雪ん子 ─ずっと、好きでした─

瑠璃宮 櫻羅

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序章

今はもういない貴方へ

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 雪が溶け、春が来ました。
 暖かな風と太陽は、貴方を思い出させます。

 あの日、あの時間、私が居たら……と今も思います。
 何度悔やんでももう遅い。それは分かっているのです、頭では。

 それでも、心は追いつかなくて。
 貴方のいない日々は、毎日が不透明で、虚しい。

 私も貴方の元へ行きたい。
 けれど、貴方が悲しむだろうから我慢します。

 貴方の遺した言葉を、私はずっと覚えています。
 貴方が教えてくれた、誰かを愛することを忘れないこと。誰かに愛されることを恐れないこと。

 その言葉を胸に、私は今日も生きてゆきます。

 
                                                                     雪乃 春姫
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