46 / 58
一章 紫碧のひととせ
愛の形
しおりを挟む
「あ、君は、この間の……」
「ノアか」
「はい、こんにちは!」
場所は変わらず、教会の前庭。
すっかりお喋りに興じていた尾行班は、昼休憩の為外に出てきた教会職員─ノアに捕捉されていた。
彼はこの間、リーリエへの恋心を大変綿密に綴った恋文をマヨイガに持ち込んできた警戒対象でもある。
すっかり職務を放棄していた探偵達は、気まずそうに顔を見合わせ、どうにかノアを誤魔化すことに決めた。
「今日はおやすみなんだよ~。せっかくだし、たまにはヴォルガに外に出てもらおうと思ってね」
「はぁ~、それでシルビオ義兄さんもここに……」
「今なんて言った??」
聞き捨てならない呼称に目を光らせるシルビオ。
ノアはにこにこと笑って受け流す。
「ヴォルガさんも前よりお元気そうで何よりです!怪我は良くなりましたか?」
「あぁ、ありがとう。だいぶ目立たなくなってきたよ」
ヴォルガはそう言い、腕を覆うコートの袖を僅かに捲る。
手枷の痕や痛々しかった青あざはすっかり薄くなり、包帯の数も減っている。
はにかむように微笑むヴォルガを見て、ノアは心の底からほっとしたような顔をした。
「良かったです!同教の仲間が幸福になってくれることが、僕達の喜びですから」
そう言って笑顔を浮かべるノアは、どこから見ても完璧な聖職者に見える。
ふと信者から声が掛かってノアがそちらに挨拶をしようと振り返った隙に、ヴォルガはひそひそとシルビオに耳打ちした。
「何か……今少し、様子おかしくなかったか?」
「あー、そっか、言ってなかったっけ」
シルビオは苦笑を浮かべ、昨日伝えた情報の補足をする。
「リーちゃんに変な手紙渡そうとしたのが、このノア君なんだよね」
「………………え?」
本気できょとんとした顔をするヴォルガ。
しばらく黙り込んでから、驚いたように目を見開き、叫びかけたのか慌てて口を手で覆った。
「っ……嘘だろ、ノアだったのか!?だから、わざわざ教会で待機なんてことしてたのか……」
「あ、そこから?」
「だって、まさか教会の人とは思ってなくて……しかも、ノアはかなり真面目で他人想いだし、リーリエとの距離感も普通に見えたから……」
相当意外だったらしく、かなり狼狽えているヴォルガ。
そして、ヴォルガの動揺が落ち着く前にノアはこちらへ戻ってきてしまった。
「すみません、お待たせしました!……あれ、どうしました?すごい顔してますよ、ヴォルガさん」
「い、いや、大丈夫、何でもない」
不思議そうに首を傾げるノアから目を逸らしつつ誤魔化そうとするヴォルガだが、隣で愛想笑いをしているシルビオに視線を向けたノアは、ふとシルビオの方にゆっくりと歩み寄ってきた。
「……シルビオ義兄さん」
「義兄ではないけど何でしょうか」
「ヴォルガさんに話しました?」
「……」
笑顔なのが逆に怖い。
シルビオもにこっと笑って誤魔化すが、ノアは満面の笑みを浮かべて懐から何かを取り出した。
黄金色の宝石が嵌められた魔法発動用のステッキである。
「分かりました、ならば決闘だ!!」
「何でそうなるのぉ?!」
ジリジリと詰め寄ってくるノアに絶叫するシルビオ。
先程までの穏やかな様子はどこへやら、ノアは目をギラギラと輝かせてステッキを構える。
「言ったじゃないですか、ヴォルガさんはライバル……いや、因縁の宿敵だって!!何で洗いざらい話しちゃうんですかぁ!!!」
「絶対そこまで言ってなかったよね!?」
反射的にヴォルガを庇いつつ自身も警戒態勢を取るシルビオ。
ヴォルガは困惑を隠しきれない表情でノアを見つめている。
「因縁の宿敵って……そんなに俺のこと嫌ってたのか?」
「え、い、いや、嫌ってるわけじゃなくて!むしろその逆だから困ってるというか……」
少し悲しそうなアクアマリンの瞳に見つめられ、あからさまに狼狽えるノア。
シルビオの前では割とはっちゃけていたノアだが、いざヴォルガを目の前にすると弱いらしい。
一瞬理性が戻ったように見えたものの、もう後に引けなくなっているのか、彼はステッキを構えたまま更に二人に近付いていく。
緊迫しているようでどこか気の抜けた、奇妙な沈黙が場を支配した、その時だった。
「な~にしてるのかな~?」
「っ?!」
