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44.メイリンへの嫌悪感

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「血縁関係はこれまで明かしていなかったが、この度正式にエルランジュの籍に入ることが認められた。優秀な軍人がオメガや平民という差別で潰されてはこの国にとって大きな損失となる。冤罪という悪意を跳ね除けるのに使える後ろ盾ならば機能してやらねばなるまい。そうだろう?」
「…くっ」
「では失礼する。2人はこの後も気ままにパーティーを楽しむといい」

クラウスは去り際にレイモンドとメイリンに麗しい微笑を残したが、その目は全く笑ってはいなかった。

2人はクラウスに散々コケにされた状態でパーティーを楽しめるはずもなく、早々に逃げるようにしてヴィッチ邸へ向かった。

「ふんっ!何なのよ、あの男っ!いくら身分が公爵令息になったとしても、あんなの所詮は愛人の子じゃないの!高が知れているわよ!」

メイリンは『娼婦上がりの愛人の娘』という自身の出自を恥ずかしげもなく棚に上げて、ソニアの陰口を叩いた。

レイモンドはいつものように彼女に同調はしなかった。
それどころかただ冷ややかに一瞥しただけだった。

なぜなら今まで抱いてきた罪悪感がソニアへ向けられた感情だったと気付くとともに、隣にいるメイリンに対する嫌悪感が沸々と込み上がってきたからだ。
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