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しおりを挟む一通り下着は確認できたのか満足そうにしていた。
「下の硬いのはなにかしら?骨?」
「ワイヤーですよ。金属的な?」
「こんなに柔らかく曲がるものは魔術師団のやつらの協力が必要になりそうね。一般化は難しいけどミズキ様の分だけならなんとかなりそうね」
この世界はまだコルセットが一般的らしいのであたしの知ってるブラジャーは流行らないようだ。ウエストを細くするにはダイエットではなくコルセットで締め上げ、その肉を胸へと寄せ集めるのだそうだ
「ミズキがコルセットなんてつけたらウエストはなくなってしまいますよ」
「それはないと思うなーあたしも細くなりたいもん。補正目的のウエストニッパーだけでもいいし。それに胸もまだ盛れる。」
胸を盛る方法は職場の貧乳がすごく詳しく上手かった。彼女はBがEくらいあるんじゃないかくらいに見えていたけど、教えてくれたのはそれよりは控えめなやり方だったけれど、でも盛れる。
「これ以上強調するのは御披露目のときよりはもっと…観劇のときがいいかと。化粧室は私達男は入れませんから。ある意味戦場ですよ」
「それはそうよ。セクシー路線ならうちでないメゾンのほうがいいわね。それで?あのデザイナー君の新ブランドはいつ着せる用?」
「あそこは陛下からの叙勲の際に着せようかと。新聞各社がこぞって来ますから。新進気鋭のデザイナーの意匠のドレスを見に纏って国民中にミズキの存在を知らしめるんですよ。彼もいい宣伝になるので気合いの入ったものを作ってくれるでしょう」
どんなドレスかもわからないのにもう着ていく場所まで決まっているようだ。そこのなかで一番気に入った所ががウエディングドレスも仕立ててくれると。
「とりあえずうちは御披露目のドレスね。ミズキ様はどういうのがいいとかあります?」
「うーん…」
正直キャバドレスは着たことがあっても本格的なドレスなんて着たこともなかった。友達もまだ結婚してる子なんていないし(デキ婚ならいる)
いや、ある。典型的なドレスをみたことがある。しかもスマホで。しかもスクショしてた。職場のコスプレdayのためだ。普段からコスプレしてるようなものなのに別にコスプレdayがある意味不明な店だ。普段はキャバドレスを着たりランジェリーだったりメイド服だったけど、店長に「本格的なお姫様やってみてよ。接近つかなくていいから」と言われやる気になって調べていたのだ。
「ねぇジョエル、あたしのスマホは?」
「あの画面のやつですか?はい」
やっぱりジョエルの内ポケットにあった。もうなんとかポケットみたいなやつじゃん青いロボットのお腹についてるやつ。
とりあえずまだ充電はまだ大丈夫みたい。カメラロールをスクロールしまくってスクショを探し出す
「これこれ、こーゆーの着てみたい!甘すぎないけどお姫様みたいでキラキラしてるやつ」
ネイビーのボールガウンドレス。ウエスト切り替えでスカート部分は大きく広がる大量のフリルやチュール。全体的にこれでもかとスパンコールやグリッターでキラキラしてるドレス。店長に言ったらレンタルでも高すぎてダメと却下されたドレスだ。
「いいじゃない!すごく素敵!ミズキ様もお似合いになると思いますよ」
「でしょ?ピンクとかだと甘いから似合わないと思って。でもボルドーとか赤だと気合い入りすぎちゃうし」
ルネさんときゃっきゃしてたらジョエルが真顔で「駄目です」と却下してきた
「なんで?かわいくない?。ルネさんも似合うと思うって言ってくれたよ?」
「確かにミズキに似合うと思いますが色が駄目です。その色は絶対駄目です」
「なんで?ネイビー絶対かわいいのに。スパンコールもグリッターもめっちゃ映えるじゃん!」
「だから色が駄目なんです。ネイビー、ボルドー、一番駄目なのはゴールド」
「ふふふっわかったわ。なんでジョエルがいきなり異世界の花嫁を娶ったのか気になっていたけどそういうことね」
「ならわかるでしょう?」
「えぇ。面白くないわよね。ミズキ様は第3王子たちと婚姻しろとでも言われて異世界から呼ばれたのかしら?」
「らしいです。でもちょっと色々あって断ってノアとジョエルに旦那様になってもらったというか。それとドレスの色関係なくないですか?着たい色着ちゃ駄目なの?」
「彼らの髪の色覚えてる?そして今日貴女が着ていた服のスカートの色。明るい黄緑だったでしょう?その色は誰の髪色か考えてみたらわかるんじゃないかしら?」
さっきまで着ていた今日の服はジョエルが用意してくれた。よくみたら隣にライムグリーンの髪色、そして駄目と言われた3色…なんとなくわかった気がする
「その顔はわかったみたいね。好きな女に自分の色を着せたいものなのよこの国の男は。だからジョエルは今日貴女に自分の色が入っているものを着せた。ネイビーのドレスが駄目なのも執事長の息子の髪色だから。」
「でもあたしライムグリーンもパステルみたいなパープルもちょっと…若い女の子ならわかるけど」
「ミズキは若いですよ」
「そういう問題じゃないわ。ミズキ様は御披露目のドレスは少し大人っぽいのがいいってことよね?」
「そうです!」
「だから貴方達の色は御披露目には却下。その代わりにデイドレスでもナイトドレスでも好きなものに色使ってあげるわ。もちろん下着でも」
「まぁ、それなら」
納得してしまうのかジョエル…なんか真面目なジョエルがどんどんいなくなってる気がする。独占欲というかなんというか…なんだっけ?なんとかデレ?
「じゃあ生地選びましょうか。採寸は最後でいいわ。もうデザインもほぼ固まったし。ほら、生地の見本帳」
後ろに控えていたアシスタントさん達が出してきたのは見本帳というには薄いものだった
「写真かなにかで全部みるの?」
「しゃしん?いいえ、私が魔術を使って生地や見本を出すからそれで見てちょうだい。いい、これはミズキ様が決めるの。よっぽどのものでない限りジョエルは口を出さないでちょうだい」
そういえばルネさんがジョエルを呼ぶときに呼び捨てになってる。本当に親しいんだろうな。同級生だからか。
ルネさんがページを開く度にホログラム的なかんじでドレスが浮かび上がる。生地の見本も。すごいリアル。すごい
「これは?」
「うーん、多分似合わない。」
「これ?」
「かわいいー!でもちょっとちがうかも」
「じゃあとっておき。これから流行らそうと思ってるブルーグレー。グレーよりブルーが少し強めだけど見方によれはシルバーにも見えるわ」
「えっかわいい!これがいい!ジョエル、これは?」
「いいんじゃないですか。ミズキの大人っぼいという希望にも合いますし」
「スパンコールやクリスタル大量につけましょう。いいえ、むしろ宝石ね。うちのメゾン一丸となって死ぬ気でやるわ。よし!デザイン画もここで描いちゃいましょう!その間に採寸よ」
あれよあれよという間に採寸をされてルネさんはデザイン画も完成させていた。採寸はジョエルがいちいち「ここは触らないで。私がやります」と言って作業を中断させていた。別にプロがやるくらいセクハラでもなんでもないと思うんだけど
「ボールガウンの広がりがとてつもなく大きいのは結婚式のときね。お披露目のときじゃ慣れてなくて階段とダンスのときに大変だわ。プリンセスラインじゃ広がりが足りないしウエスト切り替えのベルラインくらいにしましょう。よし!じゃあこれからメゾンに戻って取り掛かるわ!期日は?」
「5日後の夜です」
「は?」
「聞こえませんでしたか?5日後の夜に御披露目が予定されていますのでそこに間に合うように」
「5日…どうするのよもうお昼もなにもおやつの時間よ…」
「えぇ。5日後の夜には御披露目の舞踏会ですから昼には用意していただけると助かりますね。あと靴は早めに。ダンスの練習がこれからありますから靴だけでも慣らしてあげないとミズキがかわいそうです」
ジョエルとルネさんはまたギャーギャー言い合ってるけどあたしには聞きたくなかったことが聞こえた。御披露目の舞踏会なるものは5日後、ダンスの練習…ダンスって知ってるやつじゃないのはなんとなくわかる。ダンス???
「金に糸目はつけません。倍は払いましょう。やっていただけますか?」
「できないと言ったら?」
「別の所に頼むだけですよ」
「…やる、やるわ。男に二言はないもの。うちのメゾンあげて素晴らしいドレスをつくってみせるわ!だからウエディングドレスは絶対うちにしなさい。期日にも余裕をもって!わかったわねジョエル!みてなさい、完璧なものを仕立ててみせるわ」
「期待していますよ。」
「とりあえず明後日、仮縫いの試着に来るわ。時間がないから帰るわよ。ほら、貴方達急ぐわよ。暫く寝れないと思いなさい」
扉まで見送りをしようと思ったけど本当にとんでもない勢いで飛び出していった。
5日後?これから作図してパターンひいて裁断、仮縫い、試着、本縫い、試着、微調整からの地獄のキラキラつけ…そして早めに靴の用意もしてアクセサリーまで…強硬スケジュールである
「ミズキ、このまま寝室にいきますか?それともお風呂?」
「もうジョエルの好きにして…」
そうだ。セックスもあったんだ
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