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76.王妃は国宝を手にする
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とんでもないところに嫁入りしちゃったんじゃないの!?と今更ながら戦慄している俺の隣で、キースがスラックスのポケットから何かを取り出した。
「これをエスメラルダに肌身離さず身につけておいてほしい」
キースはそう言って、俺の手にペンダントを乗せた。
トップについた青と赤のグラデーションが特徴的な水晶は夜の街中でキラキラと光り輝く。
素人の俺でも分かる。
これは相当な高級品だ。
「えぇ…、こんな高価そうなペンダント、俺が持っていていいの?」
「高価かどうかは分からない。1度も値がつけられたことがないからな。だが、宰相が言うには国宝レベルらしい」
ペンダントはどうやら俺が予想していたよりも遥かに貴重な代物であるようだ。
思わぬ事実が判明し、ペンダントを持つ手は緊張で震えてしまう。
「えっと…、それでこれは何なの?」
「魔道具だ」
魔道具とは魔法を動力源とした道具で、人々の生活を便利かつ快適にする必需品として世に広く親しまれている。
技術的に小型化するのが難しく、大抵は機械の形をしており、こういったアクセサリーになっている魔道具は非常に珍しい。
というか、初めて見た。
「強風や大雨を凌ぐための農業用魔道具を開発していた際の偶然の産物でな。水晶の中には持ち主の危険を察知したら発動するバリア魔法が込められているんだ」
「これをエスメラルダに肌身離さず身につけておいてほしい」
キースはそう言って、俺の手にペンダントを乗せた。
トップについた青と赤のグラデーションが特徴的な水晶は夜の街中でキラキラと光り輝く。
素人の俺でも分かる。
これは相当な高級品だ。
「えぇ…、こんな高価そうなペンダント、俺が持っていていいの?」
「高価かどうかは分からない。1度も値がつけられたことがないからな。だが、宰相が言うには国宝レベルらしい」
ペンダントはどうやら俺が予想していたよりも遥かに貴重な代物であるようだ。
思わぬ事実が判明し、ペンダントを持つ手は緊張で震えてしまう。
「えっと…、それでこれは何なの?」
「魔道具だ」
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