乙女ゲームの余り物たちと結婚させられるために異世界から召喚されました

そいみるくてぃー

文字の大きさ
上 下
42 / 77

42

しおりを挟む

古代文字研究所へ行ったらおじいちゃん達数人が頭を抱えていた。

「今までみたことのない象形だ…」
「文脈から探りたくても前後も理解できぬ」
「そもそも文字なのだろうか」

あーでもないこーでもないとおじいちゃん達は言う。これは言ってもいいだろう。

「浮気男」
「「「え?」」」
「おじいちゃん達読めないのこれでしょ?浮気男って書いてある。前後も読んでいい?」
「そもそも何がかかれているんじゃ?」
「浮気男は玉とったあと、勃起が出来るなら竿も切り落とす」

全員がビビった。これあれだわ、玉ヒュン。ノアとジョエルの前で話すのはやめよう。

「法律みたいなものか?」
「そこまで仰々しくはないかも。ルールみたいなかんじ。でもさ、浮気するほど女の人選べたってことじゃない?」

全員が息を飲んだ。え?玉ヒュン?どうみても違うけど。

「ミズキ殿、とんでもない発見だぞこれは」
「素晴らしい!歴史が覆る!」

とりあえずどういうことかわからないけれど、おじいちゃん達は楽しそうだった。

「ねぇ、仕事終わったらさ、みんなでお酒飲もうよ。あたしの旦那様達が用意してくれるよ」
「いいな!今日の業務は終わらせたくはないが、ミズキ殿の歓迎会もしていないから丁度いいだろう」
「食堂に言ってオードブルを用意してもらおう!」
「わしは氷を魔術師団から仕入れてくるぞ!」

おじいちゃん達は散々になって歓迎会の準備をしてくれるみたいだ。
あたしはといえばここの扉を開けて待機していた近衛の人に声をかける

「ねぇ、ノアとジョエルは?」
「お二人とも仕事へ行かれております。」
「遅くなるかもしれないから、迎えに来たら先に部屋に帰っててって伝えておいてくれる?」
「お戻りの際は…」
「騎士様達がいるでしょ?よろしく」

初そうな男性の相手が一番得意だ。手練れよりもいい。少し手を取って目線を反らせずお願いすれば聞いてくれる。

「かしこまりました」

その言葉を待っていた!
ノアとジョエルが邪魔とは言わない。おじいちゃん達が畏まってしまったらかわいそうだからだ。お酒は楽しく飲むものであって、人に気をつかって飲むのは美味しくないと思う。




「だからそう言っていただろ!」
「お前の立てた仮説とは大分違っていた!」

とりあえずお酒が入ると騒がしくなるのは異世界も一緒らしい。あたしの歓迎会というより、職場で楽しくお酒を飲めることが楽しいみたいだ。

「ミズキ殿はどうやってここに来たんだい?」

しゃがんで転んだら地面なくて落ちてきたって言ったら引いてた。しかも男達に囲まれて王子様に暴言吐かれたって言っといた。

「あの殿下がかい?そんな方じゃないんだけどね」
「恥ずかしくてそんな態度をとってしまうんだよ。まだまだ青いってことだ」

おじいちゃん達は笑っていた。まだ青いと。前回の異世界の花嫁の件も元婚約者の件もまだ青いガキだからと。すげーな年長者。王子様のことをガキ扱い。この前のダンスの練習のことも言えば机を叩いて大笑いしていた。あたしは笑えない。

まぁ色んな話をして、帰ろうと扉を開けたらロランがいた。

「どうしたの?」
「部屋まで送る。転移より歩きたいだろ?」

おぉ、よくわかったな。早く帰れる転移も魅力的だけど、遅い時間に城の中を歩いたことがなかったからちょっと歩いてみたかった。

「酔い冷ましにちょうどいいかも。じゃあ騎士様よろしく」

久々に腕を組んで歩いた。最初はエスコートの形だったけれど、あたしが酔っているからと腕を組んでくれた。ナイトだナイト。ナイトが騎士?ん?近衛は?