背後から、救世主の声がした。
慌てて振り向くノアに釣られてシルビオとヴォルガも顔を上げる。
そこには、いつの間にか仕事着の白と黄を基調としたローブを身に纏ったリーリエが立っていた。
少々ご立腹なようで、いつもにこやかな顔はむっと不機嫌そうに歪んでいる。
「シルビオ!ヴォルちゃんまで連れてきて、何遊んでるのぉ!?今お仕事中なんだけど!」
「ち、違うんだよ~、俺何もしてないんだって!」
情けない困り顔で弁明するシルビオ。
この場面で一番物騒なのは武器を構えているノアなのだが、シルビオが名指しされたのは日頃の行いの賜物だろう。
しかし、リーリエの登場によってノアはすっかり戦意を失ったようだった。
慌てて武器をしまい、おろおろと話しかける。
「あ、リ、リーリエ……違うんだ、お二人は悪くなくて……」
「えっ、違うの?」
ノアの発言にきょとんと首を傾げるリーリエ。
「ノアが武器まで取り出すなんて、よっぽど何かやらかしたのかと思ったよぉ」
「う、うぅ……」
ようやく冷静になれたのか、ノアの顔が赤くなっていく。
ちょっと頭のネジが外れている節はあるが、リーリエに良いところを見せるために嘘をついたりはしない誠実さはある。
とはいえ、そうなるとリーリエを誤魔化す手段が無くなってしまうのも事実だ。
「何かあったの?」
無垢な目でノアを見つめるリーリエ。
ノアは視線を彷徨わせ、俯く。
長い沈黙の後、彼は意を決した様子で顔を上げ、リーリエに向き直った。
「じ、実は。リーリエに、話したいことが、あって……」
「えっ、私?」
空気が変わった。
混沌とした現状で何かが吹っ切れたのか、ノアはここで告白を実行するつもりらしい。
「……ちょっと引いてよっか?」
「あ、ああ……」
こういう時は気が利くシルビオと不安げに二人を見守るヴォルガは、静かに二人から距離を置き、様子を眺めることにした。
ノアは、ぎゅっとペンダントの剣を握りしめ、真剣な眼差しでリーリエを射抜く。
「僕……ずっと、焦ってたんだ。ヴォルガさんがここに来てから、ずっと……リーリエが、他の人に取られちゃうんじゃないかって」
「……」
鈍感なリーリエも、ここまで来ると流石に察しがついたようだ。
真っ直ぐ彼を見つめ返し、言葉を待つ。
ノアはこくりと小さく喉を鳴らし、意を決して懐から封筒を取り出して彼女に手渡した。
「だから、伝えておきたくて。僕は、あなたが好きです。ずっと、好きでした」
「……!」
リーリエは目を見開き、おずおずと封筒を受け取る。
「開けても……いい?」
「うん」
微笑むノアに促され、リーリエはゆっくりと封筒を開け、便箋を取り出した。
そこには、昨日と同じ、もしくはそれ以上の密度でびっしりと書かれた文字のような何かが記されていた。
背後から覗き見たシルビオとヴォルガは、思わず顔を見合わせる。
「……パワーアップしてないか?」
「切り刻んでから一日しか経ってないんだけど……!」
仲が良いと思っていた同僚からこんな怪文書が送られたら、さしものリーリエも少なからず動揺するだろう。
そう思いハラハラと二人を見守るシルビオとヴォルガだったが……
「…………うん、ありがとう。すごく素敵……私のこと、本当に好きなんだね」
……リーリエが返したのは、優しい言葉と穏やかな笑顔だった。
ノアは目を見開き、頬を赤らめる。
「あ、え、えっと……どう、だったかな……?」
「ふふっ、良い詩だよぉ。私のいいところをこんなに見てくれた人は、ノアが初めてだと思う」
それは、嘘偽りのない本心からの言葉だった。
リーリエは手紙を大切そうに懐へ仕舞い、柔らかな笑顔を浮かべた。
「ノアは、確かにちょっと前のめり気味というか、物事に一直線すぎて前が見えてない時はあるし、人に迷惑かけるのは良くないと思うんだけど……」
「うぐっ……ご、ごめんなさい……」
的確すぎる指摘に心臓を押さえるノア。
付き合いの長いリーリエは、彼の危うさをしっかり理解していた。
それでも、彼女は笑う。
「……でも、ノアの愛の形は、とても素敵だと思うの。だから、私のことを好きになってくれて、嬉しい。ありがとう」
「っ……!!」
それは、一途な少年の長い片想いが報われた瞬間だった。
彼はくしゃりと顔を歪ませ、泣きそうな顔で笑う。
