそんな公になってないし、騎士団長の代理と思われるから大丈夫ってノアも言ってた。

ゆっくりとした足取りで向かっていたが止まる。どうやら夫達と交代のようだ。夫達の手を取ったら顔をあげていいと言われていたから、あぁやっとこの無駄にキラキラした空間でノアとジョエルが見れるって顔をあげたら空間よりもキラキラしてるんじゃないかった二人がいた。

「かっこいい…」
「ミズキもとても綺麗ですよ」
「そう。ミズキが一番輝いてるよ」

好き好きって思ってたら目の前にいるおじさんに咳払いされた。ごめんなさい。
3人でそのおじさんの前に立って歌のあとになんか色々言われる。これだ、なんじー、やめるときもーすこやかなるときもーってやつ。あー、これも日本と一緒、協会?とか思ってたら念話で『はい、誓いますだよ!』ってノアに言われたから「は、はい!誓います!」って答えておいた。
トレーンベアラーとはちがう男の子がリングピローもってやってきて指輪をもらってはめる。うん、結婚式。
ぐずんぐずん何かと思えばノアの養父母が号泣していた。最前列で。反対側の最前列でジョエルのママもハンカチで涙を抑えていた。いやいや、そんなにこの二人は結婚できない男だったの?そんなことないよね?なんて言いたくなったけど、なんかもう熱烈な誓いのキスを連続でされてそれどころじゃなくなった。

挙式に王様とか必要なかったんじゃね?とかおもったけど、結婚証明書にサインしたあとすぐに王様にサインもらいに行ってた。正式な婚姻届的なやつを秒で認めてもらうためにジョエルが呼んだんだなってすぐわかった。いや、ジョエルのパパが呼んだのかもしれない。あたしの背中、右側がジョエルの親族、左側の最前列はノアのパパママ、そのうしろは王様とか王太子夫妻、王子様、知り合った公爵侯爵方。高位貴族多めだから周りは近衛や公侯爵家の騎士達や執事や侍従に取り囲まれてる。退場の今気づいたけどなんだかんだ物々しい雰囲気だったんだなってかんじ。

退場といっても、入場と同じく庭に面した扉に入っただけである。その横にはキッズルームを作ってらっていたから、トレーンベアラーやリングボーイをやってくれた子達にお礼をしようと開ければ

「いせかいのはなよめさま、きょーはありがとーございます。おとーさまもおかーさまもよろこんでいます」
「きょーはおまねきありがとーございます」

舌足らずでも一生懸命伝えてくれる子達がいてなんだか嬉しくなった。
貴族のこども達は両親と同じように結婚式にきたりとかはないそうだから、この子達にとっても思い出になったらいいなと思う。男の子ばっかりだけど。

これからガーデンパーティーだ。ちなみに挙式にはいりきらなかった古代文字研究のおじいちゃん達は一足も二足も早く披露宴会場にいるらしい。披露宴会場も挙式会場を見下ろせる位置にあるからといって、朝っぱらから酒盛りは羨ましいかぎりだ。
あたしはトイレの回数を極力減らすためにあまり飲むなとマチアス様にもルネさんにも釘をさされた。
ルネさんは魔女の奥様と他の旦那様と挙式に参加してた。ドレスめっちゃみてたからすぐわかる。

「ミズキ、マチアスからお酒解禁していいと言われましたよ」
「ほんと!?うれしー!」
「ほら、口紅を直す前に」
「んぅ、」

ドレスのしわももういいのか、腰を抱き寄せられてキスをされた。ジョエルが終わればノア。

「ふたりともだーいすき」

結婚式に新郎が二人とか意味わかんないけど、二人とも大好きだから些細なことだ。
そういえば日本に戻れたらノアとジョエルはどうなるの?男やもめ?




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