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しおりを挟むまたあのアホみたいな枠を腰に装着して、いってきますのキスをしたあと、転移させてもらって昨日と同じ部屋に着いた。今日はピアノの所に人が座ってる。
「ノアールのような便利な魔法はつかえないからな。ピアニストに来てもらった。口は堅いやつだ。ミズキが異世界の花嫁なことや、俺やミシェルとダンスの練習をしていたことは誰にも話さないから安心してほしい」
とりあえずよろしくお願いしますと、なんとなくカーテシーで挨拶をしておいた。ピアニストももちろん男性。
「適当に三拍子の曲を。いいと言うまで適当に弾いていてくれたらいい」
ピアニストなんでしょ?そんな適当でとかこっち都合なお願いでいいの?しかし相手は普通に弾き始めた。わーすごい、生ピアノ。
昨日のノアの魔法とは違って、1.2.3のリズムに緩急をつけてくれるからとてもわかりやすい。ノアのはなんというかCD的な?お手本みたいな普通のかんじ。やっぱりピアニストすごい
「昨日と同じステップだが、やはりもうついてこれるな」
「今日の音楽のほうがわかりやすいのもあるかも」
「当日も生演奏だからこちらのほうがいいだろう。この男は当日もピアノ担当だぞ。まぁオーケストラの演奏だからピアノだけが目立つわけではないが」
オーケストラの生演奏で踊るダンスとかおそろしいな。異世界やば。
相変わらずターンは下手くそだけど、昨日よりは上手になったとロランが褒めてくれた。ちょっと嬉しい。
ピアノが急に止まった。え?なに?ピアノ疲れた?
「ミズキ様、お待たせいたしました」
そこにいたのは無駄に多い荷物の横になぜか正装をしているミシェルさん。え?この人マジ頭おかしくない?なんで正装?
「ミシェル、お前なんでそんな格好」
「当日私は一緒に踊ることは絶対に出来ないとおもいまして。レッスンとはいえミズキ様と踊れるとなれば正装がふさわしいかと」
「はぁ…殿下には?」
「何もお伝えしていませんよ。どうせ殿下は明日無理矢理にでもご一緒に踊ろうとするでしょうから私にまで出番が回ってくるか…ですから今日。ちなみにミズキのドレスも用意していますよ。当日のものより劣りますが、プレフェレのものですので」
濃いブルーの袖付きのドレスだった。胸元はスクエアカットで袖はレース。ウエストから広がるタイプのドレスだ。かわいい。
「下着はこの前のアレではありませんよね、肩紐がでないデザインのものをお持ちしました。」
執事わかってる。そしてアレとは多分ヌーブラ。確かに今日はヌーブラではない。
そしてあたし着替えなきゃいけないの?え?ここで?ストリップ?でもドレスウエスト細そうだけど入らなかったら泣く。ここに来てからごはん食べて、お酒飲んでセックスしかしてないから絶対太ってるヤバイ。
「簡易コルセットを持ってきていますから。心配なさらなくても。あとあちらのカーテンの裏で着替えられますから安心なさってくださ」
この執事は人の考えていることまでわかるらしい。スーパー執事だ。おかえりなさいませお嬢様ってお盆持って片方だけのメガネかけて言うザ・執事みたいなかんじだ。店の子がそんなかんじのホストに貢ぎまくってたのを思い出す。今思えばホストが執事ってなんだよ。ふざけてるよ。執事と思いきや奉仕してくれるわけでもなくお金吸うだけじゃん。
「ロランもミズキ様のお召し替えを手伝いますか?」
「お前わざと言っているだろう?」
「いえ、今日はどのような珍事が起こるか楽しみにしているだけですよ」
「ほんっと性格悪いよな」
ジョエルにそっくりだ。確かにジョエルがいい性格をしてるとは言いがたい。それよりも珍事とは聞き捨てならない。ラッキースケベのことを珍事と言っていることに間違いないはずだけど。
「ほらミズキ、ミシェルと着替えてこい。こいつはミズキと踊るのを本当に楽しみにしているんだ」
「う、うん。わかった。」
手を離したらちょっとバランスを崩して転びそうになった。腰を抱かれて抱き止めてもらったと思ったら回った手は腰じゃなくておっぱいを鷲掴みにしていた
