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商人と冒険者と招かざる客
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「本当に助かりました
なんとお礼を申し上げれば良いか」
「はっはっは。気にしないで下さい
私たちも《ディブル》に向かう途中でしたし
徒歩での移動はご老体にはキツかったでしょう」
「はい。もう息も絶え絶えで」
遡ること数分前 ーー。
《ディブル》を目指し歩いていた私の後方から車輪と馬の蹄の音が聞こえてきた。
立ち止まり振り返れば雨や日差し避けの布がドーム状に覆いかぶさった荷台を引いてゆっくり歩いてくる馬。
頭にターバンのような帽子を被ったこれぞ商人スタイル!と思わせる中年男性。
荷台から顔や手を出し辺りを見回している冒険者っぽい4人組の姿があった。
「わあ…荷馬車だ
あ。フィルギャ隠れなくて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ!
僕の姿や声は契約したアキラにしか
見えないし聞こえないよ
他の守護妖精と契約した人なら見聞きできるけどね」
「へー…じゃあ会話なんかは心の声とかでするの?」
「頭に思い浮かべるだけで大丈夫!
試しになんか思い浮かべてみて」
「(……今日はお肉が食べたい)」
「お肉良いね!
街に着いたら商業ギルドに行って依頼受けよう!」
「あらやだ。思い浮かべるだけって便利」
考えてること筒抜けになるのが痛いけど仕方がないな。
誰もいないのに独り言ぶつぶつ言ってたら引かれちゃうもんね。
馬車が通れるように道を外れて歩き続けていると、手綱を握っていた中年男性が私の横について声をかけてきた。
「お婆さん。どこまで行くんです?
《ディブル》に向かってるんでしたら
乗って行きますか?」
なんて善良な心を持った商人なんだろうか。
得体の知れない老婆を乗せて行ってくれるなんて。
「ご迷惑では?」
「もう一人分のスペースはあります
どうぞお乗り下さい」
中年男性がそう言って荷台に乗っていた冒険者っぽい人に頷けば、4人組の1人が荷台から飛び降りた。
「失礼します」
爽やか系男子。
その言葉がピッタリな青年はあろうことか私を抱き上げた。
所謂これは…お姫様抱っこ。
「……」
お姫様抱っこつらい。かなりつらい。
されてるのが若い子だったら顔赤らめたりするんだろうけど…。
今の私じゃお婆ちゃんと介護する孫の図だよ。
トキメキも何もないわ。すごく申し訳ない。
「ごめんなさいね
こんな汚い絵面にさせちゃって」
「?」
わかってないみたいで良かった。
そして馬車に拾ってもらえて良かった。
そして冒頭に戻るのだった ーー。
「皆さんは《ディブル》へは何のご用で?」
あまり興味はないが世間話の一つや二つしといた方が良いよね。
黙り込んでるのもあれだし。
乗せてもらってるのに感じ悪い態度はダメよね。
「私はご覧の通り商人でして…
《ディブル》に卸す装備品や薬などを運びに
彼らは道中、賊などに荷を奪われないようにするために雇った
冒険者さんたちです。あ、申し遅れました
私商人のグレイディです」
「俺はユーリス。職業は剣士で冒険者です
こいつらはパーティメンバーで
右から大槌使いのグラント」
「よろしくな婆ちゃん!」
「格闘家のギリィ」
「どうも」
「槍使いのロットンです」
「よろしくー」
「アキラです。どうも」
私を介護してくれた青年は名乗った後、他のメンバーの紹介もしてくれた。
しかしこのパーティ編成…見事な脳筋パだな。
前衛と中衛だけで後方支援の回復系統がいない。
まあ前衛中衛として実力があるなら支援なんて要らないのかもね。
「婆ちゃんは《ディブル》に何の用だったんだ?
買い物かなんかか?」
大槌使いのグラント。
巨漢でまさに大槌を扱ってますという見た目の男性。
馬車が彼の方に少し傾いてるからひっくり返らないか不安ではある。
何の用と問われるのが一番困るな。
褐色皇子たちに異世界から拉致されてきて、呪いで老婆になってこっちに飛ばされてきたなんて説明できないし。
でも答えられないと怪しまれるし…うーん。
「い、移住しようかと」
これしか出てこなかった。
もう口からデマかせしてやる!
「山の方に住んでたんですけどね
山賊に家荒らされて壊されて無一文になってしまって
《ディブル》なら商業ギルドもあるから
働きながら住むところも探せそうねってことで
《ディブル》を目指してたのよ」
ふっ…我ながら口からいい具合にデマが出てくれた。
山賊なんて会ったことないけど、ファンタジー感溢れてる世界なら1人や1000人いるでしょ。
「婆ちゃん…うっ!」
何故泣き出したのグラント。
今のデマに泣く要素あった!?
「グラントはちょっと涙脆いんだ
気にしないで」
とフォローを入れてきたのは格闘家のギリィ。
あまり積極的に話すタイプではなさそうな青年だ。
格闘家の割にかなり細身だけど、脱いだらすごいんですな細マッチョか?
「でも酷いねーそいつら
お婆ちゃん顔とか見てないの?
特徴とか覚えてたら俺たちが討伐してくるよん」
軽い口調でそう言い放つ槍使いのロットン。
槍使いというか遊び人と言っても納得してしまうんじゃないか?
と思うくらい見た目派手で口調チャラい。
「遠目に見てたからね…
あとフードにマスクだったから顔はわからないね
気持ちだけ貰っておくわね」
下手に山賊討伐されても、身に覚えのない罪与えるわけにいかんしな。
自分達のやった罪だけちゃんと改めなさい。
「なんて…なんて酷い人たちなんですか山賊っ!」
商人のグレイディまで泣いてるよ。
え、涙脆い男性多過ぎじゃね?
絶対君たち動物出てくる映画観たら号泣するでしょ。
「(いい人たちで良かったねアキラ)」
「(まったくだね…)」
拾っていただき感謝の極 ーー!
「アキラさん!」
いきなり響いた馬の鳴き声に傾いた荷台。
爽やか青年ユーリスが抱えてくれなかったら腹から反対側の縁にダイブしていたよ。
絶対骨折してたわ…恐ろしや。
荷台に積んであった木箱は傾いた拍子にグラントの方に崩れてゴチャゴチャ。
中に入ってる装備品や薬なんかは壊れたりしてないか心配になる崩れ具合だ。
グラントは半身で大きな木箱を受け止める形になっているけど、命に別状はなさそうだ。
ギリィもまた背もたれにしていた縁を掴み重力に逆らうようにしている。
やはり腕の筋肉相当なものですね。
ロットンはと言えば…。
「大丈夫かロットン」
グラントの胸筋に顔面ダイブしてるよ。
あれは痛い。顔面的にも精神的にも痛い。
見てるこっちも痛いよ。
「み、皆さん大丈夫ですか!?」
グレイディが慌てたように声をかけてくる。
一体何事かと問い外に目を向ければ、行手を阻む“ゴロツキ集団”という表現がよく似合う集団が、物騒なもの手にしてニヤついて立っていた。
これが所謂…チュートリアル戦闘?
なんて危機感も感じずそんなことを考えたこのゲーム脳が恨めしい。
「命が惜しけりゃ身包み全部と荷物置いていきな!」
うん。ありきたりでお決まりの雑魚集団のセリフ。
命が惜しくて冒険者やってるわけないだろ。
いつでもどこでも冒険者は命懸けだよ。
中途半端に冒険者やってると思ってるのか。
「よくも…」
「?」
「よくも…よくも…!」
おや?ロットンのようすが…!
「よくも俺の顔をグラントの野郎の
汚ねぇ胸筋に押しつけさせてくれたなぁ!」
え、二重人格さんですか?
ってくらいすごい豹変ぶりなんですけど大丈夫かあの人。
「オラァ!かかってこいやクソ雑魚共!
