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69.我慢すればするほど

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「…んんっ、あれ?」

横になってトーニャの寝顔を眺めているうちに、いつしか俺まで眠ってしまったと気付く。
トーニャは相当お疲れだったらしく、未だ夢の中だ。

正直、俺も本当はトーニャに触れたかった。
ご無沙汰なのは同じなのだから。
でも、疲労困憊のトーニャに無理させるのは嫌だった。

なのに厄介なもので我慢すればするほど、『触れたい』という欲は高まっていく。
ダメだと頭では理解しているのに、俺は思わずトーニャの頬に触れてしまった。
すると、彼は起きたようで、もぞもぞと動き出す。

「…あぁ。真白、悪い。寝ちまってた」
「ううん、こっちこそ。起こしちゃってごめん。大丈夫?もうちょっと寝てれば?」

俺は邪な心を抱いたやましさから距離を取ろうとした。
だが、トーニャは首を横に振ると、腕を伸ばして俺を抱きしめた。
先程まで眠りについていた体は温かく、心地良さを感じる。

「夢にな、お前が出てきたよ」
「どんな夢見てたんだよ?あっ!まさか…、夢の中の俺にエロいことしてないだろうな!」

口ではそう言いつつも、エロいこと考えてたのは俺の方だろと心の中で自分にツッコむ。
トーニャはそんな俺を見透かしているのか、やけに緩慢な動作で耳元に顔を寄せて、内緒、とだけ囁いた。
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