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27.正常なオメガ
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「ったく、驚かせんなよ。全くよぉ」
だが、ヴォルフの表情は変わらない。
ソニアは内心不安でいっぱいだった。
「正常なら問題ないだろ。いつまで暗い顔してるんだよ、やめろよ」
「この場合、正常なのが問題なんだよ。ソニアちゃん、アルファのフェロモンが感知できないって言ったよね。それはヒートが来ないから。正常なオメガだったら、ヒートはどうなると思う?」
「来るな」
「正解。ソニアちゃんが正常だとすると、ヒートは?」
「来る。…はっ?」
「これから元通りソニアちゃんにはヒートが来るようになります」
「~っ!ふざけんな!前言撤回だ!お前、人の体になんつー影響与えてくれてんだ!俺にはもうヒートは必要ないのに…。今更戻ってきても遅ぇんだよ…」
ソニアは怒りに任せて立ち上がったものの、虚無感からすぐさま座りこんだ。
「このままじゃ仕務にも支障が出ちまう。どうすりゃいいんだよ…」
「一応手はあるけど…」
「本当か!?」
「俺が開発している新薬、オメガのヒートを抑える効果があるんだ。分析魔法で副作用がないのは確認済みだから安心して。ただ、ソニアちゃんに効く可能性は低い」
「何でだ!?」
「今のソニアちゃんは間欠泉のような感じなんだ。ヒートになったら、押さえつけられていたフェロモンが一気に噴出する。薬で止められるレベルを超えている」
だが、ヴォルフの表情は変わらない。
ソニアは内心不安でいっぱいだった。
「正常なら問題ないだろ。いつまで暗い顔してるんだよ、やめろよ」
「この場合、正常なのが問題なんだよ。ソニアちゃん、アルファのフェロモンが感知できないって言ったよね。それはヒートが来ないから。正常なオメガだったら、ヒートはどうなると思う?」
「来るな」
「正解。ソニアちゃんが正常だとすると、ヒートは?」
「来る。…はっ?」
「これから元通りソニアちゃんにはヒートが来るようになります」
「~っ!ふざけんな!前言撤回だ!お前、人の体になんつー影響与えてくれてんだ!俺にはもうヒートは必要ないのに…。今更戻ってきても遅ぇんだよ…」
ソニアは怒りに任せて立ち上がったものの、虚無感からすぐさま座りこんだ。
「このままじゃ仕務にも支障が出ちまう。どうすりゃいいんだよ…」
「一応手はあるけど…」
「本当か!?」
「俺が開発している新薬、オメガのヒートを抑える効果があるんだ。分析魔法で副作用がないのは確認済みだから安心して。ただ、ソニアちゃんに効く可能性は低い」
「何でだ!?」
「今のソニアちゃんは間欠泉のような感じなんだ。ヒートになったら、押さえつけられていたフェロモンが一気に噴出する。薬で止められるレベルを超えている」
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