【完結】社畜が異世界転移しましたが、第2王子の妃になったので、この度のんびり暮らしたいと思います。

26．気まずい2人の救世主？

それから一言も交わすことなく、沈黙の中でりんご飴を食べ続ける。
すると突如、目の前に1人の屈強な男が立ちはだかる。

な、な、何っ…?
何か悪いことしたっけ…？

恐怖に慄きながらも意を決して声をかけようとした俺よりも先に口を開いたのは大男の方だった。

「トーニャ様ではありませんか!」
「…ん?あぁ、ギルか…」

トーニャと大男は知り合いらしい。
しかし、トーニャはりんご飴に夢中で話しかけられるまで全く気付いていなかったようで、今もなお心ここにあらずという状態だ。
だが、ギルはそんな様子を気にも留めずに1人で延々としゃべり続ける。

「本日はトーニャ様も非番でしたな!こちらが奥様でいらっしゃいますか!噂通り、お美しい方だ!いやー、休日もご一緒とは仲睦まじい限りで羨ましいですな! 私も早く嫁を貰いたいものです!」
「「………」」

仲睦まじいどころか、現在めちゃくちゃ気まずい状況なのだが。
ん?
2人で気まずいなら、この人誘っちゃえば良いんじゃない? 

「ギル、今日は2人で「もしお1人なら、一緒に回ります?」
「「えっ!」」

俺の誘いに2人は驚いた声を出す。
トーニャもギルに何かを言いかけていたから、たぶんこいつも彼を誘うつもりだったのだろう。
同じ考えだったんだな。

「なんとお優しいんだ!ぜひお供させていただきます!」

ギルは感動したと言わんばかりに俺の手をぐわっと力強く握り、キラキラとした目で見つめてくる。
しかし、トーニャはなぜだか俺とギルを不機嫌そうに睨みつけている。

あれ、俺は何か間違えちゃいました?