全員まとめて串刺しにしてやんよ!」
あ…怒らせたらダメなタイプの人でしたか。
槍持って荷台から飛び出して先陣切ってったよ。
一番槍とはまさにこのことか…。
「ギリィ。ロットンに加勢してやってくれ
グラントは傾いた荷台を元に戻してくれ
グレイディさんは馬が暴れないようにさせて下さい」
「わかった」
「おう!任せとけ!」
「は、はい!」
ユーリスの指示でギリィは荷台から飛び出して行った。
グラントも受け止めていた木箱を端に押し退け荷台から出て行く。
ガタンと荷台が揺れると傾きはすぐに正常位置に戻った。
足が宙ぶらりん状態で怖かったよ。
「ありがとうねユーリス」
「いえ。怪我がなくてなによりです
アキラさんはグレイディさんと一緒に
ここで待っていて下さい」
それだけ言い剣を抜いて荷台からユーリスは飛び出して行った。
荷台からこっそり顔を出し外の様子を伺えば、映画とかアニメでよくある戦場のような光景が広がっていた。
剣と剣がぶつかり合う音。飛び散る血。
拳が相手の防具を貫いたり。大槌に押し潰される者もいた。
見てるだけでも体が震える。
体中の血の気が引き目眩さえ起こる。
こんな光景を見せられても戦えるラノベの主人公たちは一体どんな特殊な訓練を受けてきた連中なんだ?
現代社会というぬるま湯に浸かってた一般人が戦場に立たされてすぐに戦えるわけないだろ。
所詮ラノベはラノベ。
現実に起こり得ないフィクションの話だ。
だから書き手の想像で良い方にも悪い方にも転べるんだ。
でも今私が立たされてるこの状況は現実。
書き手もいなければ転べる方向は悪い方にのみ。
「死ねー!」
「ひいっ!」
振り下ろされる剣がスローに見える。
死を目の前にするとこんなにも遅く見えるのか…。
グレイディと私の命はここで終わるのか…。
「(アキラ!!)」
なんとお礼を申し上げれば良いか」
「はっはっは。気にしないで下さい
私たちも《ディブル》に向かう途中でしたし
徒歩での移動はご老体にはキツかったでしょう」
「はい。もう息も絶え絶えで」
遡ること数分前 ーー。
《ディブル》を目指し歩いていた私の後方から車輪と馬の蹄の音が聞こえてきた。
立ち止まり振り返れば雨や日差し避けの布がドーム状に覆いかぶさった荷台を引いてゆっくり歩いてくる馬。
頭にターバンのような帽子を被ったこれぞ商人スタイル!と思わせる中年男性。
荷台から顔や手を出し辺りを見回している冒険者っぽい4人組の姿があった。
「わあ…荷馬車だ
あ。フィルギャ隠れなくて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ!
僕の姿や声は契約したアキラにしか
見えないし聞こえないよ
他の守護妖精と契約した人なら見聞きできるけどね」
「へー…じゃあ会話なんかは心の声とかでするの?」
「頭に思い浮かべるだけで大丈夫!
試しになんか思い浮かべてみて」
「(……今日はお肉が食べたい)」
「お肉良いね!
街に着いたら商業ギルドに行って依頼受けよう!」
「あらやだ。思い浮かべるだけって便利」
考えてること筒抜けになるのが痛いけど仕方がないな。
誰もいないのに独り言ぶつぶつ言ってたら引かれちゃうもんね。
馬車が通れるように道を外れて歩き続けていると、手綱を握っていた中年男性が私の横について声をかけてきた。
「お婆さん。どこまで行くんです?
