【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

32．返事の行方

太陽祭でのプロポーズから数日後。
俺はサファイアさん・クオーツさん親子と一緒に昼食を取っている。

「もちろんOKしたのですよね!?」
「実は…、まだ返事はしてません…」
「えっ!?」

プロポーズされた時、内心嬉しくてしょうがなかった。
それでもあの日、俺は"考えさせてほしい"と答えた。
だって、そうだろう?
あっちは王子様だけど、俺は異世界から来た一般庶民なのだから。
どう考えたって住む世界が違うし、釣り合わない。
頭では身の程をわきまえるべきだと理解しているのに、断りきれずに返事を引き伸ばすような真似をしたのは俺のわがままだ。

「トーニャからはグランツィエ王国へ出発するまでに答えを決めてほしいって言われてるんですけど…」
「…それって明後日じゃないですか!?」

2日後、トーニャは友好条約の締結のためにユージーン王太子と共に、1ヶ月ほど隣国グランツィエ王国へ赴くことになっている。

グランツィエ王国はレオンスタリア王国の西側に位置する大国だ。
気候が温暖で広大な土地を有している点は同じ。
だが、鉱山が多いレオンスタリア王国は商工業が繁栄をもたらしている一方、自然豊かな平地が広がるグランツィエ王国は農業によって栄えている。

「気を付けた方が良いですわね。何しろ一夫一妻制のレオンスタリア王国と違って、グランツィエ王国は女系相続が重要視されているので一妻多夫制です。トーニャ様がリュミエール女王やアリエス王女に気に入られて、夫の1人とされてしまうかもしれませんよ」
「えっ…、そんなことあるんですか？」