「こちらこそ……ありがとう、リーリエ。だから、僕は君が好きなんだ」
穏やかな春の風が、向かい合う二人の頬を優しく撫でる。
シルビオとヴォルガは、意外な決着の形に目を見張りつつも、新たな恋の実りを微笑みながら祝福し──
「じゃあ、これから、お付き合いをさせてもらっても……」
「あ、それは大丈夫、ごめんなさい」
「………………ええええええええええええっ?!」
──笑顔でばっさりと開きかけた蕾ごと切断するリーリエの振りっぷりに、戦慄するのであった。
「ノアか」
「はい、こんにちは!」
場所は変わらず、教会の前庭。
すっかりお喋りに興じていた尾行班は、昼休憩の為外に出てきた教会職員─ノアに捕捉されていた。
彼はこの間、リーリエへの恋心を大変綿密に綴った恋文をマヨイガに持ち込んできた警戒対象でもある。
すっかり職務を放棄していた探偵達は、気まずそうに顔を見合わせ、どうにかノアを誤魔化すことに決めた。
「今日はおやすみなんだよ~。せっかくだし、たまにはヴォルガに外に出てもらおうと思ってね」
「はぁ~、それでシルビオ義兄さんもここに……」
「今なんて言った??」
聞き捨てならない呼称に目を光らせるシルビオ。
ノアはにこにこと笑って受け流す。
「ヴォルガさんも前よりお元気そうで何よりです!怪我は良くなりましたか?」
「あぁ、ありがとう。だいぶ目立たなくなってきたよ」
ヴォルガはそう言い、腕を覆うコートの袖を僅かに捲る。
手枷の痕や痛々しかった青あざはすっかり薄くなり、包帯の数も減っている。
はにかむように微笑むヴォルガを見て、ノアは心の底からほっとしたような顔をした。
「良かったです!同教の仲間が幸福になってくれることが、僕達の喜びですから」
そう言って笑顔を浮かべるノアは、どこから見ても完璧な聖職者に見える。
ふと信者から声が掛かってノアがそちらに挨拶をしようと振り返った隙に、ヴォルガはひそひそとシルビオに耳打ちした。
「何か……今少し、様子おかしくなかったか?」
「あー、そっか、言ってなかったっけ」
シルビオは苦笑を浮かべ、昨日伝えた情報の補足をする。
「リーちゃんに変な手紙渡そうとしたのが、このノア君なんだよね」
「………………え?」
本気できょとんとした顔をするヴォルガ。
しばらく黙り込んでから、驚いたように目を見開き、叫びかけたのか慌てて口を手で覆った。
「っ……嘘だろ、ノアだったのか!?だから、わざわざ教会で待機なんてことしてたのか……」
「あ、そこから?」
「だって、まさか教会の人とは思ってなくて……しかも、ノアはかなり真面目で他人想いだし、リーリエとの距離感も普通に見えたから……」
相当意外だったらしく、かなり狼狽えているヴォルガ。
そして、ヴォルガの動揺が落ち着く前にノアはこちらへ戻ってきてしまった。
「すみません、お待たせしました!……あれ、どうしました?すごい顔してますよ、ヴォルガさん」
「い、いや、大丈夫、何でもない」
不思議そうに首を傾げるノアから目を逸らしつつ誤魔化そうとするヴォルガだが、隣で愛想笑いをしているシルビオに視線を向けたノアは、ふとシルビオの方にゆっくりと歩み寄ってきた。
「……シルビオ義兄さん」
「義兄ではないけど何でしょうか」
「ヴォルガさんに話しました?」
「……」
笑顔なのが逆に怖い。
シルビオもにこっと笑って誤魔化すが、ノアは満面の笑みを浮かべて懐から何かを取り出した。
黄金色の宝石が嵌められた魔法発動用のステッキである。
「分かりました、ならば決闘だ!!」
「何でそうなるのぉ?!」
ジリジリと詰め寄ってくるノアに絶叫するシルビオ。
先程までの穏やかな様子はどこへやら、ノアは目をギラギラと輝かせてステッキを構える。
「言ったじゃないですか、ヴォルガさんはライバル……いや、因縁の宿敵だって!!何で洗いざらい話しちゃうんですかぁ!!!」
「絶対そこまで言ってなかったよね!?」
反射的にヴォルガを庇いつつ自身も警戒態勢を取るシルビオ。
ヴォルガは困惑を隠しきれない表情でノアを見つめている。
「因縁の宿敵って……そんなに俺のこと嫌ってたのか?」
「え、い、いや、嫌ってるわけじゃなくて!むしろその逆だから困ってるというか……」
少し悲しそうなアクアマリンの瞳に見つめられ、あからさまに狼狽えるノア。
