【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

74．愛しい存在だから大事にしたい

調査結果を聞き、1番苦しんでいるのは板挟みになっているトーニャだ。
きっとこいつは俺が止めようとも、俺のためだけに家族を糾弾するのだろう。
だから俺だけはトーニャの味方でい続けてやらなきゃいけないんだ。

「トーニャのせいじゃないよ。確かにお前と一緒にいる不都合もあれば、俺と一緒にいる不都合もある。でも、それは誰といたって同じだろ？そもそもそういうの分かってて、俺はお前を選んでるんだから。今更気にすんなよ」
「真白…」
「もっと自信持てよ、色男っ！」

バッ！と背中を叩くと、トーニャは微笑みを見せた。
良かった、いつもの調子を取り戻してくれたようだ。

「大体トーニャは義務とか責任とか背負い込み過ぎだ！ってか、前にもこんな話したよなー」
「お前が過労で倒れた時のことか？」
「そうそう！」
「…だとすると、それは違うな。あの頃はお前の言う通り、義務や責任に捉われていた。だけど、今は俺がやりたくてやっているんだ。真白が愛しい存在だから大切にしたい」

トーニャはそう言うと、俺の手を優しく握った。
それに応えるように、わざとリップ音を立てて軽いキスをした。

「じゃあー、俺も愛しい旦那様のために美味しいご飯を作ってあげよっかな。もう夜だし。何が食べたい？」