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file.11 いじめ調査
しおりを挟む「潜入調査?どこに?」
珠莉が眠そうな顔のまま答える。
「高校だよ。いじめの調査」
答える諒介も眠たさが隠せない。珠莉と2人してホラー映画鑑賞でほぼ徹夜したためだ。
「こういうのって聞き込みが主体かと思ってた。潜入なんて本当にできるの?」
「それが特別なコネができまして」
諒介のコネクションは所員の誰にも知られていない。
「高校行ってないからどうしたらいいかわかんないけど」
珠莉の言葉に驚きを隠せない清香は
「大学には通ってるんでしたわよね」
「うん、義務教育受けてないから高校は行かなかったんだけど大学は大検さえあれば問題なかったから」
諒介も秋人も平然としているので清香はその場では色々聞きたいことも飲み込む。
「あと私もう23なんだけど。5つもサバ読める??」
「珠莉さんはメイク落とした素顔拝見してますけど幼く見えるので大丈夫と思いますわ」
「素顔ってそれ、どういう状況ですか?」
今回は控えだなと流して聞いていた秋人が身を乗り出してくる。
「もちろん2人とも裸で……」
「わーーーー!あれよ、あれ。お風呂一緒に入ったんだよね」
「いいな……」
本気で羨ましがっている秋人に諒介は思わず
「それじゃあこの仕事が終わったら皆んなで温泉にでも行くか」
「混浴はNGで」
「じゃあ家族風呂……」
「行くかー!」
と珠莉が吠えていると秋人がすっと諒介に近寄り
「所長、すみません明日は実家に。カメラのことなんかは珠莉先輩にお願いしますので」
「おー、わかった」
秋人は珠莉に
「珠莉先輩、カメラのセッティング引き継ぎますんで」
声をかけ機在庫に向かった。
「ここ中高一貫でただでさえ外部生少ないのに転入生って珍しいんだよ」
「しかも同時にって、ね」
HRで転入生の紹介が終わり教師が退出すると好奇心に満ち満ちた生徒たちが珠莉と清香を取り巻く。
「そうなんだ。親がOGだからかな」
圧倒されながら珠莉が答えるのに
「うちはほとんどがそうだよ。寄付金積んだのかな」
「成績だと思いますわ」
と清香がにべなく答える。ざわめく生徒たち。
「何点??」
「何点も何も、満点ですわよ2人とも」
ざわめきのトーンが上がる。意外に見られるかもしれないが珠莉も学力は高い。
「満点なんかガリ勉の船橋も流石に取れないよね」
リーダー格らしい樹里(いつき)の声がクラスに響き渡り辺りは嘲笑に満ちた。声の中で一人が俯いて耐えている。
キョトンとして見せる珠莉に近くの生徒が囁く。
「船橋晶には関わらない方がいいよ」
「なんで?」
「なんでって……」
休憩時間が終わり一旦その話は立ち消えた。
昼休憩になった。新入生の2人に生徒が群がる。そのうちの数人と昼食を食べることになった。降り注ぐ質問を適当に躱しわざとらしく教室内を見渡す。
「あの子はなんで1人でご飯食べてるの?一緒に食べよ」
一同に動揺が走る。慌てたように1人が
「ダメだよ。あの子ハブられてんの」
と珠莉たちに告げる。
「誰に?あなた達も?」
「私たちは別に……」
「巻き込まれたくないっていうか」
「じゃあ大丈夫。私たちは巻き込まれても何も怖くないから」
珠莉の言葉に驚きを見せる生徒たち。
「え?」
「だから一緒に食べよ」
と強引に言い切り珠莉は船橋晶の元へ、清香はグループのみんなと話を続ける。
「船橋さん、ご飯一緒に食べよ」
「でも…」
「話は聞いてるよね。大丈夫だから」
とここは声を顰めて伝える。
「わかりました」
と珠莉の言葉に頷き弁当をまとめてついてくる。
グループに戻るといじめの首謀者を恐れてか何名かはいなくなっていたが残った数名と食事ができる。清香が窓側の先に視線を向けてみせる。こちらを睨んでくる生徒が数名。首謀者か、樹里と七海と言う女子生徒の名前を清香は聞き出していた。打ち合わせ通り動くこととする。
雑談から抜け出しトイレに向かう晶。それを見かけ樹里と七海は後を追う。
トイレで一つだけ閉まっている個室を見てにんまりし表の廊下に清掃中の立て札を置く。
「バカね、あんたも」
「また水浴びしたかったんだ」
と個室に歩み寄る。そこにバーンと派手にドアを開けて珠莉と清香が現れる。
「何よ」
「むしろあなた達も何しに?」
と清香が樹里いつきに詰め寄る。