《ディブル》に向かってるんでしたら
乗って行きますか?」
なんて善良な心を持った商人なんだろうか。
得体の知れない老婆を乗せて行ってくれるなんて。
「ご迷惑では?」
「もう一人分のスペースはあります
どうぞお乗り下さい」
中年男性がそう言って荷台に乗っていた冒険者っぽい人に頷けば、4人組の1人が荷台から飛び降りた。
「失礼します」
爽やか系男子。
その言葉がピッタリな青年はあろうことか私を抱き上げた。
所謂これは…お姫様抱っこ。
「……」
お姫様抱っこつらい。かなりつらい。
されてるのが若い子だったら顔赤らめたりするんだろうけど…。
今の私じゃお婆ちゃんと介護する孫の図だよ。
トキメキも何もないわ。すごく申し訳ない。
「ごめんなさいね
こんな汚い絵面にさせちゃって」
「?」
わかってないみたいで良かった。
そして馬車に拾ってもらえて良かった。
そして冒頭に戻るのだった ーー。
「皆さんは《ディブル》へは何のご用で?」
あまり興味はないが世間話の一つや二つしといた方が良いよね。
黙り込んでるのもあれだし。
乗せてもらってるのに感じ悪い態度はダメよね。
「私はご覧の通り商人でして…
《ディブル》に卸す装備品や薬などを運びに
彼らは道中、賊などに荷を奪われないようにするために雇った
冒険者さんたちです。あ、申し遅れました
私商人のグレイディです」
「俺はユーリス。職業は剣士で冒険者です
こいつらはパーティメンバーで
右から大槌使いのグラント」
「よろしくな婆ちゃん!」
「格闘家のギリィ」
「どうも」
「槍使いのロットンです」
「よろしくー」
「アキラです。どうも」
私を介護してくれた青年は名乗った後、他のメンバーの紹介もしてくれた。
しかしこのパーティ編成…見事な脳筋パだな。
前衛と中衛だけで後方支援の回復系統がいない。
まあ前衛中衛として実力があるなら支援なんて要らないのかもね。
「婆ちゃんは《ディブル》に何の用だったんだ?
買い物かなんかか?」
大槌使いのグラント。
巨漢でまさに大槌を扱ってますという見た目の男性。
馬車が彼の方に少し傾いてるからひっくり返らないか不安ではある。
何の用と問われるのが一番困るな。
褐色皇子たちに異世界から拉致されてきて、呪いで老婆になってこっちに飛ばされてきたなんて説明できないし。
でも答えられないと怪しまれるし…うーん。
「い、移住しようかと」
これしか出てこなかった。
もう口からデマかせしてやる!
「山の方に住んでたんですけどね
山賊に家荒らされて壊されて無一文になってしまって
《ディブル》なら商業ギルドもあるから
働きながら住むところも探せそうねってことで
《ディブル》を目指してたのよ」
ふっ…我ながら口からいい具合にデマが出てくれた。
山賊なんて会ったことないけど、ファンタジー感溢れてる世界なら1人や1000人いるでしょ。
「婆ちゃん…うっ!」
何故泣き出したのグラント。
今のデマに泣く要素あった!?
「グラントはちょっと涙脆いんだ
気にしないで」
とフォローを入れてきたのは格闘家のギリィ。
あまり積極的に話すタイプではなさそうな青年だ。
格闘家の割にかなり細身だけど、脱いだらすごいんですな細マッチョか?
「でも酷いねーそいつら
お婆ちゃん顔とか見てないの?
特徴とか覚えてたら俺たちが討伐してくるよん」
軽い口調でそう言い放つ槍使いのロットン。
槍使いというか遊び人と言っても納得してしまうんじゃないか?
と思うくらい見た目派手で口調チャラい。
「遠目に見てたからね…
あとフードにマスクだったから顔はわからないね
気持ちだけ貰っておくわね」
下手に山賊討伐されても、身に覚えのない罪与えるわけにいかんしな。
自分達のやった罪だけちゃんと改めなさい。
「なんて…なんて酷い人たちなんですか山賊っ!」
商人のグレイディまで泣いてるよ。
え、涙脆い男性多過ぎじゃね?
絶対君たち動物出てくる映画観たら号泣するでしょ。
「(いい人たちで良かったねアキラ)」
「(まったくだね…)」
拾っていただき感謝の極 ーー!
「アキラさん!」
いきなり響いた馬の鳴き声に傾いた荷台。
爽やか青年ユーリスが抱えてくれなかったら腹から反対側の縁にダイブしていたよ。
絶対骨折してたわ…恐ろしや。
荷台に積んであった木箱は傾いた拍子にグラントの方に崩れてゴチャゴチャ。
中に入ってる装備品や薬なんかは壊れたりしてないか心配になる崩れ具合だ。
グラントは半身で大きな木箱を受け止める形になっているけど、命に別状はなさそうだ。
ギリィもまた背もたれにしていた縁を掴み重力に逆らうようにしている。
やはり腕の筋肉相当なものですね。
ロットンはと言えば…。
「大丈夫かロットン」
グラントの胸筋に顔面ダイブしてるよ。
あれは痛い。顔面的にも精神的にも痛い。
見てるこっちも痛いよ。
「み、皆さん大丈夫ですか!?」
グレイディが慌てたように声をかけてくる。
一体何事かと問い外に目を向ければ、行手を阻む“ゴロツキ集団”という表現がよく似合う集団が、物騒なもの手にしてニヤついて立っていた。
これが所謂…チュートリアル戦闘?
なんて危機感も感じずそんなことを考えたこのゲーム脳が恨めしい。
「命が惜しけりゃ身包み全部と荷物置いていきな!」
うん。ありきたりでお決まりの雑魚集団のセリフ。
命が惜しくて冒険者やってるわけないだろ。
いつでもどこでも冒険者は命懸けだよ。
中途半端に冒険者やってると思ってるのか。
「よくも…」
「?」
「よくも…よくも…!」
おや?ロットンのようすが…!
「よくも俺の顔をグラントの野郎の
汚ねぇ胸筋に押しつけさせてくれたなぁ!」
え、二重人格さんですか?
ってくらいすごい豹変ぶりなんですけど大丈夫かあの人。
「オラァ!かかってこいやクソ雑魚共!
全員まとめて串刺しにしてやんよ!」
あ…怒らせたらダメなタイプの人でしたか。
槍持って荷台から飛び出して先陣切ってったよ。
一番槍とはまさにこのことか…。
「ギリィ。ロットンに加勢してやってくれ
グラントは傾いた荷台を元に戻してくれ
グレイディさんは馬が暴れないようにさせて下さい」
「わかった」
「おう!任せとけ!」
「は、はい!」
ユーリスの指示でギリィは荷台から飛び出して行った。
グラントも受け止めていた木箱を端に押し退け荷台から出て行く。
ガタンと荷台が揺れると傾きはすぐに正常位置に戻った。
足が宙ぶらりん状態で怖かったよ。
「ありがとうねユーリス」
「いえ。怪我がなくてなによりです
アキラさんはグレイディさんと一緒に
ここで待っていて下さい」
それだけ言い剣を抜いて荷台からユーリスは飛び出して行った。
荷台からこっそり顔を出し外の様子を伺えば、映画とかアニメでよくある戦場のような光景が広がっていた。
剣と剣がぶつかり合う音。飛び散る血。
拳が相手の防具を貫いたり。大槌に押し潰される者もいた。
見てるだけでも体が震える。
体中の血の気が引き目眩さえ起こる。
こんな光景を見せられても戦えるラノベの主人公たちは一体どんな特殊な訓練を受けてきた連中なんだ?
現代社会というぬるま湯に浸かってた一般人が戦場に立たされてすぐに戦えるわけないだろ。
所詮ラノベはラノベ。
現実に起こり得ないフィクションの話だ。
だから書き手の想像で良い方にも悪い方にも転べるんだ。
でも今私が立たされてるこの状況は現実。
書き手もいなければ転べる方向は悪い方にのみ。
「死ねー!」
「ひいっ!」
振り下ろされる剣がスローに見える。
死を目の前にするとこんなにも遅く見えるのか…。
グレイディと私の命はここで終わるのか…。
「(アキラ!!)」
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追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
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