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75.幸せの味
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「オムライス。卵はとろとろふわふわが良いな」
「了解っ!」
「だが、1人で作るのは大変だろう。俺も手伝う」
「そんなこと言って、本当は一緒にいたいだけだったりしてー」
「あぁ、そうだ。何だ、バレてしまったか」
冗談半分に言うと、案外図星だったらしい。
トーニャはけろっとした表情で開き直る。
となると、分が悪いのはこちらだ。
俺は思いがけないカウンターアタックを喰らい、茹で蛸の如く顔を真っ赤にした。
そんな俺の頬っぺを勝者のトーニャがつんつんと突いてくる。
「お前はやっぱり可愛いな」
「…は、は、早く行くぞ!」
ただでさえあたふたとしていたのに、キッチンでも手伝いの合間にトーニャは背後からハグしてきたり、「可愛い」と連呼したりしてきた。
そのせいで狼狽えた俺は結論から言うとオムライス作りに失敗した。
「オムレツが全然ふわふわじゃない。というか、これは炒り卵だ」
「ん、でも美味しいぞ。真白が作ってくれた物なら何でも旨い。最高だ」
トーニャはオムライス改め、炒り卵の乗っている焦げたチキンライスを満足そうに頬張っている。
その姿を見て、俺も食べ始める。
2人で作った初めての料理は何だか幸せの味がした。
そしてその後は一緒に風呂に入って、抱き締め合う形で眠りについた。
次の休みにはデートすることを約束して。
「了解っ!」
「だが、1人で作るのは大変だろう。俺も手伝う」
「そんなこと言って、本当は一緒にいたいだけだったりしてー」
「あぁ、そうだ。何だ、バレてしまったか」
冗談半分に言うと、案外図星だったらしい。
トーニャはけろっとした表情で開き直る。
となると、分が悪いのはこちらだ。
俺は思いがけないカウンターアタックを喰らい、茹で蛸の如く顔を真っ赤にした。
そんな俺の頬っぺを勝者のトーニャがつんつんと突いてくる。
「お前はやっぱり可愛いな」
「…は、は、早く行くぞ!」
ただでさえあたふたとしていたのに、キッチンでも手伝いの合間にトーニャは背後からハグしてきたり、「可愛い」と連呼したりしてきた。
そのせいで狼狽えた俺は結論から言うとオムライス作りに失敗した。
「オムレツが全然ふわふわじゃない。というか、これは炒り卵だ」
「ん、でも美味しいぞ。真白が作ってくれた物なら何でも旨い。最高だ」
トーニャはオムライス改め、炒り卵の乗っている焦げたチキンライスを満足そうに頬張っている。
その姿を見て、俺も食べ始める。
2人で作った初めての料理は何だか幸せの味がした。
そしてその後は一緒に風呂に入って、抱き締め合う形で眠りについた。
次の休みにはデートすることを約束して。
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