【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

27．真白はいけない妻です。

あれから数時間。
3人で出店をいくつか回ったものの、ギルの話は止まることなく、トーニャの機嫌は直るどころか悪化しつつある。

「以上、ここまでが私とトーニャ様との軍事学校での軌跡でございます」

ふう、ようやく終わった。
今の今まで、軍事学校でトーニャがいかに優秀だったかを聞かされていた。
それに加えて、数多のご令嬢方にモテてきたかということも。
…そういう話は言わなくてもいいっての。

ギル、もといギルバート・エペはトーニャの軍事学校時代の1学年後輩であり、現在はレオンスタリア王国軍で連隊長を務めているとのことだ。
トーニャとの付き合いは5年ほどになるらしく、言葉の端々から尊敬の念を感じとれる。

夫が慕われていることを嬉しく思いながらも、やっぱりまだまだ知らないことばかりなのだと実感して、淋しい気持ちの俺はいけない妻なのだろう。

「では、ここから王国軍でのトーニャ様のご活躍をお話ししましょう!」

まだ続くのか...。
もしかしてこのペースだと朝までコース?
体力どうなってんだ、この男は。
あ、軍人だったわ。

「トーニャ様の魔法は本当に強力で、敵をバッタバッタとなぎ倒していくのです。その勇ましいお姿は私たち王国軍全員の憧れです」

この世界ではアルファは魔法が使える。
つまりトーニャも。
だけど1度も見たことがない。

これはチャンスなのでは？