その間に珠莉はあっさり七海を取り押さえたかと思うと結束バンドで手首を拘束し事前に打ち付けおいたフックに吊す。
「え?なに?」
と狼狽える樹里も
「はい、こっちも」
と抵抗をあっさり封じて七海の隣に吊した。
「じゃ、お願いしまーす」
と珠莉はカメラの録画を再開して清香に声をかける。
七海のブラウスのボタン外す。スカートの腰のホックも外してしまう。スカートは重力で自然と落ちる。
同様に樹里の制服も剥ぐと
「止めろー。何してんのかわかってんの!?」
と怒声を浴びせてくる。
「あーだめだめ、声出したら表から誰か来るよ。今の姿見せてみる?」
と珠莉が言う間にも清香は2人の下着も外してしまっている。下着もなくなるとさすがに人を呼べないと思ったのか、2人は押し黙ったがこちらを睨みつけてくる。
「覚えてなよ」
「それはそっちの話。自分たちも似たようなことやってたんだろ」
珠莉の言葉に樹里が
「何のこと?」
ととぼける。
「だって、思い出させてあげようか」
と珠莉は清香の肩を叩く。
それを合図に清香が樹里の乳首に口をつける。空いた手で七海の胸を揉みしだく。
初めのうちは声を出さないよう抗っていたがそのうち
「ふわ、ああ」「あぁ、あん、あん」
と2人とも嬌声が漏れ出す。
下の方にも手をやり2人を同様に責め立てる。
「あ゙あ゙あ゙ーー」「イク、イっちゃう」
と2人を手だけでイカせた後、2人の身体から離れたと思うと持ってきたカバンから赤い物を取り出す
「何、それ」
「ペニバンですわ」
と悪い笑みを浮かべて清香が宣言する。
「ペニバン……て」
呆然として呟く珠莉に着ていたスカートを脱いで珠莉に預ける。バンドは既に装着済みでそこにディルドを取り付ける。
「え、そこまでやる?」
と驚く珠莉に反し樹里たちは期待の目で見ている。
「欲しい子だーれ?」
手は挙げられないので2人は叫ぶ。
「早く、早くちょうだい」
「はい、私にお願いします」
2人を値踏みしながら
「お行儀良い子にね」
と七海の前に立つ。先を挿入し焦らすように入口を掻き回す。
「あああー、もっともっと中までください!」
「はいはい」
と軽く言って清香が奥まで挿入していく。
「あぁー、いいー、それいいー」
それを聞きながら樹里は
「待って、私は?私は?」
と隣で身悶えし訴える。それに対して
「欲しいなら言い方があるんでなくて」
「すみません。私にも挿れてください。お願いします」
「それじゃあ足りないわ。船橋晶を虐めてたのは誰?」
と清香は問い詰める。
「なに、なんのこと」
しらばっくれようとする樹里の横で
「あーん、これいいのー」
七海が嬌声をあげる。
「ほら、いいの?こんなに気持ちよさそうにしてるのに」
とリズム良く七海に刺激を送り込みながら樹里に尋ねる。焦った樹里が
「な、七海よ。船橋虐めてたのは」
その言葉に腰の動きをぴたりと止める清香。七海に問いかける。
「ねぇ、船橋晶を虐めてたのは誰?」
「私だけじゃない主犯は樹里。もっと、早く、もっとー!」
「だって。どっち?それともどっちとも?」
と樹里の片脚を持ち上げ陰部を晒け出しペニスバンドの先のディルド先端を押し当てぐりぐりと刺激する。
「あああーー!」
焦らされてきたところに与えられた刺激で軽くイキかけところにもう一度尋く。
「どっち?」
「どっちも!私も七海も!」
「何したの?」
「船橋晶を虐めてました!だから早くイかせて!」
「はい。おつかれさま。情報通りビッチで良かった。後は消化試合ですわ」
と言って樹里にペニバン、七海に手で両方まとめてイかせた後、拘束を解き半裸のままトイレの個室に押し込んだ。
奥の個室をノックする。船橋晶が便座カバーの上に座り込んでいる。
「これで私たちは帰るけど、大丈夫?」
「……はい、ありがとう」
「証拠のデータは後でお渡しします」
「よろしくお願いします」
「結局これって調査じゃなくて懲罰じゃない!?バレたら事務所潰れるよ!」
珠莉が事務所に戻るなり吠えた。
「所長を責めないでくださいな。私が計画したことなのですわ」
清香が言うのに
「いや、実際の依頼がそうだったんだよ。お前さんの言う通り懲罰だな」
「わかっていてなんで?」
苛立つ珠莉に
「他の解決策も提示はしたよ。他のいじめに関してはそれでもいい。だけど性加害だけは同じ目に遭わさないことには気が済まないと」
「それであんなこと」
