【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

38．疑惑の夫を尾行します！

エレノアとの騒動から一夜明けて、現在俺は絶賛尾行中である。
ターゲットはもちろんトーニャだ。

昨晩、今まで聞いた話を整理して考えた結果、ある仮説を立てた。
それを証明するために早朝からトーニャの部屋を張り込み、出てきたところを追って今に至る。

バレないように細心の注意を払いながら距離を取って、トーニャの後を尾ける。
城から徒歩20分ほどで市街地に着くと、真っ直ぐ歩いてきた先程までとは異なり、角を曲がる回数が増える。
だが、そのせいで肝心のトーニャを見失ってしまった。

マズい、マズいぞ..!
トーニャがいなきゃ、俺は実質迷子だ…!
辺りを探し回ったものの見つかることはなく、途方に暮れてその場にうずくまる。

「あれ?お兄さん?ここで何しているの?」

困っている俺に声をかけてくれたのは太陽祭で出会ったりんご飴の男の子だった。

「実はエルシエル孤児院に行きたいんだけどね、道が分からなくて…」
「それ、僕が暮らしているところです」
「…えっ!?」
「僕も帰る途中なので、案内します!」
「本当にっ!ありがとうー!!」

思いがけず助けを得ることができた俺は迷子の危機を無事脱した。
男の子の案内で引き続き、エルシエル孤児院へ向かいつつ、俺は仮説の核心となることを彼に聞く。

「孤児院にルナマリアって女性（ひと）は一緒に住んでる?」　
「いいえ、そんな人いませんよ。それどころか、女性の先生は全員通いで来てくれていますから」

やっぱり…。
その言葉で推測は確信に変わっていった。