【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

78．お前が可愛すぎて（＊）

だって初めて会った頃はあんなに強引だったのに、今じゃ俺のペースに乱されているのだから。
それって相当俺に夢中ってことじゃない？

「真白、いい加減出てきてくれよ」
「やだ、ふふっ、あっ」
「あっ」

しまった、ついつい笑い声が洩れちゃった。
その瞬間、布団を剥ぎ取られ、視界に眩しく光が差し込む。
そして、むすっとした表情のトーニャと目が合った。

「…騙したな」
「ちっ、バレたか」
「お前って奴は…」
「…なぁ、怒った？怒ってる？」

首をこてんと傾げて上目遣いでそう言うと、俺は一瞬のうちに白いシーツの海に押し倒されてしまった。
俺を、俺だけを真っ直ぐに見つめているトーニャの金瞳に怒りの色は全く見えない。

「かなり怒ってる」
「嘘だぁ」
「本当だ。…お前が可愛すぎて怒ってるんだ」
「ぶふっ！何だそれ、ははっ！」
「笑うなよ！」

可笑しくて腹を抱えて大笑いしていると、トーニャは黙れと言わんばかりにキスで俺の唇を塞ぐ。

「真白、もう一回シたい」
「昨日あんなにシたのに？」
「ダメか？」

眉を内側に寄せて、子犬のような目でせがまれる。
ただ、彼の瞳に宿っているのはそんな愛らしいものではない。
狙いを定めた獣の如き情欲だ。
その不調和に伝染されて、急速に身体が疼き出す。