俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね？〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

54．俺たち2人でなら

「それならリリオ王の行動にも納得がいく。キリムドゥーサ帝国は未だにシャルドナ王国の征服を虎視眈々と狙い続けているらしいしな。人一倍用心するのも無理はない」
「関税の引き上げが軍事上の弱点を間接的に補うために行われるのなら、考えうる解決策はゾーイ大将軍を呼び戻すしかあるまい。はぁ…、かなり厳しいがな」

キースは額に手を当て、項垂れた。
珍しく弱気だ。
嘆くキースに近づき、俺は彼の背中をバンと叩いて鼓舞する。

「それでも俺たちでやってやるしかないだろ！関税が上がったら、民の生活に影響が出てしまう。何としてても食い止めなきゃいけないんだよ。俺たちには民を守る義務がある。大丈夫だ、2人でならできる！」
「そうだな、俺たち2人で」

俺の言葉を噛みしめるように数回頷いた後、キースは俺の手を握って優しい微笑みを向けてくる。

「ありがとうな、エスメラルダ」

面と向かってお礼を言われ、顔に熱を帯びるのが分かった。
羞恥心を隠すように、キースの手をパシンと払いのける。

「お、お触り禁止っ！このスケベ！俺は寝室で寝るから、お前はソファーで寝ろ！絶対入ってくんなよ！もうっ！」

そう言い捨てた俺はダッシュで寝室に駆け込み、そのままベッドにダイブした。
そして怒涛の1日に思いを馳せているうちにいつしか眠りについていた。