「あの人たちにはむしろご褒美になっちゃいましたけどね。でも動画がありますわ。一生晶さんには逆らえない。一生ですわ」
自室に引きこもっていると部屋のドアをノックし諒介が
「まだ納得いかない?」
と聞いてくる。ドアを開け戸口で
「レイプってれっきとした犯罪だよ」
と冷たく返す珠莉。
「そこまで思ってるならなんで引いたの。珠莉らしくもない」
「……さーやの気迫に負けた」
その返答に軽く笑う諒介。
「あの子にはあの子の信念があってのことだし。あと、晶さんと初めて眼が合ったんだよね、あの後。それまでずっと俯いてたんだって、その時気づいて」
「それで」
「私刑(リンチ)はダメだと思う一方、それで救われる人がいるのも事実で……わかんなくなっちゃった」
「そうか」
「ねぇ所長、もう皆んなをバラバラにするような危ない仕事はやめてね」
「わかったよ」
「あと所長、やっぱり私秋人の家でのことを知りたい」
「それか。だから本人に聞きなさ……」
と言う諒介に被せて
「正式な調査として依頼します!」
と常にない真面目な顔で珠莉が言った。
「そこまで言うのには何かあるの?」
「わかんない。ほんとわからないんだけど私のゴーストが囁くの」
「そりゃ本物だな。仕方ない。調査はしない。けど俺の知ってることは話そう」
と諒介の言葉に珠莉は頷いた。
「俺と秋人が出会ったのは秋人の傷が関わってる。秋人が10の頃だ」
諒介は話し始めた。
「それから時々連絡を取ってた」
「そんな昔から。私と遭遇した時も知らないフリをしてたんだ。
「そうだな。悪い」
「いいよ。秋人がそう望んだんでしょ」
「そうだな」
きまり悪い様子で答え
「その上で聞くけど本当に秋人の家のこと聞きたい?」
「聞きたい」
即答だった。
「わからないけど私にも何かできることがあるかもしれない」
「……猫探しにしてもお前さんの助けを求める声を聞く力は特別だからな」
としみじみした声になり、そこから意を決した様子で
「秋人の傷は父親につけられたと俺は思ってる」
と諒介は言った。
「あの傷がつけられた日、最初は母親の通報で救急車で運ばれたんだ。母親はパニックで何も聞き取りできなかった」
諒介の話を珠莉はじっと聞いている。
「後から駆けつけた父親が家に入ってきた暴漢にやられたと証言したので俺たちの出番となったんだがまず証拠が出ない」
え?となる珠莉に頷きながら諒介は話を続ける。
「そしてすぐに捜査中止だ。いや、中止じゃないな、この件はなかったことにされた」
「隠蔽?」
「そうだな。俺は秋人と連絡を取ってたけど秋人も事件の真相についてはいまだに話してくれない」
「なんで?」
苦い顔をして諒介は
「俺への信頼が足りないのもあるだろうけど、話せないっていうのが俺が加害者は父親だと思っている理由の一つでもある。あと、あの家には日本刀が二振ある」
「日本刀で切られたの!?」
「医師によると暴漢のナイフどころじゃない斬れ味だったらしい。……怖かったろうな」
当時の秋人のことを思い出し言葉が途切れた。
「秋人はそのまま家に?」
「そうだ。うちに来ることも何回か声掛けたりもしたんだけどな。今回もどうにか珠莉で釣れたってくらいで」
「私は餌かよ」
元気なくツッコむ珠莉。
「どうにか大学にも入って東京に出てこれたから家から離れて良かったと思ってたんだが。結局呼び出しがある度あの調子だ」
と諒介たちが感じる違和感を口にする。
「まだ続いてるんだね、虐待。でも見た範囲では傷はなかった。下半身は見れてないけど」
半ば呆れたように
「お前さん、そんなチェック入れてたの?」
「諒介以外の男の人とは距離を取るし、私でも自分から触るのは平気でも触られるのは嫌みたいだし」
「見るとこは見てんだな」
という諒介の言葉にため息ついて
「褒めてる、それ?」
「褒めてるよ」
と優しく珠莉の頭を撫でながら
「秋人のSOSを見逃さないようにしよう」
「そうだね」
そこで珍しく真面目な顔で
「あと秋人の父親の情報収集は俺が手を回しとく。お前さんは動くな」
「どうして?」
「捜査のプロ集団を相手にすることになるからな。お前の存在が父親に伝わると秋人にとって人質を取られることになる」
「そうか……わかった」
今自身に出来ること、それを考えようと心に決めた珠莉だった。
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