乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

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両家顔合わせとは結局なんだったのかと振り返れば、ノアのパパのオンステージだった。めちゃくちゃおもしろかった。顔合わせなんてあたしとノアが来る前に終わってて、ただひたすらノアのパパが魔術を面白おかしく使ってる会だった。楽しかった。
ジョエルのご両親(父多め)、祖父母(祖父多め)と弟達の夫婦(これまた夫多め)でほぼジョエルの家の集まりみたいだった。顔と名前は恐らく覚えられない。仕方ない。ほとんどが苗字一緒だから無理。ジョエルのおうちの人間じゃないのは、ノアとノア両親とあたしだけだ。

「え?ミズキは侯爵家に入るんじゃないの?…ですか?」
「ノアール、畏まった話し方をしなくて結構ですよ。同じ人の夫なのだから」
「え、あっはい、うん」

帰りの馬車でノアとジョエルが話している。ちなみにあたしはいい感じに酔いが回って目を閉じている。ほぼ寝てるけどちょっとだけ話が聞こえる。でももう無理寝る。馬車じゃなくて車ないのかな車。






え?朝?どんだけ寝たの?
目が覚めたら久々に一人でベッドで寝てた。あたしの下着じゃない、めっちゃ透けてるキャミソール着せられて。でた、ジョエルの趣味のやつ。じゃあ着替えさせてくれたんだ。ジョエルもノアも寝室にいないし、とりあえずお風呂入ろ。今日ってなんか予定あったかな?スマホもなんの意味もないし一人とかマジすることないんだけど。おじいちゃん達のところ一人で行っちゃおうかな。

「おはよう」

寝室開けたらロランがいた。やばい部屋間違うわ。

「閉めるなっ!」
「いや、だって!部屋間違えた?やばい!酔ってた?」
「お前たちの部屋だ!間違えてないから安心しろ」

だよね?部屋間違ってよね?いつものベッドだったしベッドサイドもランプも同じだったから間違えてない。あとこんなの着せるのジョエルしかいないから絶対間違えてない。ノアはブラとTバックのほうがいいらしいから。

「ジョエル殿とノアールに頼まれた。2人とも今日は外せない仕事があるから戻るまでミズキといてくれと頼まれているんだ」
「そうなの?昨日帰ってくるときにもう寝てたからわかんなかった」

ジョエルとノアがおんなじタイミングで仕事って珍しいかも。いつもどっちかいてくれたし。
それよりも扉!外側に両側とも開かなきゃなやつだから引っ張るの大変。こんな騎士とやりあうなんてマジ無理。諦めて力入れるのやめたらすっごい勢いで扉が開いて目の前にいたロランに激突した。

「いった~」

胸元についてるなんか無駄にキラキラしたメダルみたいなのにぶつかった。痛い。顔上げたらやっぱちょー至近距離にいたロラン。なぜか顔を背けるからなにかと思ったらキャミソールの肩紐が片方切れて片乳ぽろりしてた。彼にだけ起こるラッキースケベの呪いはまだ解けていないらしい。ラッキーなのか呪いなのか本当にわからない。

「み、み、みてないっ!」

その動揺と顔と目を合わせない時点で絶対見てる。別に見られてもいいけど、その反応。ノアみたいにからかいたくなる。

「え~、前も見てるじゃん。しかも触ったこともあるでしょ?」
「あ、あれは!事故だ!決して故意ではないっ!」

いや、故意だったら引いてる。

「わかった。わかったからそんなに必死に否定しなくていいって。あたし他の人とはなんにもないんだから、ロランになんかあるんでしょ?」
「……」

絶対なんかあるやつ。黙ってるってことは心当たりもあるみたい。まぁそんなことより

「とりあえずお風呂入っていい?浄化かけてもらってるだろうけど、やっぱお風呂入りたいんだよね」
「あ、あぁ」

片乳出っぱなしは落ち着かないのでコレは寝室に投げておくことにする。脱け殻でもみとけジョエル。
全裸で闊歩するわけだけど、部屋に他に人がいないのもわかってるからまぁいいや。下着はバスルームにあるしタオルもある。いつも一緒に入る方が用意してくれてたけど甘えすぎてもダメってことだ。
ロランはバスルームの外で待ってるらしい。一緒に入る?って言ったら拒否されたし、ソファーのとこで待ってれば?って言っても2人に頼まれてるからって。待ってる間にあたしの裸オカズにヌく?って言ったらすっごい勢いで扉を閉められた。冗談なのに。
洗面台の前で髪の毛ブラッシングしてからお風呂。お湯貯まってる。ロランが貯めててくれたのかな?せっかくだしゆっくり入ろう。遅漏でも1回は出せるだろう。





「あ~っ気持ちよかった!」

一人でゆっくり入るなんてここに来てからはじめてかもしれない。スキンケアして髪乾かしてスキンケアして。下着はこっちに来てから作ってもらったやつ。安めの上下セットのやつよりよっぽどしっかりしてる。これプレフェレで売り出すらしい。サイズどうするんだろう?とりあえず下着しかないし、あたし転移できないから衣装部屋に行く。バスルームの扉あけたらロランいた。そうだゆっくりお風呂つかってたら忘れてた。

