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17.寵妃ルナマリア・ミシェル
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処刑…。
思いもよらない単語に動揺を隠せない俺に対して、サファイアさんは続ける。
「彼は国王陛下の寵妃ルナマリア・ミシェル様と許されざる恋に落ちたのですわ…」
「でも、奥さんは王妃様だけじゃないんですか?」
謁見の時も式の時も妃のような人は他に見当たらなかった。
寵妃の割には名前すら初耳だ。
「現王妃であるオリヴィエ様が王太子妃として入宮される少し前の時期でした。柊との件でルナマリア様は廃妃となり、このお城からも追放されました。今は孤児院でお手伝いをしながら、ひっそりと暮らしているとの事ですが…」
サファイアさんが言い淀むと、クオーツさんが代わりに話し始めた。
「国王陛下を除いて、誰一人、彼女の素性そして顔を知らないのです」
「何それ…」
「国王陛下は彼女を夫人として迎えました。ただ、素性が不明なので正妃とすることはできませんでした。それでも彼女を妻にしてからはずっとお城の塔に囲って、信頼していた柊にのみ面倒を見させていました」
良い言い方をすると情熱的だが、悪い意味というか、…普通に束縛だ。
国王陛下、あんなににこやかで優しそうだったけど、意外と激しい愛の持ち主だな…。
そして、ルナマリア。
男の友情を壊すなんて、恐ろしい女性だ…。
まさに文字通りの傾城。
「申し訳ございません。お疲れの時にお話しする内容ではありませんね…。軽率でした」
「ううん、この世界で暮らしていく上で知っておくべきことだったと思いますし…。驚いたけど、他の召喚者のことを教えてくれてありがとうございます」
俺が言い終わると、突然ドタドタドタと大きな音がした。
すると、ドンと部屋の戸が開く。
思いもよらない単語に動揺を隠せない俺に対して、サファイアさんは続ける。
「彼は国王陛下の寵妃ルナマリア・ミシェル様と許されざる恋に落ちたのですわ…」
「でも、奥さんは王妃様だけじゃないんですか?」
謁見の時も式の時も妃のような人は他に見当たらなかった。
寵妃の割には名前すら初耳だ。
「現王妃であるオリヴィエ様が王太子妃として入宮される少し前の時期でした。柊との件でルナマリア様は廃妃となり、このお城からも追放されました。今は孤児院でお手伝いをしながら、ひっそりと暮らしているとの事ですが…」
サファイアさんが言い淀むと、クオーツさんが代わりに話し始めた。
「国王陛下を除いて、誰一人、彼女の素性そして顔を知らないのです」
「何それ…」
「国王陛下は彼女を夫人として迎えました。ただ、素性が不明なので正妃とすることはできませんでした。それでも彼女を妻にしてからはずっとお城の塔に囲って、信頼していた柊にのみ面倒を見させていました」
良い言い方をすると情熱的だが、悪い意味というか、…普通に束縛だ。
国王陛下、あんなににこやかで優しそうだったけど、意外と激しい愛の持ち主だな…。
そして、ルナマリア。
男の友情を壊すなんて、恐ろしい女性だ…。
まさに文字通りの傾城。
「申し訳ございません。お疲れの時にお話しする内容ではありませんね…。軽率でした」
「ううん、この世界で暮らしていく上で知っておくべきことだったと思いますし…。驚いたけど、他の召喚者のことを教えてくれてありがとうございます」
俺が言い終わると、突然ドタドタドタと大きな音がした。
すると、ドンと部屋の戸が開く。
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