81 / 85
75.一緒に暮らせばいい
しおりを挟む
というようにキースの政策に詳しい俺だが、冷遇王妃に国王本人が話してくれるはずもないので、情報源は新聞やゴシップ紙だ。
俺は改めて夫婦の会話の少なさを自覚する。
夫婦関係を修復すると決めたけど、俺たちはたぶんお互いのことを知らなさすぎる。
「一緒にいる時間が長かったら、こんなにすれ違うこともなかったのに」
不安と後悔に苛まれて弱気になったせいで、ついポロッと本音が零れ出てしまう。
ハッと我に返って、キースを見上げると、彼はきょとんとした顔をしていた。
「だったらこれからは一緒に暮らせばいい」
「は?」
「俺と暮らすのはやっぱり嫌か?」
突然の同居宣言に驚きのあまり、言葉も出せずに固まっていると、キースは否定と受け取ったらしく、不安げに俺の顔を覗き込んできた。
「俺が嫌がっているとかそういう話じゃなくて、お前が俺を本棟から追いやったんだろ?それにそんな大事なことを今この場で簡単に決めていいのかよ。引っ越しとかそういうのも必要になるだろ」
「あぁ。城の本棟はもうすぐ安全になる予定だからな。大丈夫だ」
おいおい、俺たちの話は噛み合っているのか?
いや、それよりもその言い方だと今は城の本棟が危険であるかのように聞こえて、怖いんだけど。
もしかしてキースの過剰なまでの毒味と関係しているのか?
俺は改めて夫婦の会話の少なさを自覚する。
夫婦関係を修復すると決めたけど、俺たちはたぶんお互いのことを知らなさすぎる。
「一緒にいる時間が長かったら、こんなにすれ違うこともなかったのに」
不安と後悔に苛まれて弱気になったせいで、ついポロッと本音が零れ出てしまう。
ハッと我に返って、キースを見上げると、彼はきょとんとした顔をしていた。
「だったらこれからは一緒に暮らせばいい」
「は?」
「俺と暮らすのはやっぱり嫌か?」
突然の同居宣言に驚きのあまり、言葉も出せずに固まっていると、キースは否定と受け取ったらしく、不安げに俺の顔を覗き込んできた。
「俺が嫌がっているとかそういう話じゃなくて、お前が俺を本棟から追いやったんだろ?それにそんな大事なことを今この場で簡単に決めていいのかよ。引っ越しとかそういうのも必要になるだろ」
「あぁ。城の本棟はもうすぐ安全になる予定だからな。大丈夫だ」
おいおい、俺たちの話は噛み合っているのか?
いや、それよりもその言い方だと今は城の本棟が危険であるかのように聞こえて、怖いんだけど。
もしかしてキースの過剰なまでの毒味と関係しているのか?
442
お気に入りに追加
2,872
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる