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隣人と食事情
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「お婆ちゃんごちそうさま!」
「おいしかった!」
焼いたパンとゆで卵でここまで喜んでくれると涙が出ちゃう。
だって歳のせいで涙腺が緩んでるんだもん――ということはなかった。
見た目は老婆、中身は三十路のままだ。
「お父さんも一緒に朝ご飯食べるって
すごく久しぶりだったね」
そう。涙を流すポイントがあるとすればそこだ。
昨日は夕飯を共にしなかったヘイスが、今朝はちゃんと双子と食事を共にしたのだ。
これが成長と言わずなんと言うだろう。
気まぐれ、たまたま、お腹が減っていたのどれかであろう。
「婆ちゃん今日はどうすんの?」
「またお花やクローバー探す?」
昨日のメル勘違い誘拐未遂事件があったばかりで双子と別行動をするのは少しばかり気が引ける。
《ディブル》に住んでるわけだし街には詳しいはず…であればーー!
「今日は2人に街を案内してほしいんだ
この街に昨日来たばかりで
どこに何があるかわからないから」
そう言えば二人は笑顔で頷いた。
なんだか魔核と食事で餌付けした感半端ない対応だ。
このままじゃダメだろう。私は赤の他人の婆さんだぞ?
命の恩人というには大袈裟だから、たまたま居合わせ、たまたまメルの玉を殴ってしまった程度の偶然級の出会いをした婆さんですよ。
爺さん婆さんは無条件で良い人じゃないんだぞ?
ボケれば攻撃的にもなるし、ボケてなくても小さい子を殴ったりする老人もいる。
ちゃんと危機感を持たせなきゃ…。
本来そういうのは親が教えるものなのだろうが、ヘイスにはミール皿の作成と新しい武器を作るという仕事がある。
ここはビジネスパートナー・ヘイスの代わりに面倒だけど私がやるとしよう。
「お婆ちゃん行こう行こう!」
両手に双子を侍らせ、いざ街へ!
――いや、侍らせたらダメだろ赤の他人の婆さんとして……。
◇
ポムニット鍛冶屋を出たと同時にお向かいの家の扉が開いた。
出てきた女性は30代前半といった感じのそこそこ顔の整った清楚感は…お風呂事情によりお察しの人だ。
私と同い年くらいだろうか?
そんなことを考えていると女性はこちらに気づいたようだ。
双子には愛想良く挨拶をしたものの、今まで見たことのない私の存在に首を傾げていた。
顔に“警戒してます”と書かれているかのようにわかりやすい表情の変わりように私はこれだよこれと頷く。
「おはようバニーサさん」
「おはよ!」
双子が礼儀正しく挨拶をするとお向かいのバニーサンは私をジロジロ見るも双子に視線を戻した。
こんな露骨に態度を顔に出しているようじゃまだまだ青いな。
これじゃ黙ってても”アンタのこと嫌いよ“って言ってるようなものだ。
接客業ではあるまじき表情であることはたしかだ。
「(この人、アキラのこと相当嫌ってる感じするけど何かしたの?)」
「(私が何かした現場を目撃した記憶が
フィルギャにあるならしたんじゃない?)」
「(記憶なし!)」
当たり前だろう。
昨日のうちに人に嫌がらせして嫌われる行いをできた時間がどこにあったというんだ。
商業ギルドに登録して教会に素材集めに行ってメルと双子と出会い、鍛冶屋にやって来て衣食住確保からのレジンアクセ作って教会に戻ってお供えして帰ってご飯作りだぞ?
私の記憶の中にこのバニーサンに会ったことも嫌がらせをしたという事実は存在しないのだよ。
いやーそれにしても覚えやすい名前で助かるよ。
メルクリスマスなんて長い名前じゃないし。
やはり長い名前と横文字は日本人にはダメだって。
「おはようシオンにリオン
ヘイスさんは今日も仕事?
あとでいつも通りお昼ご飯届けるわね」
「いつもありがとうございます!」
……ピーンときた。察しの悪い私でもピーンと頭上で電球が光った。
「(ヘイスさんに気があるんだねこの人)」
「(まあ、この人に限らずヘイスはモテるだろうよ
二児の父親に見えないからね
しかも鍛冶屋としての腕だって戻ればきっとピカイチだよ)」
工房にあった品々は素人目にもこいつはスゲェ!と思わせるものがあった。
しかし周りの酷評で品物は売れずあそこで埃被ったままなんだろうと思うと何故か悔しいな。
私にお金があればどれか1つくらいはビジネスパートナー価格で購入したかったのに…。
「(でもすごいヘイスさんに入れ込んでる感あるよね)」
奥さん亡き今後妻の座を!みたいな感じなのだろうか。それとも下心ない善意なる支援活動なのだろうか。
前者に一票!物価高騰中の《ディブル》でそんな支援活動できるわけがない。
失礼だが、この人の身なりを見ても裕福とは思えない。
振り返りもしない男のためによくやるなと笑ってしまう。
「(先行投資的な支援活動なのかな?)」
「(ただの一方的な貢ぎ活動でしょう)」
「(ああ!押し勝つってやつだね!)」
イントネーションは大事だね。
バニーサンはもっと押していかないとヘイスに押し負けちゃうよ。
あれは絶対後妻を迎えるタイプではないからな。
告白してもごめんなさい。良い友達、ご近所さんでいましょう確定だよ。
「……ところでその人は誰だい?
リディさんの母親かい?」
相当怪しんでいたのだろうか、話はヘイスから私に飛んできた。
ここはフランクに接するか?
それとも陰気臭い婆さんを演じるか?
大穴狙いで愛想悪い態度返ししてやろうか?
「アキラおばあちゃんだよ
昨日この街に来たばかりで僕たちの恩人!」
何故か両腕にしがみつく双子。正直腕痛いし歩きにくいから離れて欲しい感がある。
「俺たち急いでるからバニーサさんまたねー」
ご近所さんであるにも関わらず二人の塩対応に見えなくもない行動…これ如何に?
急かされるように歩かされながらもしっかり周囲に目を向けることは忘れない。小さな赤煉瓦の鍛冶屋がポムニット家。向かいの中位の赤煉瓦の家がバニーサンの家。
少し進んでいくと見慣れた道と建物が見えてくる。
そう。見慣れた建物は商業ギルドと冒険者ギルド。
そしてロットンが教えてくれた向こうの道を行くとドリュアスちゃんの像が祀られてる廃れた教会に辿り着くわけだ。
ここまではこれからお世話になるであろうから覚えた道と建物だ。
ここから深掘りして大浴場の場所や少しでも安値の店の発見と探索にあたりたい!
「ごめん!ばあちゃん!」
「腕、痛くなかった?」
ここまで来てやっと双子は歩みを止め私の方に振り返った。
なんとも言い難い表情に“どうしたの?”と聞きたくなるだろう…普通の心優しい人ならーー。
「大丈夫だよ……。
で、案内はこの地図を見ながら
説明するってことかな?」
生憎私は面倒なことや込み入った事情、人様の恋愛や泥沼修羅場に興味はない。
それは当人たちの問題なんだから第三者が口を挟んで割り込むなんて何様だと言いたくなる。
第三者が加入するから話がこじれたり話が変な方向にいって勘違いや誤解が生じるんだ。
ドラマや漫画でそういうお決まりものを見ている人ならそれくらいお察し把握案件だろう。
だからこそ当事者以外は口を挟むなと言うんだ。
野次馬根性?
そんな根性つけるくらいなら負け犬根性を叩き直せと言いたい。
ダイエットが長続きしない意思の弱さ叩き直せと言いたい。
なんか話が脱線したと言おう。
「うん!」
「地図見ながらの方がわかりやすいと思って」
双子と共に地図板の前に立った。
《ディブル》は中央に役所が建ち、それを取り囲むように区画整理されている。
1、2区画は貴族専用。3、4、5区画は観光客や貴族向けの行商や宿屋、飲食店エリア。
「3、4、5区画にはそれぞれ
観光名所もあるんだよ」
「入って見るにはお金かかるけど…」
「まあ観光地はそんなもんだよ」
6、7区画には兵士団の詰め所と修練場があるエリア。
8、9、10区画は冒険者のための宿屋や飲食店エリア。
冒険者ギルドは10区画と11区画の境目にある。
11区画は商業ギルドと《ディブル》の平民や農民たちが暮らす区画で、ポムニット鍛冶屋もここにある。
ついでに城門の一つもここにある。私が最初ユーリスたちと入ってきた門がここと言うことだ。
そして11区画奥にドリュアスちゃんの像が祀られている教会があるわけだ。
「……あれ?