「なっ!なんて格好ででてくるんだっ!」
「え?あたしたちの部屋だしよくない?下着つけたのに濡れたタオル巻くのイヤだもん」

そもそも部屋の中に護衛とかいらなくね?って思ったけど彼氏だわ。忘れてた。

「彼氏なのに彼女の下着姿すら見ないの?」
「それは…見る、が…だがっ」
「ノアもジョエルも部屋の中に入れてるんだしいいんじゃない?それとも下着つけないほうがよかった?脱ぐ?」
「着ていろ!」

やーん。もうこれはノアとは別のかわいいってやつじゃん。女性に免疫ないわけじゃないのにこんなに照れるなんてロランはかわいいやつだ。

「ねぇ、なんでそんなに離れるの?」

衣装部屋はすぐだけど、若干距離があるロラン。え?ラッキースケベ回避する方法とかなの?

「彼氏なんでしょ?手くらい繋ごうよ。それともジョエルとノアにダメって言われてる?」
「いや…そのようなことは…」
「じゃあ繋いで」

夫前提じゃない(勝手にそう思ってる)ただの彼氏はここでは初めてだし、そういえばここに来る前にセフレは途切れなかったけど彼氏っていたかな?あれ?いなくね?途切れてた?男が常にいたから彼氏って特別な存在を忘れてた。やばい、終わってた。
繋いだ手はノアとはちがう。自称鍛えてるジョエルよりももっと大きくて骨ばっている。男の人と手を繋いでいるんだと思わせてくれるような手だ。恋人繋ぎじゃないけど。

「いたっ!んっ、ん…」

衣装部屋を開けてもらって入ったら壁に叩きつけられて無理矢理キスされた。壁ドン?ロマンチックのかけらもないし普通に痛いけど壁ドンちゅー?

「好きだ」

唇の角度を変える度に呟く「好き」にドキドキが止まらない。愛してるじゃないところもポイント高め。舌もいれてこないし、ただキスをしてるだけなんだけどなんか気持ちいい。でもいい加減身長差がしんどい。スリッパだし向こうは推定190センチ台だから40センチ以上差がある。あたしは背伸びしてるし、ロランは膝まげたり前屈みになってるだろうけどもう足限界。
唇を離してもらえたときにはもう背伸びなんかできる状態じゃなかった。つる。足の甲つる。

「大丈夫か?」

返事の代わりに抱き付いたら持ち上げられた。抱っこじゃない、持ち上げられた。そのまま腕に座らされたよ。子どもだこども。お父さんが子どもにする抱っこ。
首に腕まわして肩に顎乗せる。いい匂い。騎士って軍人さん?だから汗くさいのかとおもってたけど違った。そういえばお坊っちゃまなんだっけ?しかも近くで顔みたらやっぱイケメンだった。王子様とも違うし、ノアみたいなかわいい系でもない。ジョエルみたいにミステリアス美形でもなければミシェルみたいな超絶美人でもない。でもイケメン。あとこの刈り込んでるところが好き。耳上。触りたいなー

「着替えは?」
「する」

自分の着替え忘れてた。ドレスなんて気分じゃないし、あたしの服着よう。ワンピースでいいや。ケースから出してわざわざ掛けてくれてるけど、ドレスと並べられるとマジ貧相。ドレス用下着のほうが布使ってる。選んだワンピのこのカッティングね、流行ってた流行ってた。背中?腰開いてるニットのタイトめミニワンピ。なぜか女ウケがよくて男ウケ悪かったんだよね。
こっち来て太ってなかったからよかった。運動不足だけど生理中以外の連日セックスのせいである程度運動になってたのかも。ノアが最初はイヤだって言ってたわりには騎乗位がお気に召したようでよくお願いしてくるから。

「それは服ではないだろ!」
「立派に服ですー」
「胸も腰もあいてるし脚も出すぎだ」
「ここのドレスよりよっぽど露出少ないから」

マチアス様がつくってくれたドレスに対抗してルネさんが持ってきたプレフェレのドレスはおしりの割れ目まで見えるんじゃないかくらいガッツ背中が開いたやつだった。着るためにお尻にパッドつけられた。ここまで露出あるとコルセットつけられないから売れないのよーって言われた。体のいい在庫処分だ。あたしが夜会で着てからある界隈では売れてるらしいけど、その界隈はなんとなく想像できる。
部屋にいるだけなのにあんな気合い入ったドレスなんて着てられないし、丈が長いドレスも動きづらいから私服が一番。

「目のやり場に困る…」
「ドレス平気なのに?マジ基準わかんないわー。この前のドレスなんて乳首ギリ隠れるだけの上半身透けてるやつだよ?」

服ほしい。普段着。クローゼットごとこっちにこれればよかったのに。下着はなんとかなったけど、ドレスほんと普段着に向かない。それよりお腹空いたからごはんなんだろう。ノアとジョエル帰ってくるまで抜きとかだったら泣く。近くにコンビニもないし、部屋に冷蔵庫もないのにどうするのあたしのごはん!!

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