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28.トーニャの嘘
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魔法の話題で仲直りするきっかけを作ろうと決意した俺はトーニャに話しかける。
「トーニャの魔法ってどんな感じなの?俺、見たことない」
「トーニャ様は火を操る魔法と他者からの攻撃を無効化する魔法の2つをお使いになります。
前者を攻撃に、後者を防御に用いて戦われております。ちなみに、普通のアルファは1種類の魔法しか使えないのですが、レオンスタリアの王家の血を引く男性のアルファは2種類使うことができるのです!」
「へ、へぇー。じゃあ王様と王太子様は?」
「国王陛下と王太子殿下はお2人とも火の魔法と心を読める魔法です」
「お、王妃様はっ!?」
「氷を操る魔法です。オリヴィエ様は氷魔法の名手であるフォンレーヌ公爵家のご出身なので」
まずいぞ、この展開…。
全質問をトーニャよりも先にギルが答えてしまう。
そうだ、王族男性にはもう1人いるじゃないか!
トーニャの弟エレノアくんが!
「エレノアくんは!?」
「そういえば聞いたことがないですね。トーニャ様はエレノア様の同母兄でいらっしゃいますし、ご存じですか?」
よし、ようやくトーニャに話が回った!
と思ったのも束の間、トーニャは険しい表情をしていた。
「さぁ…。いくら兄弟でも、そういう話はあまりしないからな。それよりも帰らなくていいのか?」
「えっ?」
「帰った方が良いんじゃないか?」
「まだ夕方ですし…」
「帰るべきだ」
「俺はまだまだお供できます!」
「今日は帰れ。非番くらい上官に付き合わずに休め。お前の隊は明日早番だろう」
トーニャはギルにため息をつく。
それに対して、ギルは意を汲んだようで敬礼して去っていく。
その背中を眺めながら、トーニャは言った。
「俺は大事な部下に嘘をついてしまった」
「トーニャの魔法ってどんな感じなの?俺、見たことない」
「トーニャ様は火を操る魔法と他者からの攻撃を無効化する魔法の2つをお使いになります。
前者を攻撃に、後者を防御に用いて戦われております。ちなみに、普通のアルファは1種類の魔法しか使えないのですが、レオンスタリアの王家の血を引く男性のアルファは2種類使うことができるのです!」
「へ、へぇー。じゃあ王様と王太子様は?」
「国王陛下と王太子殿下はお2人とも火の魔法と心を読める魔法です」
「お、王妃様はっ!?」
「氷を操る魔法です。オリヴィエ様は氷魔法の名手であるフォンレーヌ公爵家のご出身なので」
まずいぞ、この展開…。
全質問をトーニャよりも先にギルが答えてしまう。
そうだ、王族男性にはもう1人いるじゃないか!
トーニャの弟エレノアくんが!
「エレノアくんは!?」
「そういえば聞いたことがないですね。トーニャ様はエレノア様の同母兄でいらっしゃいますし、ご存じですか?」
よし、ようやくトーニャに話が回った!
と思ったのも束の間、トーニャは険しい表情をしていた。
「さぁ…。いくら兄弟でも、そういう話はあまりしないからな。それよりも帰らなくていいのか?」
「えっ?」
「帰った方が良いんじゃないか?」
「まだ夕方ですし…」
「帰るべきだ」
「俺はまだまだお供できます!」
「今日は帰れ。非番くらい上官に付き合わずに休め。お前の隊は明日早番だろう」
トーニャはギルにため息をつく。
それに対して、ギルは意を汲んだようで敬礼して去っていく。
その背中を眺めながら、トーニャは言った。
「俺は大事な部下に嘘をついてしまった」
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