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第25話

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紆余曲折ありながら、日本が地球とは別の惑星に転移してから2ヶ月が経とうとしていた。

日本では国民投票も無事終わり、日本国憲法も75年越しの変身を遂げることとなった。

それと同時に、内閣の改造も若干終わり、日々変化する情勢に少しずつだが対抗できるようになっていった。



第1種特別地域

第1種特別地域、通称:特域は、自衛隊による事前調査が完了し、資源開発の準備も着々と整えられていた。

そんな中、特域には新たな名称が制定された。新名称は、青原と名付けられた。よって開発を終えた地域は北青原市となったのである。(先端部が和歌山県と近い地形なんでそこらへん考えてください)



そして、青原には自衛隊の駐屯地も設置された。名この地域は未確認の生物体が多く出没するためである。なお、未確認の生物体の一部には名称が与えられ、大まかの括りとしては"魔獣"という分類となった。

この魔獣というものが厄介で、軽自動車程度なら貫通もあり得るような矢のようなものを放つことと、その矢が命中した場合、命中箇所の一定部分が燃えたり凍ったり。または感電するような事象が確認された。

この被害によって自衛隊の一部車両が損傷したのである。人的被害は数名が重傷を負って本国に搬送されるなどの被害であった。



とりあえず新駐屯地である北青原駐屯地/基地には陸上自衛隊第21師団が駐屯することとなった。

なお、第21師団は急遽新編したのである。本来なら異例かつあり得ないのだが、警備する範囲が通常に比べてとてつもなく広いことと、予備自衛官の一部を常勤の自衛官として採用しようとする部隊があった(ていうか上層部が予備役を本役に採用しないと数が持たなかったので、半ば強制させた)ことから、そこの部隊から独身かつ若年である隊員を抜粋してきたのである。また、希望した隊員も青原に来ることとなった。自衛官で血の気が多かったり、新たな世界に胸をときめかした者も数多くいたという。

独身である理由は、未開発でかつ一般市民の立ち入りが現在固く禁じられている青原市に家族持ちの隊員が行くには不相応であると上が判断したのである。

若年である理由は非常に過酷である現場環境を鑑みて、老年には厳しくあることや、新入隊員の教育などをしなければならないからである。(しかし、自衛官の年々の減少によって後方部隊には老年の隊員が割り当てられることも少なくなかった。)

そんな第21師団の編成は即応機動1個大隊、普通科2個連隊、野戦特科と高射特科各1個隊、戦車1個大隊が編成された。即応機動大隊は連隊とは異なり普通科中隊が1つしか存在しないためである。機動戦車隊などは通常と同じ規模が配備されている。

また、施設科などの後方装備も最新のものが導入されていた。これは、インフラ整備などを迅速に行うためで、普段ならあまり忙しくない(筆者の主観)施設科もフル動員されることとなった。

ちなみに、この北青原駐屯地には現在第21師団のすべての部隊が駐屯しているが、随時日本が管理する半島の各所に分散することとなる。



また、この北青原駐屯地には滑走路も併設された。1200mほどのこの滑走路にはC-2やC-130Hなどの空自の輸送機が着陸できるような距離がとられた。が、後に増設工事がなされるのは後の話である。

この影響により、航空自衛隊の部隊も一部移転する予定である。航空自衛隊はT-4の武装化を施した部隊が配備される予定である。開発にはもうしばらくの時間が必要であるので、現時点では航空管制と配備拠点としての整備や補給用の装備が配備されている。

また、港湾設備も整えられつつある北青原駐屯地にはのちのち海上自衛隊の基地ともなる計画である。

こちらの海上自衛隊は多くの人員を割くことはない見通し(ていうかこっちは人員不足すぎて平常運転にも異常をきたすレベル)なので、分屯基地という形で運用される見通しである。





以上のことより北青原駐屯地は陸・海・空自衛隊の統合基地となることが決定していた。三自衛隊の

統合基地は前例がないためどうなるかはいまだに未知数であるが、今後の運用が期待されている。

なお、駐屯地司令は特別地域開発派遣部隊の岩谷 正則一等陸佐が任命された。また、特別地域開発派遣部隊は隊員の大半(ただし教導団員除く)が第60普通科連隊に配属された。第60普連は平時の地域開発・治安維持(という名の魔獣駆除)任務を行うこととなっている。そのため、第11普通科連隊の第5中隊の半数の89式装甲戦闘車を異動、それに伴う人員も異動とした。装軌装甲車は開発調査任務に必須なのである。これは未整備による装輪装甲車の不自由性に起因するものである。その他は73式と装輪ではあるが96式の配備でやりくりする魂胆である。



なお、北部から人員をよく割けるな?という疑問に対しては仮想敵国の一時的な消滅と地球での緊張状態が一切ないこと、第1種特別地域の開発を迅速に進めなければならないという理由からである。

もちろん、地球に再転移した場合に備えて、リスク分散という観点から第21師団は旅団規模の人員となっている。





そして件の北青原駐屯地では11月30日に駐屯地開設行事が執り行われた。実際の運用はあと1~2ヶ月ほどかかる見通しだが、これに併せて第60普通科連隊が運用を開始する。

駐屯地開設行事では最近導入されたC-2が4機飛来し、政府から防衛大臣もやってきた。

防衛大臣は祝辞で"日本の新たな土地において、この北青原駐屯地は大きな役割を果たすこととなるだろう。また、日本を支える大きな要ともなりえるだろう"とコメントした。これは、第1種特別地域が日本によって管理が続けられる目途が立ったということである。オルスター王国との交渉により、最後の領土権も取得した日本であったが、代償として自動車を1年で1万台の輸出と一部技術の開示が求められたが、渋々了承した。これを出汁にして開発が終わったころに"返せ"と言われたら一たまりもないのである。

オルスター王国としては当初の技術を得ることが出来たのでこれで万々歳であった。



何はともあれ。

駐屯地開設行事では日本の一部のメディアが駐屯地にて取材を行った。これは、メディアから新たな土地の取材させろと言って立ち入りが禁止されているマスニカ半島に入りたかっただからであろう。そのメディアの要望に日本政府は駐屯地の開設行事の取材でいいだろうという対応を取った。
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