大型のダンジョンがあるんじゃなかったっけ?」
「9区画奥にあるよ」
「冒険者カッコいいよね!」
大体どこに何があるのかは把握できた。私が求める食材系は8、9、10区画に密集しているそうだ。冒険者のための宿屋や飲食店が建ち並んでいるため、行商などもそこら辺で商いをしているそうだ。
冒険者向け価格になってそうで今から泣けてくるな…。
「区画の場所って1から順番になってないんだね…」
「うん。ダンジョンのある9区画から順に
11、10、6、5、2、4、1、3、7、8区画の順に
円形に建ってるんだよ」
「でもなんでこんな順番なんだろうなー」
それは私も少しだけ気になるところだ…。
ドーナツみたいな街にしたかったのかな?
…それなら中央に役所なんて建てないか。
うむ……何故だ。
◇
「ある程度の想像はしていたが
これは酷い…」
10区画の肉屋相場を見た後に8区画の肉屋に来ました。
この世界では大体一家4人家族が普通らしく4人前500グラムで剣コイン3枚だそうだ。
どこのブランド肉だよと言いたくなるお値段。
見るかぎり豚バラ肉って感じの部位で約3000円……ぼったくり肉確定。
「肉、高いね」
「高級品だから仕方がないよ」
育ち盛りの子供に栄養は必須なのに肉がこんなに高値とは酷い……。
毎日もやし生活を強いるわけにはいかないわけでして…。
どうにか関西人のように値切り交渉を!と思ったけど値切りが通じない商売人でこちとらおこですよ。
少しくらいまけてくれても良いのにと思うが、物価高の《ディブル》での商売なんだからおまけはできないか…。
「野菜もそこそこ良い値段だね…」
「野菜なら教会の方で食べられる草採ってくるよ!」
「俺も俺も!」
「……」
畜生!健気過ぎんだろ子供のくせに!
「若いの!そこの新鮮野菜と
4人前の肉を包みたまえよ!」
「婆ちゃん孫に良いところ見せるじゃねーか!」
孫じゃねぇよ!赤の他人だ畜生め!!
今日は鱈腹食わせてやるよ!明日からは質素倹約だ!
「おいしかった!」
焼いたパンとゆで卵でここまで喜んでくれると涙が出ちゃう。
だって歳のせいで涙腺が緩んでるんだもん――ということはなかった。
見た目は老婆、中身は三十路のままだ。
「お父さんも一緒に朝ご飯食べるって
すごく久しぶりだったね」
そう。涙を流すポイントがあるとすればそこだ。
昨日は夕飯を共にしなかったヘイスが、今朝はちゃんと双子と食事を共にしたのだ。
これが成長と言わずなんと言うだろう。
気まぐれ、たまたま、お腹が減っていたのどれかであろう。
「婆ちゃん今日はどうすんの?」
「またお花やクローバー探す?」
昨日のメル勘違い誘拐未遂事件があったばかりで双子と別行動をするのは少しばかり気が引ける。
《ディブル》に住んでるわけだし街には詳しいはず…であればーー!
「今日は2人に街を案内してほしいんだ
この街に昨日来たばかりで
どこに何があるかわからないから」
そう言えば二人は笑顔で頷いた。
なんだか魔核と食事で餌付けした感半端ない対応だ。
このままじゃダメだろう。私は赤の他人の婆さんだぞ?
命の恩人というには大袈裟だから、たまたま居合わせ、たまたまメルの玉を殴ってしまった程度の偶然級の出会いをした婆さんですよ。
爺さん婆さんは無条件で良い人じゃないんだぞ?
ボケれば攻撃的にもなるし、ボケてなくても小さい子を殴ったりする老人もいる。
ちゃんと危機感を持たせなきゃ…。
本来そういうのは親が教えるものなのだろうが、ヘイスにはミール皿の作成と新しい武器を作るという仕事がある。
ここはビジネスパートナー・ヘイスの代わりに面倒だけど私がやるとしよう。
「お婆ちゃん行こう行こう!」
両手に双子を侍らせ、いざ街へ!
