俺様ヤクザと空手女子

5話 宣戦布告なんて！いらない！

また拉致されたかと思うと
ついたのはど、動物園？！

「お前はここにいろ」
「へい」

運転手の人にそう言うと、
動物園の地図を確認しながら歩いていく

「あ、あの！今度はなんですか！」
「ここはな、聞いて驚け！
    なんとうさちゃんのふれあいコーナーがある動物園なんだぞ」

そう、このヤクザ羽飼咲（うかいさき）は柄にも合わずうさぎ好きなヤクザです
わたしがはぁとため息をつく暇もなく

「行くぞ」

と私の手をとり進んでいく、、
内心、手！手！と思っていると

「ついたぞ！！！」

そこには『ふれあいコーナー』とかかれ
可愛いたくさんのうさぎと
可愛い子供達、、、、、
こんなとこに入ったらこの人通報されるんじゃ！

「ううう、うさぎさん！ここはまずいです！ビジュアル的に！」

堂々と入ろうとしてるうさぎさんを
止めようとすると

「あら、羽飼さん。またきたのね」

多分ここの園長の人だろう
とても親しみやすそうなおばあさん

「おう、うさぎを触りにきた」
「本当にうさぎが好きなのね
    そちらはお連れの方？」

あまりにも普通に接しているのにびっくりしていたので自己紹介が遅れてしまった

「えっと、私は」
「俺の恋人だ」
「違います」

すかさず訂正する
このヤクザ、こんなとこで私の自己紹介偽ってんじゃないわよ！

「仲良しなのね、ゆっくりしていって」

くすくすっと笑うと園長らしき人は去っていった
もふもふのうさぎ、、、可愛い
うさぎと戯れながら会話を交わす

「よく来るんですね」
「まあな、他の動物園では追い出されるけど、ここだけは違ったんだ」
「いい人そうですもんね、園長さん？」
「ああ」

うさぎをもふもふしてるヤクザ
ギャップの塊、、、
など思っていると
急にあっ！と何かを思い出したように
こっちに向き直り言った

「お前！さっきなんで訂正した！」
「え？」
「こ！い！び！と！凄まじい速さだったぞ！」
「あぁ、だって私拉致られただけですもん」
「ん、、ん～」

確かに、とぼそっとつぶやいて

「よし！今日は帰るぞ！」
「え、私まだもふもふしたいです！」
「いや！今日は帰る！」

そのまま強引に車に乗せられ
急にどうしたんだろ、、
恋人って訂正したのがダメだったのかな
でも本当のことだし、、、
そんなことを考えてるうちに学校の近くまでつき

「ここで大丈夫です」

と車を降りて帰ろうとすると

「ま、まてっ！」
「なんですか？」
「今日の恋人のやつ、、、」

あ、まさか謝ってくれるのか？
勝手に言ったのあっちだし、

「悪かった」

その言葉に少し感動を覚えた矢先

「でも！ぜっっったい！お前から
    『恋人です』って言わせてやる！
    これは！宣戦布告だ！」

車の窓を開けながらそう言うと
思いっきりえりを掴み引き寄せられる

「えっ」

反応が遅れた
いや、認識するのに時間がかかった
なぜかって、急に物が近づいたら誰だってわからなくなる
うさぎさんの顔が近く、いや唇がくっついていた
赤くなりながら遠ざかる

「ななななな、何するんですか！」
「言ったろ？宣戦布告♪」

私の赤い顔を見てニヤニヤするうさぎさん
じゃ、またなと帰っていく中
まだ固まっている私、、、

学校では狼王子と呼ばれる私
名前が『狼』に『谷』で
『かみたに』なのもあるだろう
でも、男子への免疫はゼロに等しい

しょうがないじゃん！！！！！