【R-18】この探偵、感度良好につき取り扱い注意【完結】

荒野 涼子

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file05. 揉めごと解決_あるSM店の場合

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この探偵、感度良好につき取扱注意
file05. 揉めごと解決_あるSM店の場合

「こんなこともうちの仕事なの!?」
相変わらず珠莉の響き渡る声から始まるこの探偵事務所の仕事だが
「探偵事務所も万屋的な役回りがありましてね。お得意さんの困りごとを解決するのも仕事なのよ」
と諒介は宥めるように言った。

そのお得意さんことSM店の依頼だが、常連客の要求が負担になって困っているということだった。
具体的にはあるM男が「もっと強く」と高圧的に鞭打ちを延々と繰り返し要求。嬢が疲労困憊状態になってしまい、元々ハードプレイの店でもなく当惑していた。
説明を終えて諒介は言う。
「俺も店長からの依頼でしか話は聞けてないし後の聞き取りは現地でだな」

依頼の店では嬢の内でもいわゆる女王様たちが勢揃いして探偵たちを待っていた。それだけ問題は深刻らしい。
「とにかく鞭打ちだけなのよ、求められるのは」
「他のプレイでもあれば一息つけるってもんだけど」
女王様たちが口々に訴える。
「他のプレイは提案したことはないんですか?」
不思議に思って珠莉が尋ねると
「刺青なんて見慣れてるけどあれだけ全身びっしりな人もね」
「いわゆる元反社な人なのよ」
「反応も全然他の客とは違ってて」
「あれよ、自分で鞭打ちする修道僧みたいな?」
「とにかく怖くて切り出せないのが実情」
女王様の話からは総じて強面でプレイへの反応もほとんどないため怖いらしい。
「そうなのね」
嬢たちの話を聞いたうえで諒介が部下の2人を見やる。
「どう思った」
それに応え
「出禁にするつもりはないんですか?」
と珠莉が手を挙げて尋ねる。
「それはまだ考えてないんです。出禁にするにも報復とかないか怖くて」
「それだけ怖いんですね」
「じゃあ、秋人は?」
「変態だけに何か変態なアイディアはないの?」
少々失礼な問いも含み2人に尋ねられた秋人は少し思案してから答える。
「おそらく緩急つけるのが必要かと。それも痛めつける方向にだけ考えるのでなく快楽も与えて、その落差で鞭打ちに対する感度を上げれば強度だけを求められることもなくなるんじゃないでしょうか」
それに対し女王様も
「乳首で感度上げるとかかしら」
「それは試してみる価値はありそうですね」
と諒介がGOを出し珠莉が
「名付けて“北風と太陽作戦”だな」
と意気揚々と宣言したのに対して
「なんか違う……」
と呟く秋人だった。
「作戦としてはいいと思うんだけど誰がするかってなると」
と店長が嬢たちを見渡す。誰も視線を合わせず俯いてしまう。
「やっぱりこういうことになったよ。諒ちゃんお願い」
拝むように手を合わせた店長に
「はいはい。さて強面相手のお仕事担当は?」
「え?あれ?私?」
「飲み込みが良くてよろしい」
「でも私SMの駆け引きなんてよくわからないけど」
「そこはお姉さんがフォローしてくれるよ、ね」
と諒介は女王様たちに投げかける。
「フォローならもちろん。元は私たちが至らないばっかりにごめんなさいね」
「いえ、お願いします」
「じゃ、着替えようか!」
「え?着替えも?まぁこのままお客さんの前には出れないとは思うけど」
戸惑う珠莉に
「大丈夫。スーツの準備はできてるので」
満面の笑顔で店長が言うのに合わせて
「着替え手伝うね」
とフォローの女王様に連れられて珠莉は更衣室に消えていった。
それを眺めながら秋人は
「スムーズが過ぎます。仕込みですか?」
「まさか、仕込んだのはスーツだけだよ。トラブルは本物だから。ただスーツはなかなかいい出来だから期待して。なんとオーダーメイド!」