「王族を御護りするための騎士だ」

へぇー。思ったことに返事してくれるとかロランやるな。あと久しぶりにこんな筋肉に寄り添う。ノアもジョエルもペラペラなわけじゃないけど、ここまでじゃない。

「やっぱ鍛えてるの?」
「まぁ…ミズキの夫殿達よりは」
「だよねー。マッチョ。腹筋も割れてるよね?」

シャツを捲るのは悪いかと思ったから服の上からさわってみた。割れてる。すごっ。下ってどこまで割れてるんだろうって手を下半身の近くまで持っていったら、組んでる腕を引かれて壁に押し付けられた。やだっ壁ドン!

「ミズキ、これ以上俺を弄ぶのはやめてくれ」
「もてあそんでなんて…」
「こんなにしておいてか?」

手首を掴まれて当てられたのはロランのロランというか息子というか…

「相変わらずご立派な」
「そうではない…いや、そうだけれども」
「抜いてほしいの?」

ちがうらしい。否定された。

「事故でない口づけを…してもいいだろうか」

ここ廊下だけど。いくら時間は遅めとはいえ城の中はまだ歩いている人もいるだろう。あと少しで部屋なんだけどと言えば、もうここ辺りは部屋の前にいる近衛の守備範囲だからなんの問題もないらしい。なんのだ?あとキスって言わないで口づけなのがまた

「んっ…ぅっ」

いいもなにも言ってないのにがっつりディープだった。身長差も結構あるから首がしんどい。あとお酒が入ってるしもう立ってられない。足が崩れると同時にお姫様抱っこされてた。すげー。騎士すげー。あれ?ノアは?騎士?

「ノアールは騎士ではない」
「へぇー。あたしにとっては騎士だし王子様だけどね」

部屋まであと少しだけど眠い。このまま寝たらヤバイから首に手だけ回させてもらう。これで落ちない大丈夫。






*****




「ミズキっ!」

彼女達が住まう部屋をノックしようとしたら向こうから開いた。夫の一人、彼女からは騎士で王子様と呼ばれた国の筆頭魔術師がでてきた。

「疲れていたのだろう。眠っている」
「ロラン様…手、出しましたよね」 

隠すことはできないらしい。あぁと肯定したら部屋へ通された。意外だった。絶対に他人を入れないと思った部屋に通されたのだから。彼女を寝かせてくると言ったノアとなぜかソファに座って向かいの席を勧めてくるジョエル殿。なんだこの気まずさは…

「ロラン、貴方もミズキに懸想していたとは。まぁ一番可能性が高いのは貴方ですね」

何を言っているのかはよくわからなかったが、説明はしてもらえた。要はノアールが殿下を含めた我々3人に見合う女性として彼女を召喚したから好きになってしまうのは必然とのこと。ノアールが選ばれたのはノアールが願ったから。ジョエル殿は本当に偶然だそうだ。
ミシェルからはノアールに、夫が無理だとしても恋人として彼女のそばにいたいと申し出があったようで、ミズキが承諾すればいいと返答しているとのことだ。
なぜ俺が一番可能性が高いのかは、ダンスの練習が楽しそうだったというノアールからの報告だという。よくわからないが嬉しい気持ちにはかわりがない。

「まぁ私も、ミズキが認めれば夫が増えようと恋人として貴方達を囲おうと何も不満はありません」

その貼り付けたような笑顔には不満が滲み出ているような気もするが、口に出してしまえば厄介なことになるので絶対に口には出さない。

「しかし彼女は複数の夫を持つことに抵抗があると」
「夫はそうです。しかし恋人、もしくは性行為だけの関係にある男性複数と同時進行だったことは聞いています。前回の彼女よりもすんなり受け入れてくれるはずですよ」

前回のといえばヒナか。殿下には言えなかったが正直ヒナと婚姻関係になるつもりはなかった。若気の至りというか殿下と同じ女を共有するものだと思っていたから。しかし今は殿下を出し抜いてでもミズキがほしい。夫達の協力…ではない、同意も得られたことだ。部下達も協力してくれているのだからなんとか彼女の寵を得られるよう努力する他ない。


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

捕まり癒やされし異世界

波間柏
恋愛
飲んでものまれるな。 飲まれて異世界に飛んでしまい手遅れだが、そう固く決意した大学生 野々村 未来の異世界生活。 異世界から来た者は何か能力をもつはずが、彼女は何もなかった。ただ、とある声を聞き閃いた。 「これ、売れる」と。 自分の中では砂糖多めなお話です。

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

処理中です...