【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

31．プロポーズされちゃいました。

トーニャは何も言わずに俯き、俺の言葉の続きを待っている。

「必要とされたかったんだ、誰かに。この白い髪のせいで、孤児院でもずっと独りぼっちだった。でも働いている間は求められている実感があった。それに働けば、お金も入るだろ？いつかそのお金で家を買ったら、まぁ、できるか分かんないけど…家族を作って、楽しく暮らせたらなって夢見てて…。ははは、本当に高望みだよなぁ」
「…それは俺じゃダメなのか?必要とするのも、家族になるのも」
「えっ…」
「来年の春になったら、兄上の即位式があるんだ。今、俺たちが住んでいるフレイヤノーラン城は王とその直系の家族しか住むことが許されない。つまり、王弟となる俺は城から出て行かなければならない。以前、妃となった礼として新居をやると約束したが、これからは俺の新しい屋敷で一緒に住まないかと言っている」
「それって…」
「このままずっと俺の側にいてくれ」

トーニャの真剣な眼差しは突然の告白に戸惑う俺の心を捉えて離さない。
あの黄金色に光り輝く瞳に見つめられると、俺の体温はあっという間に上がっていく。
俺はこの目を一生忘れないだろう。

「プ、プロポーズってことだよな。俺なんかで良いの…？」
「あぁ、お前が良い。返事を聞かせてくれないか?」