俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね？〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

26．王妃は恥ずかしい

「朝になれば誰かが起こしに来る。その時にバラバラの場所で眠っていたら、バレるだろう」

それは一理あると思い、俺たちは仕方なく1つのベッドに入り込む。
互いに背を向けて眠りにつくが、移動中にずっと眠っていた俺はなかなか寝つけない。

俺はこっそり部屋を出て、庭にある桜の木の下へ向かう。
小さい頃から眠れない夜にはこの桜を見に行ったものだ。
月の光に照らされた夜桜の妖しい美しさにぼーっと見惚れてしまう。

「おいっ！」

背後から声をかけられてばっと振り向くと、キースがこちらに歩いてきた。

「…何でいるの?」
「部屋から出て行ったきり、戻ってこないから探した。お前こそ、こんな夜中に何してるんだ？」

寝過ぎで目がバッキバキに冴えていますなんて恥ずかしくて言えない。
いい具合に誤魔化せないかと困っていると、キースは俺から目を逸らした。

「…ディアマンテの結婚か?」
「はっ?」

どうして兄さんの結婚話が出てくるんだ？
訳が分からなくて、首を傾げた。

「今日初めて知っただろうが、気を落とすなよ」
「ずーっと前から知ってましたし、気も落としてません。むしろ喜んでいます」
「無理するな」
「無理してません」
「嘘つくな」
「嘘ついてません。…あぁ、もう！さっきから何なんですか！」