――いや、侍らせたらダメだろ赤の他人の婆さんとして……。
◇
ポムニット鍛冶屋を出たと同時にお向かいの家の扉が開いた。
出てきた女性は30代前半といった感じのそこそこ顔の整った清楚感は…お風呂事情によりお察しの人だ。
私と同い年くらいだろうか?
そんなことを考えていると女性はこちらに気づいたようだ。
双子には愛想良く挨拶をしたものの、今まで見たことのない私の存在に首を傾げていた。
顔に“警戒してます”と書かれているかのようにわかりやすい表情の変わりように私はこれだよこれと頷く。
「おはようバニーサさん」
「おはよ!」
双子が礼儀正しく挨拶をするとお向かいのバニーサンは私をジロジロ見るも双子に視線を戻した。
こんな露骨に態度を顔に出しているようじゃまだまだ青いな。
これじゃ黙ってても”アンタのこと嫌いよ“って言ってるようなものだ。
接客業ではあるまじき表情であることはたしかだ。
「(この人、アキラのこと相当嫌ってる感じするけど何かしたの?)」
「(私が何かした現場を目撃した記憶が
フィルギャにあるならしたんじゃない?)」
「(記憶なし!)」
当たり前だろう。
昨日のうちに人に嫌がらせして嫌われる行いをできた時間がどこにあったというんだ。
商業ギルドに登録して教会に素材集めに行ってメルと双子と出会い、鍛冶屋にやって来て衣食住確保からのレジンアクセ作って教会に戻ってお供えして帰ってご飯作りだぞ?
私の記憶の中にこのバニーサンに会ったことも嫌がらせをしたという事実は存在しないのだよ。
いやーそれにしても覚えやすい名前で助かるよ。
メルクリスマスなんて長い名前じゃないし。
やはり長い名前と横文字は日本人にはダメだって。
「おはようシオンにリオン
ヘイスさんは今日も仕事?
あとでいつも通りお昼ご飯届けるわね」
「いつもありがとうございます!」
……ピーンときた。察しの悪い私でもピーンと頭上で電球が光った。
「(ヘイスさんに気があるんだねこの人)」
「(まあ、この人に限らずヘイスはモテるだろうよ
二児の父親に見えないからね
しかも鍛冶屋としての腕だって戻ればきっとピカイチだよ)」
工房にあった品々は素人目にもこいつはスゲェ!と思わせるものがあった。
しかし周りの酷評で品物は売れずあそこで埃被ったままなんだろうと思うと何故か悔しいな。
私にお金があればどれか1つくらいはビジネスパートナー価格で購入したかったのに…。
「(でもすごいヘイスさんに入れ込んでる感あるよね)」
奥さん亡き今後妻の座を!みたいな感じなのだろうか。それとも下心ない善意なる支援活動なのだろうか。
前者に一票!物価高騰中の《ディブル》でそんな支援活動できるわけがない。
失礼だが、この人の身なりを見ても裕福とは思えない。
振り返りもしない男のためによくやるなと笑ってしまう。
「(先行投資的な支援活動なのかな?)」
「(ただの一方的な貢ぎ活動でしょう)」
「(ああ!押し勝つってやつだね!)」
イントネーションは大事だね。
バニーサンはもっと押していかないとヘイスに押し負けちゃうよ。
あれは絶対後妻を迎えるタイプではないからな。
告白してもごめんなさい。良い友達、ご近所さんでいましょう確定だよ。
「……ところでその人は誰だい?
リディさんの母親かい?」
相当怪しんでいたのだろうか、話はヘイスから私に飛んできた。
ここはフランクに接するか?
それとも陰気臭い婆さんを演じるか?
大穴狙いで愛想悪い態度返ししてやろうか?
「アキラおばあちゃんだよ
昨日この街に来たばかりで僕たちの恩人!」
何故か両腕にしがみつく双子。正直腕痛いし歩きにくいから離れて欲しい感がある。
「俺たち急いでるからバニーサさんまたねー」
ご近所さんであるにも関わらず二人の塩対応に見えなくもない行動…これ如何に?
急かされるように歩かされながらもしっかり周囲に目を向けることは忘れない。小さな赤煉瓦の鍛冶屋がポムニット家。向かいの中位の赤煉瓦の家がバニーサンの家。
少し進んでいくと見慣れた道と建物が見えてくる。
そう。見慣れた建物は商業ギルドと冒険者ギルド。
そしてロットンが教えてくれた向こうの道を行くとドリュアスちゃんの像が祀られてる廃れた教会に辿り着くわけだ。
ここまではこれからお世話になるであろうから覚えた道と建物だ。
ここから深掘りして大浴場の場所や少しでも安値の店の発見と探索にあたりたい!
「ごめん!ばあちゃん!」
「腕、痛くなかった?」
ここまで来てやっと双子は歩みを止め私の方に振り返った。
なんとも言い難い表情に“どうしたの?”と聞きたくなるだろう…普通の心優しい人ならーー。
「大丈夫だよ……。
で、案内はこの地図を見ながら
説明するってことかな?」
生憎私は面倒なことや込み入った事情、人様の恋愛や泥沼修羅場に興味はない。
それは当人たちの問題なんだから第三者が口を挟んで割り込むなんて何様だと言いたくなる。
第三者が加入するから話がこじれたり話が変な方向にいって勘違いや誤解が生じるんだ。
ドラマや漫画でそういうお決まりものを見ている人ならそれくらいお察し把握案件だろう。
だからこそ当事者以外は口を挟むなと言うんだ。
野次馬根性?
そんな根性つけるくらいなら負け犬根性を叩き直せと言いたい。
ダイエットが長続きしない意思の弱さ叩き直せと言いたい。
なんか話が脱線したと言おう。
「うん!」
「地図見ながらの方がわかりやすいと思って」
双子と共に地図板の前に立った。
《ディブル》は中央に役所が建ち、それを取り囲むように区画整理されている。
1、2区画は貴族専用。3、4、5区画は観光客や貴族向けの行商や宿屋、飲食店エリア。
「3、4、5区画にはそれぞれ
観光名所もあるんだよ」
「入って見るにはお金かかるけど…」
「まあ観光地はそんなもんだよ」
6、7区画には兵士団の詰め所と修練場があるエリア。
8、9、10区画は冒険者のための宿屋や飲食店エリア。
冒険者ギルドは10区画と11区画の境目にある。
11区画は商業ギルドと《ディブル》の平民や農民たちが暮らす区画で、ポムニット鍛冶屋もここにある。
ついでに城門の一つもここにある。私が最初ユーリスたちと入ってきた門がここと言うことだ。
そして11区画奥にドリュアスちゃんの像が祀られている教会があるわけだ。
「……あれ?
大型のダンジョンがあるんじゃなかったっけ?」
「9区画奥にあるよ」
「冒険者カッコいいよね!」
大体どこに何があるのかは把握できた。私が求める食材系は8、9、10区画に密集しているそうだ。冒険者のための宿屋や飲食店が建ち並んでいるため、行商などもそこら辺で商いをしているそうだ。
冒険者向け価格になってそうで今から泣けてくるな…。
「区画の場所って1から順番になってないんだね…」
「うん。ダンジョンのある9区画から順に
11、10、6、5、2、4、1、3、7、8区画の順に
円形に建ってるんだよ」
「でもなんでこんな順番なんだろうなー」
それは私も少しだけ気になるところだ…。
ドーナツみたいな街にしたかったのかな?
…それなら中央に役所なんて建てないか。
うむ……何故だ。
◇
「ある程度の想像はしていたが
これは酷い…」
10区画の肉屋相場を見た後に8区画の肉屋に来ました。
この世界では大体一家4人家族が普通らしく4人前500グラムで剣コイン3枚だそうだ。
どこのブランド肉だよと言いたくなるお値段。
見るかぎり豚バラ肉って感じの部位で約3000円……ぼったくり肉確定。
「肉、高いね」
「高級品だから仕方がないよ」
育ち盛りの子供に栄養は必須なのに肉がこんなに高値とは酷い……。
毎日もやし生活を強いるわけにはいかないわけでして…。
どうにか関西人のように値切り交渉を!と思ったけど値切りが通じない商売人でこちとらおこですよ。
少しくらいまけてくれても良いのにと思うが、物価高の《ディブル》での商売なんだからおまけはできないか…。
「野菜もそこそこ良い値段だね…」
「野菜なら教会の方で食べられる草採ってくるよ!」
「俺も俺も!」
「……」
畜生!健気過ぎんだろ子供のくせに!
「若いの!そこの新鮮野菜と
4人前の肉を包みたまえよ!」
「婆ちゃん孫に良いところ見せるじゃねーか!」
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