31 / 77
31
しおりを挟むおっぱい触ったら結婚の詐欺に引っ掛からずに済んだあたしは、詐欺肯定派のミシェルと詐欺否定派のロランとお菓子を食べながらお茶を飲んでいる。
「いつも思うけど都合よくテーブルも椅子もお茶セットもあるよね」
「言われればそうだな」
「私は便利なので疑問に感じたこともありませんでしたよ」
今日のお菓子はギモーヴ。確かにボロボロと落とさないからドレス着てるときは最適なお菓子かもしれない。紅茶も美味しいけどそろそろなんかもうちょっとちがった、緑茶?ほうじ茶?飲みたい。ペットボトルのお茶とか飲みたいわ。
「当日のドレスは何色になるんですか?」
「薄いブルーにグレーががったやつ。ブルーグレー。それにキラキラ」
「キラキラ?」
「うん。スカートのところにキラキラつけてって頼んだからどんなキラキラになるかはわかんないけどルネさんがキラキラにしてくれるって」
「ルネの本気キラキラとか恐ろしいな…」
「ですね。ファヴォリだけじゃなくてプレフェレまで総動員することを考えると恐らく手縫いですよ。そのキラキラ」
「え?ヤバそうなの?」
「そのヤバいがなにかはわからないが、とてつもなく手間隙のかかったものはできると思う。ルネの考えるキラキラが常人の考えるキラキラであるとは思えないな」
「たった数日で出来たとは思えないようなものでしょうね。でもミズキ様にはお似合いになると思われますよ」
見てもいないのにお似合いになるとかすごい褒め言葉。
キャバドレスじゃないドレスなんて着たことないし(ハロウィンでやっておけばよかった)自分じゃ全くわからない。
「今日のドレスもとても似合っていますよ」
「ほんと?確かにかわいいよね。着られてる感じだったらどうしようって思ったけど、姿見でみたら意外といけた」
ドレスレッスンのためにあった大きな鏡はあたしの衣装確認鏡になってしまったけど。そもそもダンス躍りながら鏡みるなんて器用なことはまだ出来ない。
「そういえばミズキ様お煙草は?」
「あー、もうあとちょっとしかないからやめたくて。買えないし」
「私が増やしてさしあげましょうか?」
「またとんでもないお願いとかされたら嫌だしいいや。辞めるチャンスだと思うし禁煙する」
「煙管や葉巻にしないのか?」
「キセルねー。憧れるけど、せっかくなら花魁みたいな着物きて脇息にもたれて吸いたいからいい。それと葉巻はなんかゴツいからいい」
思い出させないでくれ。禁煙って思ったより大変。客のおじさんたちが大変だって言ってたけど、今は水蒸気のとかもあるしイケるんじゃね?って思ってた。だけどまさかの異世界とか斜め上すぎて逆に禁煙できそうなんだから。
「まぁ口寂しければノアかジョエルにキスしてもらえばいいしね」
隣でお茶飲んでた人が噴き出した
「え?大丈夫?紙ナプキンあるよ。あっ」
紙ナプキンを渡そうと思ったらティーカップをひっくり返してしまった。
「やばっ」
ドレスが汚れたらシャレにならない!って立ち上がったけど椅子は倒れてしまった。やばい、このボリュームのドレスやばい
「ミズキ!」
ロランに手を引かれたら倒れた椅子に足をひっかけて前に転んだ。あっやば、これいつものパターンのやつって転びながら頭を過った。
感じるのはあたしの唇に温かい唇が触れているということ。ノアやジョエルとちがって少し乾燥していて大きいけど薄めの唇。歯が当たらなくてよかったって思ったら、腕を掴んだ手に力が入ったのがわかった。ごめん。とりあえずどうしたらいいかわかんないから目瞑るわ
「ロラン、もういいんじゃないですか?」
ミシェルの声がして我にかえった。多分キスしてた時間もほんの数秒なんだけどうっとりしてしまったんだと思う。
「ミズキ…その、すまない」
「こっちこそ…ごめんなさい」
「二人ともファーストキスじゃないんですから、そんなに顔を赤くしてどうするんです?」
あたしの脇の下に手を入れて起こしてくれるけど、これじゃ子ども扱いだ。ミシェルって非力に見えるけど成人女性を抱えあげることができるんだから結構力あるんだと思う。意外。
「ネイル、しましょうか。とりあえず手だけでいいんですか?」
「うん。フットネイルもしたいけど当日の靴はオープントゥじゃないらしいからとりあえず手だけおねがいします」
「では色から選びましょう」
この人はネイルサロンでも開いているんだろうか?座らされたあと出してきたサンプル帳には色んなチップ。どの色もアートもOKだそうだ。スカルプで延長もできるとか3Dネイルもできるとかなにこれちゃんとサロンじゃん。
「やだー。結婚してなかったら絶対ジョエルと結婚してた」
「今からでもいいですよ?花婿が2人から3人に変わったところで大した変更ではありませんから」
「いやいや、無理無理。ね?ロランもそう思うでしょ?」
「俺は…まぁ…」
「あっ色は白がいいなー。フレンチのとこミラーかオーロラっぽいのがいいかも。いや、オーロラにする。あと人差し指と薬指は白!白のとこ付け根にキラキラつけて」
「かしこまりました」
ミシェルに手をとられてケアから始められた。はーもう幸せ。これこのまままつエクもしてほしいくらい。ロランは、絶対できないから無理だ。お茶淹れるのにもこんなに困ってるんだもん
「ベースの色は白になさりますか?」
「うん」
LEDランプもなければフィルムもなくパウダーとなんかの魔術でうるうるネイルができる。えーうそこれすごーい。
「ミシェルすごいね。マジこれ最近の流行りじゃん。異世界やばいね」
「そうですか?なぜか気付いたらこのデザインができるようになっていたんですよ」
ゲームやばい。そうだよね、日本のメーカーが作ってるんだもん。かわいいのは取り入れたいよね。あとランプなしてジェルネイルすごすぎるんだけど。しかも速乾。やば
「ビジューはどうされます?個人的には…いえ、そのピアスと似たようなものにされます?」
「うん。統一感で考えたらそうかな」
「ではダイヤで」
「は!?」
「え?ですから同じものですよね?かなり純度が高いものですので同じものは」
「いや、だから、ダイヤだったのやっぱこれ」
「えぇ。ノアールの魔術式が詰まっていますがダイヤですよ。これほどとんでもない魔術が組み込まれているのにこの透明度は流石としか言えませんよ」
やだこわい
「ミズキは愛されているんだな」
淹れるのを失敗しためっちゃ色の濃い紅茶を飲みながらロランに言われる。確かに、会って数時間で婚約?結婚?したけど愛されてるとはおもう
「筆下ろしの相手だからじゃないですか?」
「なにそれ。じゃあミシェルもヒナのことまだ好きなんじゃない?」
「いいえ、私はそのようなことはありませんよ。まぁ確かに当時は童貞でしたけど。童貞を捧げた相手にのめり込んだのは殿下だけです。ロランは童貞ではありませんでしたし」
「ミシェル!なんでそれを!」
え?じゃああの3人ならロランだけが童貞じゃなかったってこと?えー意外。すごく意外。この初さとか絶対ヒナで童貞捨てたあと特になにもなかったってかんじなのに
「侯爵家とはそういったところなのですよ。次男とはいえろくでもない女とは関わってほしくないですから、性教育はきちんとしているんですよ。はい、できました」
「こーしゃく大変。王子様とおんなじ?貴族ってよくわかんないんだよね。あっかわいいー!きらきら!うるうる!ちょー理想。ミシェルありがとう」
「お礼はとりあえずキスでいいですよ」
めんどくさいから頬にキスだけしてあげた
21
お気に入りに追加
603
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。


捕まり癒やされし異世界
波間柏
恋愛
飲んでものまれるな。
飲まれて異世界に飛んでしまい手遅れだが、そう固く決意した大学生 野々村 未来の異世界生活。
異世界から来た者は何か能力をもつはずが、彼女は何もなかった。ただ、とある声を聞き閃いた。
「これ、売れる」と。
自分の中では砂糖多めなお話です。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる