45 / 54
44.メイリンへの嫌悪感
しおりを挟む
「血縁関係はこれまで明かしていなかったが、この度正式にエルランジュの籍に入ることが認められた。優秀な軍人がオメガや平民という差別で潰されてはこの国にとって大きな損失となる。冤罪という悪意を跳ね除けるのに使える後ろ盾ならば機能してやらねばなるまい。そうだろう?」
「…くっ」
「では失礼する。2人はこの後も気ままにパーティーを楽しむといい」
クラウスは去り際にレイモンドとメイリンに麗しい微笑を残したが、その目は全く笑ってはいなかった。
2人はクラウスに散々コケにされた状態でパーティーを楽しめるはずもなく、早々に逃げるようにしてヴィッチ邸へ向かった。
「ふんっ!何なのよ、あの男っ!いくら身分が公爵令息になったとしても、あんなの所詮は愛人の子じゃないの!高が知れているわよ!」
メイリンは『娼婦上がりの愛人の娘』という自身の出自を恥ずかしげもなく棚に上げて、ソニアの陰口を叩いた。
レイモンドはいつものように彼女に同調はしなかった。
それどころかただ冷ややかに一瞥しただけだった。
なぜなら今まで抱いてきた罪悪感がソニアへ向けられた感情だったと気付くとともに、隣にいるメイリンに対する嫌悪感が沸々と込み上がってきたからだ。
「…くっ」
「では失礼する。2人はこの後も気ままにパーティーを楽しむといい」
クラウスは去り際にレイモンドとメイリンに麗しい微笑を残したが、その目は全く笑ってはいなかった。
2人はクラウスに散々コケにされた状態でパーティーを楽しめるはずもなく、早々に逃げるようにしてヴィッチ邸へ向かった。
「ふんっ!何なのよ、あの男っ!いくら身分が公爵令息になったとしても、あんなの所詮は愛人の子じゃないの!高が知れているわよ!」
メイリンは『娼婦上がりの愛人の娘』という自身の出自を恥ずかしげもなく棚に上げて、ソニアの陰口を叩いた。
レイモンドはいつものように彼女に同調はしなかった。
それどころかただ冷ややかに一瞥しただけだった。
なぜなら今まで抱いてきた罪悪感がソニアへ向けられた感情だったと気付くとともに、隣にいるメイリンに対する嫌悪感が沸々と込み上がってきたからだ。
156
お気に入りに追加
475
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
竜人の王である夫に運命の番が見つかったので離婚されました。結局再婚いたしますが。
重田いの
恋愛
竜人族は少子化に焦っていた。彼らは卵で産まれるのだが、その卵はなかなか孵化しないのだ。
少子化を食い止める鍵はたったひとつ! 運命の番様である!
番様と番うと、竜人族であっても卵ではなく子供が産まれる。悲劇を回避できるのだ……。
そして今日、王妃ファニアミリアの夫、王レヴニールに運命の番が見つかった。
離婚された王妃が、結局元サヤ再婚するまでのすったもんだのお話。
翼と角としっぽが生えてるタイプの竜人なので苦手な方はお気をつけて~。
もう一度、貴方に出会えたなら。今度こそ、共に生きてもらえませんか。
天海みつき
BL
何気なく母が買ってきた、安物のペットボトルの紅茶。何故か湧き上がる嫌悪感に疑問を持ちつつもグラスに注がれる琥珀色の液体を眺め、安っぽい香りに違和感を覚えて、それでも抑えきれない好奇心に負けて口に含んで人工的な甘みを感じた瞬間。大量に流れ込んできた、人ひとり分の短くも壮絶な人生の記憶に押しつぶされて意識を失うなんて、思いもしなかった――。
自作「貴方の事を心から愛していました。ありがとう。」のIFストーリー、もしも二人が生まれ変わったらという設定。平和になった世界で、戸惑う僕と、それでも僕を求める彼の出会いから手を取り合うまでの穏やかなお話。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる