上 下
11 / 52
二章 成長した愛し子

四話 その女神、発病❀

しおりを挟む

 「ん……」
    起き上がろうとして、身動ぎをし…………ん?できない、あれ?
 疑問に思って、目を開けてみると絶世の美貌が目の前に。
「みゃああああああ!!!」
 な、な、な、…………なんで、なんで一緒に寝てるの!?
 そしてここは何処!!
「う……る、さい……しずかにして…………」
 あまりに大きな声を出してしまったものだから、起こしてしまった。寝ぼけてるけど。
 寝起きの掠れた声が脳に響く。
 これ以上、この掠れた声を聴くのは危険だ。非常に危険だ。急いで距離を取ろうとしたら、緩く私を抱きしめていた力が更に強まって抱き込まれた。
 抱きしめた本人は、すやすやと気持ちよさそうに眠りに入ってしまった。
 おい。寝るな、そこ。離せこら。
 しばらくゆさゆさと揺さぶってはみたけど、起きない。どころか余計に深い眠りに落ちていっている。
 す──…………。
 うん……諦めも肝心、なんだけど、こうまで起きないなら悪戯したくなってくる。
 眠りに入ったことで緩くなった腕を解いて、頬に手を添え、唇を親指で撫でる。触れた瞬間、負けた気がした。薄紅色の唇はひび割れてもいなければ乾燥してもいない。プルンプルンなのである。なんて羨ましい。これが男の唇なのが憎らしい……。
 あ、そういえばこの子、上着も脱がずに寝てる。少ししわになってしまっている。これ以上皺になる前に脱がせないと。
 よいしょと。
 相変わらず軽い体に少し驚く。小さい頃から軽かったけど、大きくなっても軽いままとは……。上着とついでにベストを脱がせた体をそっと横に戻して、畳んで少し離れた場所に置いておく。
 シャツはどうしようか。
 寝巻きは持ってないから、脱がせる?
 シャツに体の色が透けていて若干色っぽい。
 なんだか腹が立ってきた。
 ひとつひとつボタンを外して前を寛げる。そこから手を差し込み、微かに色付いている乳首に触れる。
「……ん」
 少し反応はしたものの、まだ起きない。
 つ、と舌を這わせ舐めていると、
「っ!?」
 と、息を飲んだ音が聞こえた。

 ✻    ✻    ✻    ✻

 何が、どうなっている……?
 何故か服を脱がされ、その上、お姉ちゃんが、僕の乳首を、な、舐めている……! 
 え、な、何で!?!
 嫌われたんじゃなかったの!?
「はっ……ん……!」
 ちゅう、と乳首を吸われた。もう片方を人差し指で弄られる。
 はぁはぁ、と呼吸が荒くなる。
 あぁもう、どうしてくれようか、この娘……!
 手を出したくて仕方ない。でも、そんなことしたら行為自体が止められそうで怖い。勿体なくてとても手を出せない。
 あぁ、焦れったい。
 そう思った時、ふと見上げられた。
 ……?
 真正面から見詰められて、思わず息が止まる。
 な、何?
 ──ちゅっ。
 え?
 ──ちゅっ、ちゅう。
 ……え、え…………え?ええ!?
 数瞬、頭が真っ白になった。
 …………お姉ちゃんに口付けられてる!!?ありがとうございます!?
 なにこれ、夢かな。天国?いつの間に死んだっけ。
 ぼーっ、としている間にも口付けは続いている。
 唇を舐められ、食まれる。
「ぅん……ん……はぁ……ん」
 どんどん深くなる口付けに頭がおかしくなりそう。
 気持ちよくて、心地好くて声が漏れる。
 一体全体、お姉ちゃんは僕をどうしたいんだろう?
 お願いだから、これ以上、僕をおかしくしないで。勘違いしたくなるから。
「あっ、ん……」
 そっと耳に手が触れ、びくっと肩が跳ねる。
 耳は精霊族の性感帯だって知ってて触ってそう。だって、小さい頃にもよく耳を舐められてたから。
 ……単純に自分よりも長い耳が好きなのかも知れないけど。
「んん……!??」
 唇を割られたと思ったら唾液が流れ込んできた。
 次から次へと唾液を送り込まれるものだから、飲み込むしか術は無い。
 ……やる側とやられる側では感じ方がまったく違う!こんなに厭らしいことを僕はしていたの!?
 反省した。ごめんなさい。
 確かにこれは、文句の一つも言いたくなる。
「ん……ぅん……」
 ちゅくちゅくと響く水音が厭らしい。
 長い口付けが終わり最後にちゅっ、と音を鳴らして離れていった。
 やっと終わる……。
 手を出す前に終わってよかっ、
「……!?……っ!!……え!?」
 する、と股間を撫でられた。
 どどどどど、どこをさわっ、
「ちょっ、まっ……待って!」
 ダメダメダメ!そこはダメ!お触り禁止!
 咄嗟に手を掴んで止める。
「……………………」
 そんなにむくれないで。拗ねないで!可愛いからやめて!
 あぁ、もう!
「そこは、だめ」

 ✻    ✻    ✻    ✻

 目の前にご馳走があるのに、止められる。
 食べたいのに食べさせてくれない。
 ……もどかしい。
 さっきまでは、気持ちよさそうにしてたのに。
 むぅ。
 何をそんなに必死になって止めるのか分からない。
 抵抗されるとしたくなるんだけど?
 ゆるゆると首を振って嫌がっているけど正直、そこまで嫌そうには見えない。
 うーん。どうしたものか。
 すっかりその気になってしまっているから、今更止められないんだけど……。
 既に涙目になって可愛いことになっているルゥを喘がせて鳴かせたい。めちゃくちゃにしたい。縋らせたい。私を求めてほしい。私だけを見てほしい。
 叶うなら……愛してほしい。
 でも、無理矢理したくはない。
 それでも犯したい。
 相反する気持ちが煩わしい。
 してしまえばいいのに何故我慢するのかと煩悩が訴えかけてくる。
 自然と瞳孔が開く。
 ひくっと、喉が鳴った音がしたと同時に手を掴んでいた力が緩む。
 期待したんだろうか?嫌がってたんじゃなかったっけ。どっちなの、ねぇ。
「うぅ……」
 ぽろぽろと涙が溢れいる。
 舐めとってやると、顔が林檎のように真っ赤になった。可愛い。
 あ、目を逸らされた。
 無防備になった首筋に顔を寄せ、吸い付く。
「……あ……っ」
「ふふっ、可愛い……」
 首まで真っ赤になった。大丈夫かな?
 ルゥの身体が凄く熱い。体温が低いと温かさがよく分かる。それだけ興奮している証拠だろう。
 私で、私の悪戯で興奮してくれている。その事実がなにより嬉しい。もっと……私を欲して。私だけにその愛らしさを見せて。可愛く鳴いて、喘いで?
 私に……溺れて。愛して。
 私だけを……見て。
 その目に映すのは……私だけで、いい。他の女を見ないで。
 ──かぷ。
「好き」
 長い耳を食む。
「へ」
 ──ぺろっ。
「……好き」
 ──ちゅう。
「え、え……!?」
「……大好き……」
 耳が真っ赤になって、ピルルルッと動いた。
「どういう……?」
 おろおろと瞳を揺らしながら困惑げに聞かれ、ついムッとなってしまった。
 耳の中に舌を入れ、両方の乳首をキュッと抓る。
「……あ……ぁあっ……!」
 私の気持ちを疑う悪い子にはお仕置しなきゃね?
 意地悪い笑みを向け舌舐めずりをする。
「ひぅっ」
 震えておののかれた。
 失礼な。
 キッ、と強く睨むと頬を染めて視線を逸らされた。
 え、なんで。そこはさっきみたいに震えるところでしょう。
 ルゥ……もしや変態?
 しばし呆然としていると、焦ったように首を振られる。私って分かりやすいだろうか。
 睨まれて喜ぶのが変態でなくて一体なんなのか。
 後で問いただそう。
 つんつん、と人差し指で唇をつつく。
 ──パクり。
 あ、指を食べられた。
 まるで赤子のように指を舐めしゃぶられている。
 子ども返りでもしたのかな。
 甘えるようにちゅうちゅうと吸われる。
 私の手はおしゃぶりではない。
 引き抜こうとしたら、両手でそっと握られ小首を傾げて上目遣いで
「らめ?」
 と言われた。
 ダメじゃないです、むしろありがとうございます。
 可愛すぎる……!!
 もはや犯罪レベルのあざと可愛さ。
 これだけで死ねる。死んでいい。
 はぁはぁ、と呼吸が荒くなっていく。
 鼻の奥が熱くなってきた。我慢しろ私。ここで鼻血を出してはいけない。雰囲気が台無しになってしまう。
 可愛さから目を逸らし、上を向く。
 それを咎めるようにじゅっ、とキツく吸われた。
 ごめん、今は真面まともに顔が見れない……。
「んー……」
 あと少し待って!休憩しないと確実に容量不足で発熱オーバーヒートする。
 すー、はー。
 一先ひとまず落ち着こう。
「ふぉれえはん?らひひょーふ?」

 ───ポタポタ。

 頼むからそのあざと可愛さを何処かにしまってくれないか。深呼吸して落ち着いた意味が無くなったじゃないの。

 二度連続、気絶を経験したのは初めてだった。

 ✻    ✻    ✻    ✻
 幸せそうな寝顔でいらっしゃる……。
 普通、気絶するだろうか。
 致している最中に鼻血を出して気を失うだろうか。
 現に、目の前に居るわけだけど。
 一応こんなでも神様なわけで。鼻血出して倒れたけど確かに神様で。
 というか、鼻血出したことに驚いたんだけど?いつからこんなに人間のようになったんだろう?
 まさか本当に人間になってたりしないよね。ね?
 ……大丈夫。だって僕より耳は短いけど、精霊族並には耳が長いし、なによりしっぽがある。
 この時点で人間ではない。
 かといって、鼻血を出すほど人間味が出てきたわけで。
 まぁ、寿命が短くなってるなんてことは無いだろう……と願いたい。
 一番有り得そうなのは、人と関わりたいあまりに無意識に少しでも人に近づくよう、身体を作り変えていたってとこかな。
 お姉ちゃんはお姉ちゃんだから、そこまで気にしてないけど。
 何はともあれ、嫌われてなかったみたいで良かった。
 あれって照れてただけ?
 それはそれで気になるけど、それはまた今度。
 胸の上に乗っかって気絶したリーヴェルを抱き締めて再び微睡まどろんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。

ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい えーー!! 転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!! ここって、もしかしたら??? 18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界 私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの??? カトリーヌって•••、あの、淫乱の••• マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!! 私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い•••• 異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず! だって[ラノベ]ではそれがお約束! 彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる! カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。 果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか? ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか? そして、彼氏の行方は••• 攻略対象別 オムニバスエロです。 完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。 (攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)   

行き倒れていた男と極寒の夜に一つのベッドで温め合いました

めぐめぐ
恋愛
サヨ・レイナードは、辺境の村の外れでひっそりと暮らす薬草師。 冬が近くなってきたある日、サヨは家の近くで行き倒れた男性を拾う。 サヨに介抱され、目を覚ました男性はヴィンセンと名乗り、隣国に渡りたいというが、もうすでに隣国に続く道は雪で覆われ春まで通行できない状態。 ヴィンセンの様子に何か訳アリなのを感じたサヨは、村に迷惑をかけられないと、彼を春まで家に置いておくことにしたのだが―― ※約15,000字 ※頭からっぽでお楽しみください ※直接的表現あり ※展開が早いのはご容赦くださいませ

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!

臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。 そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。 ※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています ※表紙はニジジャーニーで生成しました

完結 チート悪女に転生したはずが絶倫XL騎士は私に夢中~自分が書いた小説に転生したのに独占されて溺愛に突入~

シェルビビ
恋愛
 男の人と付き合ったことがない私は自分の書いた18禁どすけべ小説の悪女イリナ・ペシャルティに転生した。8歳の頃に記憶を思い出して、小説世界に転生したチート悪女のはずが、ゴリラの神に愛されて前世と同じこいつおもしれえ女枠。私は誰よりも美人で可愛かったはずなのに皆から面白れぇ女扱いされている。  10年間のセックス自粛期間を終え18歳の時、初めて隊長メイベルに出会って何だかんだでセックスする。これからズッコンバッコンするはずが、メイベルにばっかり抱かれている。  一方メイベルは事情があるみたいだがイレナに夢中。  自分の小説世界なのにメイベルの婚約者のトリーチェは訳がありそうで。

処理中です...