【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

80．デートは昼過ぎから

予想通り、昼過ぎになってからベッドを抜け出した俺たちは別棟で軽食を済ませた後で街に繰り出す。
デートの計画は狂ってしまったが、本日のメインイベントであるエルシエル孤児院での合唱コンサートにはギリギリ間に合い、観客たちの間をすり抜けて席に着く。

太陽祭の日に初めて会ったソルに見に行くと約束していたコンサートだけれども、よくよく考えるとあの時点では日時も場所も分かっていなかった。
だが再会して、こうしてきちんと約束を守ることができたのは本当に良かった。

俺は柊さんへの結婚報告以降も時々エルシエル孤児院に通い、子どもたちと遊んだり、手料理を振る舞ったりしている。
子どもたちはもちろん、義母である柊さんとの仲も良好だ。

子どもたちの愛らしい歌声によってコンサートが盛況に終わると、俺とトーニャは柊さんに軽く挨拶してから次の場所へと歩いて移動する。

「なぁ、真白。本当にあれで良かったのか?」
「うん?何のこと？」
「偽薬の件だ。あいつにはもっと厳しい処罰を与えるべきだ」

抑制剤のすり替えの調査の結果、王妃オリヴィエと第三王子エレノアが有力な犯人候補だと判明した。
トーニャが2人から話を聞くことになったが、嘘をつく可能性は決してゼロではない。