シルビオの前では割とはっちゃけていたノアだが、いざヴォルガを目の前にすると弱いらしい。
一瞬理性が戻ったように見えたものの、もう後に引けなくなっているのか、彼はステッキを構えたまま更に二人に近付いていく。
緊迫しているようでどこか気の抜けた、奇妙な沈黙が場を支配した、その時だった。
「な~にしてるのかな~?」
「っ?!」
背後から、救世主の声がした。
慌てて振り向くノアに釣られてシルビオとヴォルガも顔を上げる。
そこには、いつの間にか仕事着の白と黄を基調としたローブを身に纏ったリーリエが立っていた。
少々ご立腹なようで、いつもにこやかな顔はむっと不機嫌そうに歪んでいる。
「シルビオ!ヴォルちゃんまで連れてきて、何遊んでるのぉ!?今お仕事中なんだけど!」
「ち、違うんだよ~、俺何もしてないんだって!」
情けない困り顔で弁明するシルビオ。
この場面で一番物騒なのは武器を構えているノアなのだが、シルビオが名指しされたのは日頃の行いの賜物だろう。
しかし、リーリエの登場によってノアはすっかり戦意を失ったようだった。
慌てて武器をしまい、おろおろと話しかける。
「あ、リ、リーリエ……違うんだ、お二人は悪くなくて……」
「えっ、違うの?」
ノアの発言にきょとんと首を傾げるリーリエ。
「ノアが武器まで取り出すなんて、よっぽど何かやらかしたのかと思ったよぉ」
「う、うぅ……」
ようやく冷静になれたのか、ノアの顔が赤くなっていく。
ちょっと頭のネジが外れている節はあるが、リーリエに良いところを見せるために嘘をついたりはしない誠実さはある。
とはいえ、そうなるとリーリエを誤魔化す手段が無くなってしまうのも事実だ。
「何かあったの?」
無垢な目でノアを見つめるリーリエ。
ノアは視線を彷徨わせ、俯く。
長い沈黙の後、彼は意を決した様子で顔を上げ、リーリエに向き直った。
「じ、実は。リーリエに、話したいことが、あって……」
「えっ、私?」
空気が変わった。
混沌とした現状で何かが吹っ切れたのか、ノアはここで告白を実行するつもりらしい。
「……ちょっと引いてよっか?」
「あ、ああ……」
こういう時は気が利くシルビオと不安げに二人を見守るヴォルガは、静かに二人から距離を置き、様子を眺めることにした。
ノアは、ぎゅっとペンダントの剣を握りしめ、真剣な眼差しでリーリエを射抜く。
「僕……ずっと、焦ってたんだ。ヴォルガさんがここに来てから、ずっと……リーリエが、他の人に取られちゃうんじゃないかって」
「……」
鈍感なリーリエも、ここまで来ると流石に察しがついたようだ。
真っ直ぐ彼を見つめ返し、言葉を待つ。
ノアはこくりと小さく喉を鳴らし、意を決して懐から封筒を取り出して彼女に手渡した。
「だから、伝えておきたくて。僕は、あなたが好きです。ずっと、好きでした」
「……!」
リーリエは目を見開き、おずおずと封筒を受け取る。
「開けても……いい?」
「うん」
微笑むノアに促され、リーリエはゆっくりと封筒を開け、便箋を取り出した。
そこには、昨日と同じ、もしくはそれ以上の密度でびっしりと書かれた文字のような何かが記されていた。
背後から覗き見たシルビオとヴォルガは、思わず顔を見合わせる。
「……パワーアップしてないか?」
「切り刻んでから一日しか経ってないんだけど……!」
仲が良いと思っていた同僚からこんな怪文書が送られたら、さしものリーリエも少なからず動揺するだろう。
そう思いハラハラと二人を見守るシルビオとヴォルガだったが……
「…………うん、ありがとう。すごく素敵……私のこと、本当に好きなんだね」
……リーリエが返したのは、優しい言葉と穏やかな笑顔だった。
ノアは目を見開き、頬を赤らめる。
「あ、え、えっと……どう、だったかな……?」
「ふふっ、良い詩だよぉ。私のいいところをこんなに見てくれた人は、ノアが初めてだと思う」
それは、嘘偽りのない本心からの言葉だった。
リーリエは手紙を大切そうに懐へ仕舞い、柔らかな笑顔を浮かべた。
「ノアは、確かにちょっと前のめり気味というか、物事に一直線すぎて前が見えてない時はあるし、人に迷惑かけるのは良くないと思うんだけど……」
「うぐっ……ご、ごめんなさい……」
的確すぎる指摘に心臓を押さえるノア。
付き合いの長いリーリエは、彼の危うさをしっかり理解していた。
それでも、彼女は笑う。
「……でも、ノアの愛の形は、とても素敵だと思うの。だから、私のことを好きになってくれて、嬉しい。ありがとう」
「っ……!!」
それは、一途な少年の長い片想いが報われた瞬間だった。
彼はくしゃりと顔を歪ませ、泣きそうな顔で笑う。
「こちらこそ……ありがとう、リーリエ。だから、僕は君が好きなんだ」
穏やかな春の風が、向かい合う二人の頬を優しく撫でる。
シルビオとヴォルガは、意外な決着の形に目を見張りつつも、新たな恋の実りを微笑みながら祝福し──
「じゃあ、これから、お付き合いをさせてもらっても……」
「あ、それは大丈夫、ごめんなさい」
「………………ええええええええええええっ?!」
──笑顔でばっさりと開きかけた蕾ごと切断するリーリエの振りっぷりに、戦慄するのであった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
天上の果実
曙なつき
BL
大きな果実の実が頭に当たったことにより、記憶を失った婚約者のルシス。
目を覚ました彼に、私はこう言った。
「愛しい人。あなたと私は愛し合っていました。来年には式を挙げる予定なのですよ」
それは少しの真実と多くの嘘を織り交ぜた言葉だった。
ルシスは私を嫌い、厭うていた。
記憶を無くした少年と、彼を囲いこむ王子の物語です。
※なお、ルシスの兄と弟の物語も併せて掲載します。完結まで予約済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【BL】記憶のカケラ
樺純
BL
あらすじ
とある事故により記憶の一部を失ってしまったキイチ。キイチはその事故以来、海辺である男性の後ろ姿を追いかける夢を毎日見るようになり、その男性の顔が見えそうになるといつもその夢から覚めるため、その相手が誰なのか気になりはじめる。
そんなキイチはいつからか惹かれている幼なじみのタカラの家に転がり込み、居候生活を送っているがタカラと幼なじみという関係を壊すのが怖くて告白出来ずにいた。そんな時、毎日見る夢に出てくるあの後ろ姿を街中で見つける。キイチはその人と会えば何故、あの夢を毎日見るのかその理由が分かるかもしれないとその後ろ姿に夢中になるが、結果としてそのキイチのその行動がタカラの心を締め付け過去の傷痕を抉る事となる。
キイチが忘れてしまった記憶とは?
タカラの抱える過去の傷痕とは?
散らばった記憶のカケラが1つになった時…真実が明かされる。
キイチ(男)
中二の時に事故に遭い記憶の一部を失う。幼なじみであり片想いの相手であるタカラの家に居候している。同じ男であることや幼なじみという関係を壊すのが怖く、タカラに告白出来ずにいるがタカラには過保護で尽くしている。
タカラ(男)
過去の出来事が忘れられないままキイチを自分の家に居候させている。タカラの心には過去の出来事により出来てしまった傷痕があり、その傷痕を癒すことができないまま自分の想いに蓋をしキイチと暮らしている。
ノイル(男)
キイチとタカラの幼なじみ。幼なじみ、男女7人組の年長者として2人を落ち着いた目で見守っている。キイチの働くカフェのオーナーでもあり、良き助言者でもあり、ノイルの行動により2人に大きな変化が訪れるキッカケとなる。
ミズキ(男)
幼なじみ7人組の1人でもありタカラの親友でもある。タカラと同じ職場に勤めていて会社ではタカラの執事くんと呼ばれるほどタカラに甘いが、恋人であるヒノハが1番大切なのでここぞと言う時は恋人を優先する。
ユウリ(女)
幼なじみ7人組の1人。ノイルの経営するカフェで一緒に働いていてノイルの彼女。
ヒノハ(女)
幼なじみ7人組の1人。ミズキの彼女。ミズキのことが大好きで冗談半分でタカラにライバル心を抱いてるというネタで場を和ませる。
リヒト(男)
幼なじみ7人組の1人。冷静な目で幼なじみ達が恋人になっていく様子を見守ってきた。
謎の男性
街でキイチが見かけた毎日夢に出てくる後ろ姿にそっくりな男。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる