【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

102．愛を諦めたオリヴィエ

「そう。ガーランドを愛していたの。嫉妬心に駆られて、あの2人が別れるように仕向けた。だけど愚かだったわ」
「否定はしません。トーニャと柊さんの仲が一時的とはいえ微妙な関係だったのは事実ですし」
「柊にはたくさん迷惑をかけてしまったわ。私のことを信用してくれていたのに…。裏切ってしまった…。でも、ガーランドは決して柊を裏切らなかった。今も一途に柊だけを愛していて、私には指一本触れなかったわ」

オリヴィエさんの瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
決して許される行為ではないが、ずっと後悔と懺悔を抱えて過ごしてきたのだと感じた。
そしてそれはこれからも変わらないだろう。
オリヴィアさんの罪は誰にも正当化されないまま消えずに残るのだから。

「私ね、フォンレーヌ公爵領に戻ることにしたの。城を出るの。ずっとそうしなきゃって分かっていたけど、アルファだと偽らせてしまったエレノアが気がかりでできなかった。あの子が結婚した今、ようやく決心したの。これでガーランドは柊の元に戻るでしょうね。…今日は真白さんに全てを告白できて良かった。聞いてくれてありがとう」
「いえ、お元気で」
「えぇ、あなたも」

そう言ってオリヴィエさんは部屋を出ていった。
愛を諦めたその後ろ姿は一国の王妃を務めた人物とは思えないほど、悲哀が漂っていた。