「じゃーん、どう?」
上下に分かれた2部式の黒のラバースーツに包まれた珠莉が嬢に押し出されるようにして現れた。
ただ片方の手で胸、もう片方の手で股間を隠している。ラバースーツの胸部にはちょうど乳首が見える位置に長方形のポストの開口部のような穴が開いている。下も薄い恥毛が晒け出された穴があり、更には陰部まで切れ込んだジッパーが走っていた。
「なんだ、これはーーー!」
「言いながら着てるじゃん」
「着せられるまでわからなかったの!布面積多いと思って安心してたのにー」
「布面積は多めに注文したよ」
「大事な所隠してないからー!」
カシャ、カシャ
シャッター音が聞こえた。秋人がカメラを構えている。
「あ、手はそのままでもいいですよ。それはそれでそそります」
両手が塞がって殴るに殴れず鬱憤ためたままの珠莉に
「まもなく予約の時間なのでスタンバッテください」
無情にも店長の声がかかる。

「大丈夫、性感的なプレイは私がするから。提案はお願いね」
「お願いします」
緊張を堪え入室する。
件の客は土下座の姿勢で2人を迎えた。
「よろしくお願いします」
と挨拶の後ちらっと上目遣いでこちらを見て珠莉の出立ちに一瞬呆気に取られたがすぐに四つん這いになりこちらに尻を向けてくる。
(これかー)
有無を言わさず鞭打ちの体勢になられる流れだ。
(M男の願望を叶えるのが女王様の務めとはいえ本人も知らない快楽があるはず!)
女王様に相談の中で決めたプレイを思い返す。
(まずは目隠し!)
「さっきは私の恥ずかしい衣装を見たでしょう。お仕置きにまずは目隠しよ」
女王様がすかさず目隠しを付ける。お仕置きと言われたからか予想外に抵抗はない。
「奴隷らしく首輪もね」
同じく首輪も装着し牢屋を模した柵に繋ぐ。
「は、早く尻をぶってくれ」
焦れたように客が言う。確かにどすの利いた声で凄みがある。本当にM男として正しい態度なのかとも言えるほどだ。だが暴力沙汰に慣れた珠莉には効かない。却ってちょっと面白くなってきてしまった。
「あら、お前口が利けるのね。なら四つん這いになってないで立ってそこの柵に掴まりなさい。思い切りぶってあげるから」
ぶってもらえると期待して客も言いなりになる。
そこを珠莉は鞭を振るった。
「くっ」
四つん這いの時とは痛みの逃し方も違うせいか薄く声が漏れる。
(ありゃ、まだまだ弱いか)
「もっと、もっとください!」
力の強弱を変えつつ鞭を数回振るう。そこで女王様を振り返り頷く。女王様も力を得たのか、
「さっきちらっと見たでしょ、こちらのお嬢さんは今乳首と〇〇が丸見えなのよ」
(ひーー、人を引き合いに出すなー)
「あんたの乳首はどうなのかしら」
と声をかけながら客の前に回り込む。今までは四つん這いでよく見えてなかったと言うが、
「なーに?これ、乳首ビンビンじゃないの?」
「赦して下さい!赦して下さい!」
鞭で乳首をピタピタ叩きながら女王様は下半身の盛り上がりにも鞭で撫で回し脚を絡み付けて挟み込む。
「ダメです!そんな!」
腰を引こうとするところを後ろから珠莉が尻に鞭を振るい戻す。そのまま前から女王様の下着越しの素股、後ろから珠莉の鞭責めを続け見事客は絶頂を迎えた。

「あそこまで泣かすとは思わなかった」
プレイ後号泣した後めそめそと話し始めた客によると強面から予想もできないシャイな性格だったらしく自分の求めてるものもわからず闇雲に鞭打ちをオーダーしていたようで女王様がカウンセリングをしていた。
「ありがとうね。あなたなかなかセンスあるんじゃない?」
「いえ、女王様がいてくれなかったら何もできませんでした。ありがとうございます」
「じゃあね、気が向いたら連絡ちょうだい」
「お疲れさまでした」
と職場に戻る女王様に一礼する。
そして店の事務所に戻るとソファに座って待っていた諒介が立ち上がり珠莉に近寄る。にやっと笑いながら自分のジャケットを珠莉に着せて
「おつかれ。スーツ馴染んで忘れてた?」
「……!」
慌ててジャケットの前を押さえて隠す。幸い店長も秋人もおらずホッとしながら
「着替えてくる」
と踵を返したが
「それが着替え預かってた秋人が車に先に行っちゃって」
「えーー!どうすんのこれ!?」
「俺のジャケット丈長いから。車だしそのまま帰るしかないんじゃない?」
「マジか……」

結局そのまま事務所に戻った珠莉だったがそこでラバースーツを脱ごうとしても1人では脱げないという事実に行き当たった。そのまま疲れ果てソファで寝てしまう。

ふと股間に刺激を感じ目覚める。見ると秋人が恥毛を撫でている。珠莉が目覚めたのに気づき
「おはようございます。VIOの脱毛はしてないんですね」
「何普通に会話できると思ってるんだ!」
言いもってガシガシとその顔を蹴りつける。
「こんな破廉恥な格好で寝てるのが悪くないですか?」
「人がどんな格好しようが勝手に手を出すのが悪いんだよ」
「正当です」
神妙に答える秋人。その2人の頭上から
「あれ、まだ着てたの?そのスーツそんなに気に入ってくれた?」
と諒介がひょいと顔をのぞかせる。
「ちげーよ!脱げないの、これ!」
と諸悪の根源に向かって怒鳴る珠莉に
「そうかー、じゃあお手伝いしましょうね」
と悪い笑みを浮かべて上のラバースーツを脱がせ始める。後ろのジッパーを下ろし背中が解放されたと思ったらそれを上に引き上げる。
「やっぱり肘のところで引っ掛かるね」
袖が脱げずに腕が両方一まとめにされた状態になった。
「もうスーツの中で汗滴るだな」
晒される両腋には諒介の言葉通り汗が光ってる。それを躊躇なく諒介が口をつけて舐めとる。
「こら、やめろ、汚い!」
「ほのかな塩気がいい感じ」
「よくない!」
「甘酸っぱい匂いがする。すももみたい?女子高生は桃の香りらしいけど」
恥ずかしくて耳を塞ぎたくても両手が押さえられていてできない。
「もう、やだ…」
舌だけでなく腋を指先でつーっと表面をなぞる動きにもこそばゆさギリギリの気持ち良さがもたらされ身体が跳ね上がる。
「や、んー、あふん、はぁ…」

一方下の方では秋人が珠莉の片足を肩に担ぎジッパーを下ろす。それで陰部まで晒け出されてしまう。
「それでは拝ませていただきます。間近は初めて、興奮しますね」
「…バカ!ボケ!しね!」
と言う珠莉の罵声には頓着せずM字に脚を開脚させる。
「ご開帳~」
「下うるせー!」
諒介の責めに押されながら珠莉が精一杯叫ぶ。
構わず秋人は陰部を押し拡げて
「すごいダラダラ。本当にヒクヒクするんですね、舐めていいですか?」
「まっ、て……」
聞かずに秋人は口をつけ愛液を舐めとった。
「ひゃ、あ、あぁぁっ!」
その声を聞いて諒介が舌舐めずりして秋人に聞く。
「どっちが先に行かせるか勝負する?」
「望むところです」
「ほんと、待っ…て、お願…い」
諒介は手付かずだった胸に着手にかかる。
「ほら見て。何もしてないのにもう乳首勃ってるよ」
そう珠莉の耳元で囁き珠莉はきゅっと目を瞑ったが何の抵抗にもなってなかった。諒介がふっと乳首に息を吹きかける。
「はぁん」
溜息のように声が漏れる。乳房ごと口いっぱいに含むと焦らすようにゆっくりと吸い上げるのを繰り返す。
「ダメ、ダメー、……んんんんあぁぁん!」
腋への責めが効いていたのか珠莉が大きく喘ぎながら上体仰け反らしてイッた。
「俺の勝ちだな」
勝利宣言する諒介に不満気に秋人は
「なんでわかるんです?」
「経験の差かな。で、そこで終わっていいの?」
「良くないです」
「ま、待って、もうイッテる、イッテる、から…うぅん」
とろんとしつつ必死な声の珠莉も甘い声になってる。
「中はダメだからクリイキさせてやって」
「了解です。珠莉さん、こっちのクリもぶっくり勃ってますよ!」
と舌先を丸めてつつく。
「あぅ、うううん」
「ここが気持ちいいんですね」
言って舌で重点的に責め始める。その動きに合わせ珠莉の身体がうねる。
「あぁん、ああ、あ゙あ゙あ゙ーーー!」
そして突如細かい痙攣に変わったのを2人は感じた。
「あらま、また可愛くなっちゃって」
と珠莉の唇から溢れる涎を指で拭き取って諒介は独りごちる。
「こうやって珠莉先輩のことエロくしちゃってるんですね」
「秋人君、お前さんも言えた義理じゃないでしょ」
「何のことでしょう?」

しばらくして横になったまま
「……お腹痛い」
と下腹部をさすりながら珠莉が呟く。
「あら、イカせ過ぎたか」
「なに、それ?」
だるそうに尋ねる珠莉に
「オーガズムなんちゃら症候群だっけ?子宮の収縮とかでなるみたいよ。これまでまだ軽くしかイったことなかったろ。最後までやったことないし。深くイクのとは全然違うから」
「そうなるとどうなっちゃうの?」
少し怯えて聞く珠莉に諒介は諭すように
「怖いだろ?だからそういうことは本気で好きになった人としなさい」
と答えるが
「じゃあ所長がいつも手を出してくるのは何なの?」
と珠莉が反撃する。
「俺のは単なるちょいエロなスキンシップ」
飄々と答える諒介を睨んでから
「本気で好きな人とかー。恋愛ってよくわからない」
と呟く珠莉。
(全く幾つになっても子どもか)
と嘆息しながら
「仕方ないなー、とりあえず脱ごうか」
とドレッシングエイドを取り出す諒介。スーツと肌に馴染ませながら脱がせていく。
「こんな便利なものが!」
驚嘆する珠莉に
「着る時はスーツに馴染ませてたんだよ」と説明しながら秋人と2人で手伝い脱がし終わる。
「べたべたする……」
ふと2人の視線に気づく珠莉。自分が真っ裸なのを自覚して鳥肌を立てて慌てる。手近の諒介のジャケットを体に当てた。それも間に合わず秋人が写真を撮っている。
「……!」
珠莉がローキックを放ち秋人が膝をついたところでカメラを奪い取る。
「これは削除!」
と該当の画像を削除し胸を撫で下ろすが
(珠莉様、クラウドに残ってます)
といった秋人の心中は知らず、そのまま珠莉はジャケットを当て3階に走り去った。
「あれが前隠して尻隠さずだよ。秋人君」
「ほんと可愛いですね」

何気なくふらっと立ち上がり秋人は
「じゃちょっとトイレ」
慌てて諒介が追い縋るが無情にも目の前でドアは閉まる。
「お前狡いぞ。代われ!」
ドアを叩きながら諒介が要求するが
「すみません。僕最近便秘なんで時間かかるかも」
「ちっ、ほんとにそっちか?生殺しだ」
「所長のそっちはシャワールームでいいんじゃないんですか」
「わかったよ!わかった。覚えとけよ!」
と吠えて諒介はシャワールームに向かった。

それぞれにさっぱりした2人はソファセットに向かい合って座りながら
「そう言えば秋人は珠莉とイタしたいとは思ってないの?今日はお宝目の前にして」
「珠莉先輩は僕にとって菩薩様のようなものです。崇拝対象を犯すような真似はできません」
「崇拝かー」
「処女であってこそ珠莉先輩は輝くというか」
「確かにな」
諒介は薄く笑って応える。
「所長は珠莉先輩のこと女として見てますか?」
秋人の切り出した問いに苦笑いして
「そりゃ見てますよ。なに?保護者してたから娘みたいに思ってるとか?それはないよ。あったらあんなことしないでしょうが」
「僕から見たら先輩は所長に好意があるかと」
それには宙を仰ぎ嘆息して
「あれは好意なんて生易しいものじゃなくて依存なんだよ。俺はそれに付け込んでるだけ」
「自覚はあるんですね」
「ソウデスネ」
そう嘯いた後
「ただ本人がその気になるまでは珠莉には処女でいて欲しいというか。気持ち悪いオジサンとしてはそう思うな」
少し寂しげに諒介は言った
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