「ほら、やはり珍事が」
「うるさいっ!!」
ロランには些細なことであってもラッキースケベの神が味方してくれるみたいだ。
「身頃は細身ですけど、ミズキ様ならそこまで締めなくても着れますよっ」
下着だけになったあたしのうしろからコルセットの紐を引っ張ってくれる美男子。ミシェルさんがラッキースケベ神の申し子だったら今頃全裸だろうし大変なことになっていたとおもう。
「背筋のびるかんじ」
「でしょうね。ほら、広げていますので脚を通してください。」
服は上から着るものだと思っていたけれど、この国のドレスはしたからのタイプがほとんどみたいだ。まぁ形を保つならそうか。
「やっぱり太ったかな?ちょっと心配」
「此方に来られてからですか?」
「うん。ごはん食べてお酒飲んでセックスしかしてないもん」
「…此方にいらしたときの服装は体の線が露になっていましたから、それを基準に考えてもお太りにはなられていないと思いますよ」
「ほんとー?でもミシェルさんが言うならそうかも」
ジョエルと同じくらい性格ねじまがってそうだし。嘘つけるけどそれより先に本音出そうなタイプっぽい。この世界、露出全然しない服ばっかりだし太ってないなら着膨れしてる気する
「はい、留め終わりましたよ。やはり似合いますね」
「ほんと?あとでおっきい鏡みてみる!」
「髪も軽くアレンジしましょうか?」
「おねがい」
王子様についてるのに、なんでも出てくる内ポケットからヘアセットのあれこれが出てくるのも謎だけど本当に助かる。あとでジョエルにも見てもらおうかな。ノアはまだ寝てるといいけど。
「では行きましょうか」
「うん」
思ったより手は大きかった。こんなに美人でもやっぱり男なんだなってちょっとドキドキするけど、あたしにはなぜか夫が二人もできたからこんな簡単にドキドキしてはいけない!不貞行為!
「髪もかわいいー!ありがとう。ネイルもあとでしてくれるんでしょ?お礼は?どうしたらいい?まだ稼げてないから出来ればお金じゃないやつがいいかも」
ノアかジョエルに借りるもいう考えもあったが、お金は絶対借りないと日本にいたときから誓っている。それもこれもお母さんの教えだ。
『お金は絶対に借りるな。貰うか現物を貢がせろ』
というのをいつも言ってきかされていた。お金は借りてはいけないし、貸してもいけない。貸すくらいならあげて縁を切れとも言われていた。
「ミズキ様のお仕事の体験をさせていただきたいのです」
「え?ミシェルさんが?セク嬢やるの?」
「いいえ、私が客としてミズキ様に接客していただきたいのです」
この人は真顔で何を言っているんだろう?なんかよくわかんない
「金銭を払って40分であればイチャイチャし放題、その中に胸を触ったりしゃぶったりしていい時間があるとお聞きしましたが」
「え?いや、あってるけど、え?」
「初日に貴女のお仕事をたまたま耳にする機会がありまして。私以外は知らないとは思いますが。何分聞いたこともない職業でしたのでヒナ様に手紙にて確認をとったところ、娼婦とまではいかないがそのような職業であろうとのことで。この世界にはその職業はありませんので後学のために是非」
この世界に来たのが中学生くらいの女の子がよくセクなんて知ってたな。今時の子すごいわ。いや、
「ミシェルさんはヒナ様?と連絡とれるの?どこにいるかわかんないんじゃ?」
「詳しい場所はわかりませんが、彼女の魔力宛に飛ばせば連絡をとることは可能ですよ。もっとも彼女は連絡無精なのですぐ返ってくることは稀ですが。しかし今回は異世界の花嫁がいらっしゃったということですぐにお返事がきました」
自分に都合のいいようなことにはすぐ返すタイプね。
「ノアとジョエルに聞いてみていいって言ったらね…」
「ジョエル様は絶対にいいとは言いませんのでノアール様にだけ確認を」
「なにそれ絶対ノアはダメなんて言わないじゃん。」
「制服もお持ちということでそれでお願いいたしますね」
満面の笑みでそう言われてカーテンを開けられてしまえば抗議をする暇もなかった。
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